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ライブミュージアム日記

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No.160 タイルが伝える物語 ペルシアの恋愛叙事詩 「ホスローとシーリーン」を読む。

2014/07/17

担当 住宮

イスラームの国々で広く親しまれている恋愛物語「ホスローとシーリーン」。
7月12日にペルシア文学に精通する岡田恵美子先生(日本イラン文化交流協会会長)をお招きし、
美しい陶片に描かれた一場面を手掛かりに、物語を読み解きました。

岡田先生は、イランへの国費留学生第一号。1963年のことです。ペルシア文字に魅せられ、当時のパーレビ国王に手紙を送って、テヘラン大学への留学を叶えました。「ホスローとシーリーン」を翻訳して、日本に初めて紹介したのも岡田先生。イランと日本の架け橋となられてきました。その岡田先生から物語の魅力をうかがえる、またとないセミナーとなりました。

「ホスローとシーリーン」は、古代ペルシアの王様とアルメニアの王女の恋愛を描いた叙事詩。作者は、詩人ニザーミー(1141年-1209年)。中東で最も親しまれている物語です。「まだ本がない時代、平家物語のように琵琶を弾きながら語る詩人の周りに人々が集まり、物語に聞き入ったのでしょうね」と岡田先生。

会場に映し出されたのは、1枚のミニアチュール。絶世の美女シーリーンを探し求めて馬で旅するホスローが、偶然、水浴びをする美女を目撃する場面です。「シーリーンも美しい王様のホスローに会いたいと願っていたのですが、この場面ではお互いが、ホスローとシーリーンだとは思ってもいないのです。すれ違いや障害、悲劇があってこそ、物語として読み継がれる恋物語ですね」。

「私、タイルで描かれているのを初めて見て、感激しました。
タイルは色が褪せることなく、シーリーンが水浴びする水の青もとてもきれいです。ミニアチュールは当時銀で描かれていたので、黒く変色しています。細部の表情もよくわかります。王様が指を口にあてていますね。これは驚きの表現です。日本では空いた口がふさがらないといいますが、ペルシアではこのポーズ。かわいらしいでしょ」。岡田先生の、軽快で楽しい解説を聞いて、すっかり物語に引き込まれた参加者のみなさん。次は、常滑市立図書館の高橋さんによる朗読です。
「ホスローとシーリーン 第16章」岡田恵美子訳。陶壁画に描かれた場面を、今度は言葉で味わいました。

岡田先生による、ペルシア文字の実演もありました。「これは葦の茎を干して、先をとがらせた葦のペン。シーリーンって書いてみます。」

会場に筆を回し、気さくに「書いてみませんか」と声をかける岡田先生。

「イランは今も習字がさかんで、詩の一節を題材に練習をするんです。詩の中には人生訓やしゃれた言葉がたくさんあって、今もイランの人々の暮らしに、文学や詩はゆたかに溶け込んでいます」。

「今、イランや中東の国々は、石油や、イスラム原理派といったイメージ一色ですが、どうぞ、勘違いをしないでください。そこは豊かな文化が数千年の歴史のなかで受け継がれてきた国々なのです。私たちは、お互いの文化の深いところにふれることが大切なのではないでしょうか。」
 
最後に岡田先生はメッセージを投げかけ、参加者のみなさんも、悠々としたペルシアの世界に思いを馳せるひとときでした。

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