INAXライブミュージアム ものづくり工房 ものづくり工房

「つくるガウディ」展−「完成!常滑ガウディ」展に使用されたオリジナルタイルを制作しました。
2017/6/ 1
文化活動への貢献
「つくるガウディ」展−「完成!常滑ガウディ」展に使用されたオリジナルタイルを制作しました。

INAXライブミュージアム10周年特別展「つくるガウディ 塗る!張る!飾る!」は、土・どろんこ館で、2016年11月5日〜2017年3月31日まで開催され、ガウディ設計の「コロニア・グエル教会」の未完の部分を1/4スケールで再設計し、その制作過程を来館者にご覧いただくライブ感ある展示をテーマにしたものでした。



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「つくるガウディ」展チラシ
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「つくるガウディ」展示風景

建築家・日置拓人さんが、構造体を設計し、基礎は鉄筋と金網と金具で構成され、その表面には、左官職人 久住有生さんのチームによる塗り壁と、タイル職人 白石普さん考案のオリジナルタイルが自らの手で張られています。3月31日には、完成を迎え、4月15日〜5月30日の期間で、「完成!常滑ガウディ」展として引き続き、公開されました。 特別展のサイトは⇒こちら

■3種類の元見本

「ものづくり工房」では、この「つくるガウディ」展に使用されるオリジナルタイルを制作しました。タイルのデザインは、タイル職人 白石普さんが考案した3つの形状でした。それらのタイルは、一般の正方形や長方形のものではなく、モロッコにあるモザイクタイル工房での修行の経験を活かして、幾何学模様から生み出された「ルーザ」、三角形の面と辺にうねりのある「チェルツ」、中に貫通した穴が開いた風車のような立体の「アマーネ」(白石さんの名前に由来)。「ルーザ」と「チェルツ」は、表面に釉薬をかけるものと裏面にかけるものがあり、合計で5種の形状になります。また、色合いについては、光沢がきれいなブライト釉に、酸化銅発色の明るい緑色と酸化コバルト発色の紺色、その中間ともいえる青緑の3色が提示されました。それを受けて、素地や釉薬の試験を進めました。


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ルーザ
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チェルツ
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アマーネ

■素地と釉薬

使用する素地については、通常使用している原料は、微量の酸化鉄成分が含まれているため淡い黄色の呈色となります。見本のタイルは白色の素地でしたので「粟田土(あわたつち)」を使用することにしました。「粟田土」は焼きあがると白い磁器になる粘土です。その粘土を石膏型で型押し成形します。石膏型は、白石さんが試作した3種のタイルを3D測定した上で、乾燥や焼成による収縮(約10%)を見込んで、やや大きめに制作しています。この石膏型に人の手で粘土を押し込んで成形します。


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型押し中
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抜けた状態

釉薬については、基礎釉として高光沢のブライト釉を選択しました。イギリス・ヴィクトリアンのレリーフタイルの復原で使用している釉薬です。過去の発色試験データから、緑色は酸化銅、紺色は酸化コバルト顔料を使用することにしました。青緑色は、酸化銅と少量の酸化コバルト顔料を添加して調整した数点を白石さんに提示したところ、全て採用したいとのことで、当初の3色から、明るい緑色から紺色までのグランデーションの7色となりました。


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色一覧

■施釉と焼成

施釉は、乾燥した各形状の素地を、釉薬に「浸し掛け(Dipping)」します。素地を「釉ハサミ」で挟み、表面には釉薬が掛かり、裏面には掛からないように、慎重かつスピーディに、釉薬に浸し、引き上げます。


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Dipping
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施釉後

焼成は、電気炉で1200℃以上の温度で行いました。施釉した生素地を手で一つ一つ棚板に並べ、段積みしていきます。1回の窯入れで約3u分のタイルを、10月〜2月の間、2〜4回/月のペースで焼成しました。焼成されたタイルは、形状、色別に箱に詰め、タイル施工を待ちます。こうして生産されたタイルは、総数 約4,900枚となりました。


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窯積み
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焼成後

手作業で成形、施釉されたタイルは、素地の面状の凹凸や生釉薬の流れ、焼成時の釉薬の性質とも絡んで、均一な色合いではなく、自然な色ムラのあるタイルとなりました。


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焼成品

■六角形タイルとタイルの施工

本展ではこれらのタイルの他に六角形の絵付けタイルも施工されています。こちらも石膏型を使用して手押しで成形した後、素焼きをしました。このタイルに白石さんの工房スタッフの吉永さんが、手書きでカラフルに上絵付けをし、白石さんの工房の窯と「ものづくり工房」の電気炉で本焼成しています。


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六角形タイル手書き中
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六角形タイル施工

こうして制作されたタイルは、タイル職人 白石さんに渡されます。フラットな部分がほとんどない曲面の躯体の、ある場所には「ルーザ」や「チェルツ」の幾何学的な形状を活かしながら、またある場所には立体の「アマーネ」の特徴を活かしながら、白石さんの感性とともに一つ一つ手で張られていきます。その後、久住さんのチームによる左官仕上げがされていきます。現場では、白石さんと久住さんがお互いの仕事に刺激し合いながら、本展示への思いを表現していきました。


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タイル施工中1
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タイル施工中2

■完成!!常滑ガウディ
一室ごとの外部や内部に、タイルと左官の装飾のコラボレーションがなされていきました。3月13日には、最後に残った入り口部が完成しました。その後、周囲の丸太の足場が外され、「常滑ガウディ」として、完成品が公開されました。


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「完成」展示風景1

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「完成」展示風景(部分1)
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「完成」展示風景(部分2)

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「完成」展示風景(部分3)
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「完成」展示風景(部分4)


タイル制作含め、公開制作ドキュメントをYouTube にて配信しています。 詳しくは⇒こちら

※「ものづくり工房」でのタイル制作映像はこちらからもご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=WDQDgA4FH5M&feature=youtu.be




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