INAXライブミュージアム


ライブミュージアム日記

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2009年以前の記事は、ライブミュージアムでの日々の出来事やスタッフの想いを綴ったものです。

2006年9月以前の記事は、土・どろんこ館開設準備室による「どろんこ広場」として書かれたものです。


独自企画や地域との連携で、コンサートや講演会、ワークショップなど、さまざまなイベントを開催しているミュージアム。ライブ感あふれる活動をスタッフがご案内・ご報告します。

No.83 古便器について、情報提供のお願い

2008/01/22

担当 立花

「窯のある広場・資料館」2階では、非水洗便器や尿瓶(しびん)のコレクションを1997年より常設展示してきました。また、現在開催中の「染付古便器の粋」展では、染付が施された古便器にスポットを当てて紹介しています。



白地に呉須で絵付けを施した染付便器の産地は3箇所ありますが、ほとんどが瀬戸産(愛知県)です。瀬戸では陶器と磁器の両方がつくられましたが、磁器生産はわずか十数年の短い期間だけ。絵柄はとても美しく絵付けの技術も高いのですが、高価だったためそれほど普及せず、現存する資料はいずれも貴重と言えます。

一方、有田(佐賀県松浦郡)では、わずか数年しか便器がつくられなかったようです。現存する染付便器のうち、有田産と確認できているものは3点のみでいずれも磁器製です。サンプルが少ないためさらなる調査研究が必要ですが、会場に展示している資料を見ても、瀬戸のものに比べて土の違いから形が歪んでいるうえ、つくり方や絵柄の雰囲気も異なることが分かります。

有田産磁器製
有田産磁器製の小判形大便器

瀬戸に遅れること約20年、平清水(山形県)でも瀬戸を真似た陶製の染付便器がつくられるようになり、東北方面に出回りました。鉄分を含んだ土に白い泥を厚く化粧掛けして染付が施されているため、瀬戸と産地の識別が可能です。平清水では昭和半ばまでつくられていたため、新しいものもかなり残っています。

瀬戸産磁器製
瀬戸産磁器製の朝顔形小便器裏面
瀬戸産陶器製
瀬戸産陶器製の朝顔形小便器裏面
平清水産
平清水産陶器製の朝顔形小便器裏面


染付以外の便器についても調査研究を行っています。 瀬戸以外に陶器製便器の産地として有名な信楽(滋賀県甲賀郡)や常滑のものは、それなりに資料が残っており、調査を続けております。

左から赤坂産、常滑産、信楽産
左から赤坂産、常滑産、信楽産の陶器製小便器

一方、赤坂(福岡県筑後市)では、鉄分を含んだきめ細かい土に緑青釉などの釉薬を掛け分けた信楽風の便器が、高浜(愛知県三河地方)でも、栗色の釉薬が施された低温焼成による便器がつくられましたが、いずれも現在2点しか確認できておらず、大変貴重です。


高浜産角形大便器

昭和42年(1967)に日本衛生陶器工業組合が作成した『衛生陶器五十五年』によると、新川(愛知県三河地方)でも低温焼成による便器が、また、高松市御廐焼(香川県)では「讃岐便器」が作られていたようですが、現物が無いためどのような便器がつくられていたかなど詳しいことは分かっていません。

「染付や織部調の絵付けが施されたものや釉薬が掛け分けられたもののように、見た目に美しい便器は残そうと思うが、それ以外のものは取り壊して残っていないのが一般的」と、常滑市民俗資料館の中野晴久氏。当時の事を知っている職人や絵付師、問屋の人たちが亡くなっているうえ、産地によっては既に廃れてしまっており、非水洗便器の産地全てについて調査できていません。

しかし、「古便器のことならINAXへ聞けば分かる」と言われるよう、今後も調査を続けていきたいと考えています。そのため、陶磁器製便器やトイレに関係する資料・情報をお持ちでしたら、ぜひご一報ください。よろしくお願いします。

問合せ先:INAXライブミュージアム (0569)34-8282 《担当:立花》

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