INAXライブミュージアム


ライブミュージアム日記

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2009年以前の記事は、ライブミュージアムでの日々の出来事やスタッフの想いを綴ったものです。

2006年9月以前の記事は、土・どろんこ館開設準備室による「どろんこ広場」として書かれたものです。


独自企画や地域との連携で、コンサートや講演会、ワークショップなど、さまざまなイベントを開催しているミュージアム。ライブ感あふれる活動をスタッフがご案内・ご報告します。

No.179 講演会『パブリックアートとしてのモザイク壁画』を開催しました。

2015/03/19

担当 ものづくり工房 中斎

企画展「壁のパブリックアート」 クロージングイベント
講演会『パブリックアートとしてのモザイク壁画』

講師:喜井豊治(きい とよはる)氏 モザイク作家

日時:平成27年3月14日(土) 14:00〜15:30
  場所:INAXライブミュージアム 世界のタイル博物館 講義室


 1960年代前後の日本のモザイクタイル壁画に焦点をあて、当時の作品を貴重な資料とともに紹介した企画展。そのクロージングイベントとして、モザイク作家の喜井豊治さんを講師に招き、モザイク壁画の魅力を掘り下げる講演会を開催しました。


  ヨーロッパの伝統的なガラスや大理石のモザイクに魅せられて、アートとしてのモザイクを追求してきた喜井さん。話は、紀元前数千年に遡るモザイクの歴史から始まりました。紹介されたのは、メソポタミアの神殿の壁面を飾ったモザイク装飾、クレイペグ。「モザイク装飾の始まりと言われています。このミュージアムにも復元されていますね」。


喜井 豊治氏

Urukの神殿

やがて、モザイクは大理石でつくられるようになり、今に至る技法も、紀元前2世紀には完成したといいます。火山灰に埋もれたポンペイの遺跡から発掘されたのは、「イッソスの戦い」。大理石モザイクの最高傑作とされています。
 ローマンモザイクから、色鮮やかに教会を飾ったビザンティンモザイクへ。「ガラスだから鮮やかな色が使えるようになり。それを生かすために華やかになっていった」。ルネサンスに入ると、絵画の時代になり、「有名な絵描きが絵を描いてモザイクにした作品もあるが、絵画が主流で、モザイクは主に修復の時代に入ります」。





モザイクを語るうえで欠かせないのが、ドメニコ・ファッキーナとアントニオ・サルビアーティ。パリオペラ座ガルニエ宮のモザイク壁画を、初めて紙張りの技法で完成させた人物です。これにより現場で施工しなくてもよくなり、モザイクは再び時代の脚光を浴びます。「この二人の登場で、モザイクは過去のものではなく、現代に生かすものとなった」。さらに、イタリアの未来派の画家、ジーノ・セヴェリーニがこの流れを発展させます。「彼はモザイクに表現の可能性を見出し、モザイクはアートとして評価されるようになった」。
 まさに、モザイクをめぐる世界旅行。話は日本へと続きます。




「日本のモザイク壁画は、関東大震災や東京大空襲で、相当壊されている」と、喜井さん。古いものとしては、1908年の国立博物館の表慶館。フランス人作家の指導で日本人の左官たちが施工しました。そして有名なのは、モザイクをやっている人なら必ず見に行くと言われる、菅原栄蔵によるビヤホールライオン銀座7丁目(1934)、恵比寿の風景を描いたものです。

日本でモザイク壁画が注目を集めるのは。1950年代にはいってから。1952年、岐阜の矢橋大理石が初めてモザイクを作り始めます。もとは、東洋一といわれた石屋。当時の社長、矢橋六郎が芸大卒業後、家業を継いで制作を始めました。1957年には、伊奈製陶が伊奈アートタイル、岩城硝子もモザイク用のテッセラの販売を始めました。「日本のモザイクを引っ張ったのは、企業だったのです。イタリアなどでは、3年間モザイクの学校で技法を学び、卒業後は作家、修復士などの仕事につきますが、日本ではそういう確立されたものがない。だから、企業が取り組んだ。そして古典をとばして、独自のスタイルで制作しました」。
モザイクタイルと深いかかわりを持った建築家は、なんといっても村野藤吾。日本に初めてガウディを紹介した今井兼次。そして岡本太郎です。






今も残るモザイクタイル壁画として、
近三ビル(設計:村野藤吾、モザイク:奥村新太郎)、
日本生命日比谷ビル(設計:村野藤吾、モザイク:矢橋六郎)、
東京交通会館(モザイク:矢橋六郎)、
戸田ビル(戸田建設本社 旧・新八重洲ビル モザイク:山口薫・矢橋六郎)。
今井兼次の東洋学園大学、長崎の日本26聖人記念館

画像で紹介された壁画の数々、一つ一つ訪ねてみたくなるものばかりです。
「モザイク壁画は、壁に直貼りされていると、保存がむずかしく、その建物とともに消えることも多い。しかし東洋学園大のように、同窓生の寄附で保存されたものもあります。
保存されるかどうかは、愛着の問題でもあると思います」。

まちを彩るモザイク壁画の歴史と魅力を存分に味わった講演会でした。



会場入口に展示された喜井さんの作品

左からbisazza, ズマルト、ガラステッセラ


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