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ライブミュージアム日記

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2009年以前の記事は、ライブミュージアムでの日々の出来事やスタッフの想いを綴ったものです。

2006年9月以前の記事は、土・どろんこ館開設準備室による「どろんこ広場」として書かれたものです。


独自企画や地域との連携で、コンサートや講演会、ワークショップなど、さまざまなイベントを開催しているミュージアム。ライブ感あふれる活動をスタッフがご案内・ご報告します。

No.156 トークセッションと街並み・建築ツアーを開催しました!

2014/02/20

担当 立花

企画展「建築の皮膚と体温」に関連して開催したトークセッションと街並み・建築ツアーの様子を、一挙にご報告します。

トークセッション「「ジオ・ポンティの軽やかな感覚世界」 2月15日(土)開催

大雪の影響が心配されましたが、雑誌Casa BRUTUS副編集長の白井良邦さんをモデレーターに、建築史家・建築家の藤森照信さんと、本展展示デザインを担当した若手建築家ユニット、トラフ建築設計事務所の鈴野浩一さん&禿 真哉さんがジオ・ポンティを語るとあって、大勢の方が聴講に訪れ会場は熱気に包まれました。



白井さんは雑誌の特集でポンティ設計の建築物を取り上げたことで彼を知り、多才な経歴に驚いたことなど、今回の司会を担当するきっかけについて触れてから、ゲストへマイクをバトンタッチ。



白井良邦氏

藤森さんは自己紹介がわりに自身が最近手がけた建築作品を紹介した後、話題を「なぜ、ポンティは積極的にタイルを使ったか」へ。
「ポンティは建築の表面をすごく意識していると思う。人間の肉と皮膚は役割が違うように、塊(マス)と表皮は持っている意味が違う。『皮膚感覚』が建築に現れてくるのは20世紀初頭のアールヌーボーの時代以降。煉瓦建築に代表されるそれまでの建築から、表皮が塊(マス)から独立して大事な意味を持ち始めた。タイルで覆われたウィーンのマジョリカハウスなどは表皮の自立性を表す一例である。」


藤森照信氏


さらに、「ポンティは塊(マス)の感覚がなく表皮の感覚だけを持った、当時としては珍しい建築家だ。そのことが、ポンティが建築界から忘れ去られた原因かもしれない。」と、建築史家として意見を述べられました。

トラフ建築設計事務所のお二人は、「企画展のために多彩な形状のタイルを再現したが、タイルの可能性、外壁・内壁とは何か、などいろいろ考えさせられた。また、ポンティが平面図に人の目線・動線を描き込んでいるのがとても新鮮で印象的だった。超絶したセンスとともに人物も魅力的で、これがきっかけでポンティの大ファンになった(禿さん)」


禿 真哉氏


鈴野浩一氏

「僕たちは学生時代、『装飾は悪』と教えられ装飾することの怖さを植え付けられたが、人に与える効用を考えれば装飾を大切にしてもいいのではないかと思うようになった(鈴野さん)」と、展示のデザインを担当するなかで感じたポンティの魅力について語りました。

そして最後に藤森さんが、本展の開催によって「ポンティへの関心が高まった。再評価とまではいかないが、ちゃんと見ていきたい建築家だ」と締めくくりました。
《撮影=加藤弘一》

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街並み・建築ツアー「トラフと見て歩く、常滑の“建築の皮膚”」 2月16日(日)開催

「展覧会準備のためライブミュージアムを訪れ常滑の街を案内してもらったところ、街の表情が豊かなことに驚きました。ぜひ、僕たちが感じた『常滑の建築の皮膚』を皆さんにも見てもらいたい」と、トラフ建築設計事務所の鈴野浩一さんと禿 真哉さん。
強風のなか、総勢37名の参加者がお二人と共に観光ルートから外れた“裏常滑”を歩きました。




美しい緑色の施釉ブロック塀(写真上左)には、「こんな塀、初めて見た!(参加者)」
その後も、白色や茶色、まだら模様(写真上右)など多彩な施釉ブロック塀に出会いました。
「工業化されたなかに手作業が残っている。一枚一枚、微妙に色や模様に違いが出ていて、人のぬくもりを感じます」「タイルを好んで使ったジオ・ポンティと常滑が、タイルでつながったのが発見でした」。




海に面している常滑では、貝殻の入ったセメント壁も見られます(写真上左)。
「海の砂を使用した痕跡。自然の洗い出しになっていますね」。
クネクネと曲がりくねった、常滑特有の細い道を進みます。
土管や焼酎瓶を使った建物の基礎や土留めがあちらこちらに(写真上右)※注1。
「土管の良品は地下に埋まって見えませんが、これらのほとんどが不良品の再利用です」。
「すごい!」と感心しきり。
「常滑には何度も来ていますが、こんなに迫力のある街だとは知りませんでした。こうして案内してもらうと、違う目で街が見られて新鮮です」と参加者。



電らん管を再利用した塀

「鎧壁です(写真上左)。鎧囲いの外壁を外すと内側の土壁が現れる仕組み。あちこちに窯場がありよく火事になったので、延焼を防ぐための工夫です」。
「これは焼き杉ですか?(参加者)」「コールタールです。塩害を防ぐためと、素人が塗ってもむらが少ないので好んで使われました」




製陶会社社長の自邸が並んでいる“常滑の田園調布”一帯を中心に、門塀や外壁にさまざまなタイルや施釉ブロック、穴あきブロックなどが使われています。
参加者は、「あのタイルの色の組み合わせがステキ」「いまデザインしたら、見積もりが合わないでしょうね」「かわいい」・・・。




道路に沿って敷地ぎりぎりに建てられた変わった形の家、屋根の上の鐘馗(しょうき)さん、花壇に使っている瓦、陶板レリーフの外壁、井戸(井筒)などなど。上に下にと視線を変えて歩いていきます。

最後は、建築家・堀口捨己設計の「とこなめ陶の森 陶芸研究所」へ。
家永信昭主事から建物の見所や堀口氏のこだわりを説明いただきました。




「常滑がこんなに面白い街だとは」「いろんなインスピレーションを感じることができました!」と参加者たち。
「僕たちも歩くたびに、毎回発見があって面白かった。今日は、街の魅力を再発見し、『常滑の皮膚』を感じていただけたのではないでしょうか」
「常滑は歩くのにちょうどいいサイズの街。2時間歩いた中でも、細かな注目ポイントが途切れずにありました。視点の持っていき方で、いくらでも街歩きを楽しめるということがお分かりいただけたのではないでしょうか」と、トラフのお二人は締めくくりました。



常滑の裏道を巡る「街並み・建築ツアー」をお楽しみいただけたでしょうか?
《撮影=藤枝彩子》

※注1:詳細は、2011年に開催した企画展「やきものを積んだ街かど〜再利用のデザイン」の関連冊子に掲載しています。

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