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ライブミュージアム日記

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2009年以前の記事は、ライブミュージアムでの日々の出来事やスタッフの想いを綴ったものです。

2006年9月以前の記事は、土・どろんこ館開設準備室による「どろんこ広場」として書かれたものです。


独自企画や地域との連携で、コンサートや講演会、ワークショップなど、さまざまなイベントを開催しているミュージアム。ライブ感あふれる活動をスタッフがご案内・ご報告します。

No.114 これぞまさしく“掘り出し物”!

2009/03/12

担当 立花

“一目惚れ”とは、こういう瞬間を言うのか。そう思わせる出会いが一月下旬にありました。
『還情園池紋製※』の銘が入った染付の小判形大便器を寄贈いただける話が人づてにあり、愛知県瀬戸市へ取りに伺った先でのことでした。

「もう一つ染付の小便器を持っている。形は珍しいと思われるが、割れているから土に埋めて花壇として使っている。たぶん銘も入っていたと思う」と帰りがけに言われ、せっかくだから見せていただくことにしました。

企画展『染付古便器の粋』(2007年11月〜08年3月)の開催と関連冊子の作成に際しては、全国から情報を収集して取材を重ねたうえ、古便器蒐集家・千羽他何之さんの膨大なコレクションを全てミュージアムでお預かりするなど、かなり多くの非水洗便器を見てきたつもりでした。ですから、始めて見る絵柄はあるものの、珍しいと思える便器にはそうそう出会いません。

名古屋市内の旅館か料亭で使われていたと伝わり、割れているにも関わらず、骨董市を経由して花壇に仕立て使い続けられている便器とはいったいどんなものか。珍品を探し求めている私としては、見ないでは帰れないと思いました。


舗道に面して埋められていた小便器。冬だからと、何も植えられていませんでした

きりりとした目つきの雉(キジ)がつがいで松の下に堂々と描かれた、美しい絵柄の立派な磁器製のやきものが、舗道に向かって埋まっているのが目に飛び込んできました。手前には鶴と菊の絵柄が。板を張り合わせた木製の朝顔形小便器と同じように、板状の磁器土を組み合わせた形は大変珍しいうえ、ゆがませず、ひびを入れないようにつくるのが大変難しく、高度な技術が必要となります。陶磁器製では初めて見る形に胸が高鳴ると同時に、「本当に便器なのか?」と思われるほど精密な筆使いと大胆な構図に驚嘆の声を上げていました。


松に雉。松の根元にもう一羽いる

菊に鶴。よく見ると、鶴は5羽いる。


これほどまでに美しい便器がつくられ使われた、粋な時代があったことをもっと多くの方に知っていただきたいと思い、お願いして掘り出していただきました。


土を掘ると、脇に書かれた『還情園池紋製』の染付銘が現れた

ミュージアムにやってきた小便器は、割れた部分の一部を接着して補修され、先日常設展示の仲間入りをしました。お客様から「これは二人用?」と言われるほど、大きさも立派な自慢の逸品です!ぜひ、そのすばらしさを間近に確認ください。


「還情園池紋製」の染付銘入り便器を展示したコーナー。右側が通常の朝顔形小便器。


※かんじょうえんいけもんせい:幕末から明治にかけて染付磁器の窯元として国内外で高い評価を得ていた紋右衛門窯(瀬戸)でつくられた便器の染付銘。明治30年(1897)前後より便器の生産を始め、花瓶や食器と同様にその高度な技術とデザイン力を注いだ。磁器製の便器は富裕層を対象とした高級品だった。


「還情園池紋製」銘入り便器でよくみかける絵柄

アールヌーボー調の絵柄が大変珍しい逸品


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