INAXライブミュージアム 世界のタイル博物館 INAX TILE MUSEUM

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技術と歴史展

第2回「日本近代タイルのルーツ−本業敷瓦−」
2003年1月4日(土)〜2004年6月29日(日)

今回は日本のタイルの2回目として、「本業敷瓦」を取り上げています。明治時代に入って瀬戸では、磁器ものがいわゆる瀬戸物として勢いを増していく中、従来からの陶器質のやきもの(本業焼)の窯屋は生き残りをかけて、日本流のタイルの生産に活路を見出そうとしました。  展示は、本業敷瓦の誕生からイギリスの硬質陶器質タイルをめざして変化していった本業敷瓦の歴史と、新しく登場する国産の乾式成形タイルにバトンタッチしていくまでを収蔵するコレクション及び瀬戸市歴史民俗資料館の関連資料等をまじえて紹介します。


会期

2003年1月4日(土)〜2004年6月29日(日)

時間

10:00AM〜5:00PM(入館は4:30まで)

会場

1階 常設展示会室・企画展コーナー

休館日

毎週月曜日

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新しいタイル文化の登場とそれを商売にしようとそれぞれの窯が独自の敷瓦を登場させます。 江戸時代中期の19世紀初頭、有田についで瀬戸でも磁器の焼造が本格化しましたが、瀬戸ではこの磁器のやきものを「新製焼」と呼び、従来から焼き続けてきた陶器質のやきものを、本来のやきものという意味で「本業焼」と呼び、新参の磁器ものと区別するようになりました。また、「敷瓦」は、文字どおり床や地面に敷く瓦という意味で、その原型は奈良時代から仏教寺院で使われ始めた瓦素地でつくった正方形の陶板です。鎌倉時代には、中国から伝来した禅宗寺院の建築様式として床に敷瓦を使うことが定着します。その後、江戸時代には、茶の湯の発達とともに、瀬戸でも織部や志野、鉄釉などの施釉ものがつくられます。19世紀以降につくられたこのような陶器質の施釉敷瓦を「本業敷瓦」と呼びます。なお、敷瓦という言葉は、英語のタイルということばを正式に取り入れる大正11年まで、タイルに相当する呼び名のひとつとして使われました。

このように、江戸後期には印花文などの施釉敷瓦がつくられますが、その後手書きによる白地にコバルトブルーの染付調の敷瓦が登場します。一方、新製焼は幕末から明治の初頭にかけて、日常食器を中心にさらに勢いを伸ばし、「せともの」の代名詞として広く全国に普及しました。窮地に立たされた本業焼は、明治20年代になって新しく導入された銅版転写の技術を使って、磁器ものでも人気の染付調の敷瓦を量産することに活路を見出そうとしたのです。ここに、コバルトブルーを中心に茶色、緑色の色彩でヨーロッパ調の華やかな図柄による量産型の本業敷瓦が登場します。当初は8寸、6寸などの比較的大型の敷瓦がつくられましたが、ヨーロッパ、特にイギリスのタイルが6インチ(約15cm)だったことから、大型のものは次第に淘汰されて、輸入物と同じ寸法の5寸角の敷瓦が主流となっていきました。旅館、銭湯、商家などの水周りの壁や床を中心に使われ、瀬戸市洞町の「窯垣の小径」にある旧寺田邸の浴室や洗面所の壁や床には、全面に5寸角の敷瓦が張られています。




クロム青磁の敷瓦


本業敷瓦は、明治半ばから大正にかけて最盛期を迎えますが、その間本業敷瓦の人気に刺激されて、磁器の新製窯や有田や淡路,常滑などでも敷瓦がつくられます。新製焼では、染付のほかクロム青磁とよばれる淡い鶯色の釉薬をレリーフの面に掛けたものもあります。レリーフの美しさと釉の透明感もあり、当時イギリスから輸入されていたヴィクトリアン・タイルを彷彿とさせる出来栄えです。有田では磁器ものがつくられています。淡路島では、多彩色のレリーフ敷瓦がつくられます。レリーフのシャープさを出すために表面だけ特にきめの細かい素地を使う2層構造の素地など工夫が見られます。淡路島では淡陶がその後本格的な乾式成形の多彩色硬質陶器タイルを誕生させます。このように、乾式成形による内装壁タイルや床タイルが登場するまでは、瀬戸の本業敷瓦の需要の周辺で、先発のタイルメーカーや窯元が、それぞれの持ち前の原料や技術を使って独自の敷瓦を世に送り出していったのです。




本業敷瓦の張り方2種

大正時代に入って、タイルの使用が本格化し始めると、本業敷瓦の製法は、寸法精度や形の良さという点で、イギリスや国内で生産がはじまった乾式成形のタイルと比べて見劣りがしました。そこで、半乾式という半乾きのたたら板を金型でプレスする成形する方法も登場しました。大正時代には乾式成形の白い衛生的なタイルも登場し、本業でも白の半乾式の敷瓦を登場させますが、品質での弱みはぬぐえません。こうして本業敷瓦は、昭和初期には姿を消しました。


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