INAXライブミュージアム


ライブミュージアム日記

«  2007年05月  »
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

RSS

2009年以前の記事は、ライブミュージアムでの日々の出来事やスタッフの想いを綴ったものです。

2006年9月以前の記事は、土・どろんこ館開設準備室による「どろんこ広場」として書かれたものです。


独自企画や地域との連携で、コンサートや講演会、ワークショップなど、さまざまなイベントを開催しているミュージアム。ライブ感あふれる活動をスタッフがご案内・ご報告します。

No.65 「水と風と光のタイル −F.L.ライトがつくった土のデザイン」展をご紹介します

2007/05/22

担当 後藤

第2回目を飾る企画展「水と風の光のタイル」が、4月14日より土・どろんこ館の企画展示室で始まりました(9月30日まで)。




展覧会開催に至る経緯や展示の見どころをお話しします。 20世紀の巨匠建築家として知られるフランク・ロイド・ライトが設計した帝国ホテル旧本館には、知多半島南部の土を使い常滑で作られたタイルが大量に使用されていました。2005年11月にこの土「内海粘土」を見つけることができ、当時の製造方法にできるだけ忠実に復元を試みて、今回の展示を実現しました。



内海粘土

再現にあたって参考になった資料が、故 水野平吉さんが保管していた「帝国ホテルのスダレ煉瓦:牧口銀司郎 著」でした。今回、ライト研究家として知られる谷口正己先生より、この本の原稿と写真をお譲りいただくことができ、当時の帝国ホテル煉瓦製作所の様子を展示の中で紹介しています。
今回の展示をより楽しくご覧いただくうえでの概要をまとめました。 (1)F.L.ライトが帝国ホテル旧本館に使用するために日本に持ってきたスダレ煉瓦(スクラッチタイル)は、黄色い煉瓦で当時の日本では珍しい色でした。 (2)当時、黄色い煉瓦を建築陶器として焼いていたのが、常滑の陶工 久田吉之助でした。久田は、ライトを知多半島南部の粘土鉱山へ案内し、常滑の地でタイルを焼くことを約束しました。



内海粘土採土場

(3)しかしながら、久田は実際にタイルを納めることなく大正7年に病没してしまいました。したがって、実際に帝国ホテルのタイルを生産したのが、沢田忠吉工場を間借りした帝国ホテル煉瓦製作所で、INAXの創業者でもある伊奈初之烝、長三郎親子が技術顧問をしていました。 (4)ライトの作らせたタイルは、「機能と装飾は一致する」という彼の思想そのままに、水を導く機能や、風の通り道や光の透過を意識したものでした。実際にこのタイルを復元して空間を作ってみましたので、ライト建築の豊かな空間を体感ください。



また、ものづくり工房内にあるギャラリーでも、関連して久田吉之助 に焦点を当てた展示を行っています。 「帝国ホテルのスダレ煉瓦:牧口銀司郎 著」において、久田吉之助は、「元来彼は有名なる詐欺師」として紹介されています。しかしながら、彼の作成した煉瓦は、名和記念昆虫館(岐阜県)、京都府立図書館、長楽館(京都市)など当時の有名設計家による建築に使用され、西浦町史では常滑のタイル業界の始祖と評価されています。 この名和記念昆虫館に使用されているトンボの細工物や、京都府立図書館のテラコッタを見ると、彼の一つ一つのタイル(作品)に対する思い入れと技術の高さを知ることができます。



タイル一つ一つに心を込めて作成する陶工は、ライトの400万個という注文を実現するために帝国ホテルから派遣された工場長 牧口への対応が従順であったはずはなく、その結果が「元来彼は有名なる詐欺師」という表現となったのではないか――と、思いを廻らしています。

最近の投稿一覧

ページの先頭へ

LIXIL Link to Good Living

Copyright © LIXIL Corporation. All rights reserved.