やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

森 庄平 展 -白磁の船 海の旅人-

森 庄平 展 -白磁の船 海の旅人-

2010年5月7日(金)〜6月1日(火)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  5月7日(金)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

Photo:『白い船<群像-1>』 2009 撮影:本田犬友



展示会概要
茫洋と霞む大海原に、何百という船の群れがふわりと浮かんでいます。風景に溶け込みそうな白い船は、透明感のある手びねりの白磁でつくられています。一隻の大きさはおよそ15cmから30cm。釉薬が、水面に降り注ぐ光のように柔らかく輝いています。かたちは、丸いタンクが並んでいるもの、たくさんの船室がある豪華客船、煙突が立っていたり、社や魚が乗っているもの、平たいもの細長いもの、ひとつひとつがディテールに富み、チャーミングな表情をたたえています。
森庄平 森庄平 森庄平

森庄平 森庄平 森庄平

森庄平 森庄平 森庄平
森庄平は、生まれ育った瀬戸内海をテーマに絵画の制作を続けてきました。人の生活、歴史文化、自然風土との営みを踏まえた風景をつくりたいと写生を続けるうちに、海と船と人の関わりに惹かれるようになりました。海峡を行き来する数百の船が、まるで群集の行き交う姿に見えてきたのです。絵では動きが出てこない。そんなとき、砥部焼に出会い、その温かい感触に魅せられました。違いがあって群像になるから意味がある。だから一つ一つを個性的に、人間をつくるように船をつくっていると話します。いろんな感覚でいろんな思いを投影して見てほしい、白はそのための色です。
会場全体を時空を超えた空間に見立て、約500隻の船がいっぱいに埋め尽くします。自分自身に似たひとつの船を、探してみてはいかがでしょうか。ぜひ会場でご覧ください。
森庄平 森庄平
森庄平

2010年 ガレリアセラミカ会場風景

インタビュー
2010年3月5日 インタビュー:大橋恵美 (INAX文化推進部)
大橋 森さんの作品を初めて拝見した時、写真がとても幻想的で掻き立てられました。たくさんの真っ白な船が真っ白な空間に写っている。浦賀水道など私たちもよく行きますが、茫洋と船が陽炎のようになって、霧がかかったようにタンカーの黒とか赤とか見えないあの白い光景が実際に現われたように思いました。 その時にはもう100隻ほどあって、それから何百隻とつくるというお話でした。
500隻くらいあったら面白いんじゃないかと言われましたね。かたちと色を消し去って、すごくシンプルなもので、ものづくりというよりは空間をつくってみたい、それを皆さんに見て欲しい。そのためには白いふわっとした空間が欲しい。それでINAXさんにお願いしたというわけです。
大橋 一隻の大きさは15cmくらいですよね。
その後30cmくらいまでつくってみました。
大橋 大きい船は近くに、小さいものは遠くにという遠近法みたいなものも見られますね。
数に何か意味を持たせたいと思いました。もともと船を写生しているところから船の造形に結びついたのですが、関門海峡や来島海峡、関東では浦賀水道に行って資料などを見ると、面白いことにどの海峡も一日の通行量が600隻から700隻なんです。それで今回700隻つくろうと決めました。無理かもしれないが、とりあえず目標にした。結果的に今日現在で650隻くらいつくっています。
大橋 すごい。
ちょっとすごいんです。100隻から150隻つくるのに1年から1年半かかりましたが、10ヶ月でその数になった。
大橋 もともとは画家でいらっしゃいますが、今までに他の立体作品はつくられたことはありますか。
ありません。白磁の額縁をつくったのが始めなんです。絵の額縁の四角いとげとげしい感じがいやで、砥部焼で手びねりの額縁をつくり始めた。お皿などもやりましたが、全然興味が湧かない。やっぱり造形だと思っていたときに、船と出会いました。
大橋 瀬戸内海のご出身でいらっしゃるんですよね。
まず瀬戸内海の風景、海をテーマに作品をつくっていきたいというのがありましたね。生まれ育った瀬戸内を制作の原点にして、自分なりに描きたいと。『景色』というのは色とかたちの意。『風景』というのは風のあるかたちの意。即ち空気感があるということは人間の生活があるということ、植物の、動物、生きものの世界がある。その中で長い営み、喜びも悲しみも内包した歴史・文化というものがあり、それを踏まえた『人文風景』をつくりたいと思いました。そうすると、人間のつくった船は海と切っても切れない関係なんですね。なぜなら、船は、海の力(浮力)に助けられて浮いています。つまり海と共生しているんです。関門海峡で写生していると、500隻から600隻くらい船が行ったり来たりするわけです。新幹線や飛行機や車じゃない、あのゆったりとした速度が僕には人間の速度に重なって見えるんですよ。人の行き交いのように感じて、船のかたちが自分の中で擬人化した群集となり、その強い印象をかたちにしようと思った。絵では動きが出てこない。2、3年考えていたころ砥部焼と出会って、色やかたちというより、感触に魅せられた。白磁というのは焼き方によってはすごく温かい感じに仕上がるんですね。
大橋 色をつけないで単色でつくるというのはどういうイメージから。
いろんな人がいろんな感覚でいろんな風に評価する作品であってほしいと思うと、白が見る人のイマジネーションを一番自由に広げる色なんです。 船らしいかたちを見ながら、自分の人生の来し方行く末を考えたり、今の自分を見つめ直したり、そんなヒントになるものであって欲しい。その為には、かたちや色に具体性があっては却って邪魔になります。シンプルなもので、ものというよりは空間をつくってみたかった。
大橋 でも船のかたちも、丸いタンクが載っていたり、豪華客船を彷彿とさせたり、丸木舟のようであったり、一個一個がすごくディテールに富んでいてチャーミングです。そのつくりこみも結構凝っていらっしゃるのではないですか。
僕にとっては船と人間がひとつになっているんです。人がそれぞれ、顔も体つきも考え方も違うように、一個一個船ではなくて人間をつくるようなつもりでつくっている。 たくさんつくるだけだったら、金型で量産すればいい。でもいろんな違いのある個性のあつまりが群像になるからこそ意味があるので、同じものがたくさん並んでいても人は絶対感動しないだろうと思ったんです。
大橋 絵画のときはもちろん多色で描かれている。それがやきものになったときに白になって、色を使いたいという本能のようなものは出てきませんか。
自分の中では気持ちのバランスが取れているみたい。瀬戸内海の風景というのはよく間接照明の風景といいますが、暖かくて霧がかかって山が丸くて柔らかい。そういう風景がものすごくいいというのと、そこから外れたいという気持ちがある。瀬戸内の落ち着いた風景はほとんど日本画で、気迫のある大漁旗に関しての作品はアクリルで描いています。モチーフによって表現方法は違うし、色も発色も違う方が効果が出るので、そういう絵の具や筆の使い分けが楽しくて。
大橋 展示はどのようになりますか。
最終決定ではないのですが、フロアに置こうと思います。この写真を再現したいんです。作品群とそれをご覧になる方々と何の隔たりもなく、ひとつ世界に入り込み一体感を味わって頂くような空間を考えています。
大橋 船って本当はすごく間を取って通っていますが、森さんの写真では船間距離がすごく詰まっていますよね。その効果というのは。
関門海峡や来島海峡で見ていると、どんどんどんどん船が行き来するんですよ。一日見ていると全部の映像が重なって見えてくる。船団のような印象があるんです。
大橋 船団なんて今は見る機会はないですよね。
船というのは自分で意思を持って動いている。その感覚というのは、群れになっているというところで表現しないと波動として強く伝わらないかなと。 今まで理屈を言いましたけど、結局船が好きなんですよ。眺めているのが本当に好きですね。
大橋 日本画もアクリル画も陶器もつくられる森さんですが、次につくりたいものは何でしょうか。
船の勉強をしてみると、我々が知っている客船や貨物船というのはほんの一部なんですね。仕事ばかりしている船、作業ばかりしている船、軍艦のジャンルもすごい。それを個々に表現してみると絶対面白いと思うんです。模型ではなく、その船がどんな仕事をする船か、社会にどんな貢献をしているか考えながらつくっていくと、船のかたちじゃなくなるかもしれません。ものによってはちょっと陶芸ではできないものへと発展してゆくかもしれません。
大橋 そうですね。
ですから別な素材で表現していくかもしれません。ずっと思っているのは、和紙ですね。和紙のなんともいえないよさ、それと僕の考えている瀬戸内風景と船が合体しないかなと。
もう一つは、瀬戸内を絵として表現するのに、間接照明の柔らかい雰囲気の色に、キラ(雲母)を使ってみたい。金粉や銀粉とはまた違う、しっとりとした明るさ。あれが瀬戸内の独特の柔らかい光なんです。そういうふうに『海』をライフワークのテーマにしたいですね。
作家略歴
    
画家(日本画・洋画)、陶芸家、日本民具学会会員(大漁旗研究)
瀬戸内海を起点として「海」をライフワークのテーマに多方面で創作活動を進める。
絵画
1960〜1962 洋画 創元会入賞 3回     
1964〜1974 洋画 個展3回
1983〜2009 日本画 個展17回(ギャラリー・リブアート/松山、ギャラリー・ボヤージュ/銀座、新井画廊/銀座 ほか)     
陶芸
1979〜1993 富士五湖窯陶器手捻り額縁制作     
1997〜2010 砥部焼白磁手捻り額装・船型造形 個展6回
大漁旗研究
2002〜2010 日本民具会「民具研究」誌に論文掲載
「感動・大漁旗展」開催をはじめ、日本経済新聞・文芸春秋・Casa BURUTUSなど掲載
NHKTV・BS-1 TV出演、武蔵野美術大学資料展等に大漁旗資料出展等
    

ページの先頭へ

LIXIL Link to Good Living

Copyright © LIXIL Corporation. All rights reserved.