INAXライブミュージアム


ライブミュージアム日記

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2009年以前の記事は、ライブミュージアムでの日々の出来事やスタッフの想いを綴ったものです。

2006年9月以前の記事は、土・どろんこ館開設準備室による「どろんこ広場」として書かれたものです。


独自企画や地域との連携で、コンサートや講演会、ワークショップなど、さまざまなイベントを開催しているミュージアム。ライブ感あふれる活動をスタッフがご案内・ご報告します。

No.155 七代 加藤幸兵衛氏 ラスター彩講演で来館

2014/02/13

担当 竹多

現在、INAXライブミュージアムの世界のタイル博物館では、企画展「ラスター彩タイル〜天地水土の輝き」を開催中(最終日:2月16日)で、本場イスラームのラスター彩タイルの実物のほかに、日本で再現されたラスター彩のやきものを展示しています。この企画展に関連して去る1月18日、INAXライブミュージアムに七代加藤幸兵衛さんを多治見市からお招きして、ラスター彩制作の極意を伺いました。



2階特設会場に展示されている加藤幸兵衛さんの作品のひとつ〜「ラスター彩騎馬人物文大皿」

講演会は、会場一杯の聴講者の拍手に包まれて始まりました。講演会は100分に及びました。私たちは古いかすかな記憶を書き換えるように、次から次と飛び出すイランの自然風土や風俗、歴史の画像と説明に引き込まれていきました。町を行きかう若い人たちの服装は現代っぽく、女性のチャトル(頭巾)の巻き方も露出の多いものが多かったといいます。予想していたよりも親しみのある生活ぶりだったことに驚かれたようです。



来場のみなさんの中には学生、地元の陶芸家、多治見の幸兵衛ファンの皆さんなど多彩でした。

幸兵衛さんの父君、人間国宝の故加藤卓男さんがラスター彩の再現に取り組もうとイランを訪れたとき、だれもラスター彩の製法を伝える人がおらず、7〜8人の陶芸家が再現を試みていた程度だといいます。そして米国の研究者の記録を足がかりに昭和49年卓男さんはついにラスター彩の再現に成功しました。その成果をイランで発表したかったのですが、政治情勢の悪化で叶わないでいたところ、昨年の夏に在イラン日本大使館の招待でイラン国立博物館において、お二人の作品とイラン現地の陶芸家の作品、そしてペルシャ時代のラスター彩陶器の作品が一堂に会して発表されることが実現しました。イランに有名なやきものが3つあるといいます。ペルシャンブルー、ペルシャ三彩、そしてラスター彩、この3つを挙げることができれば、かなりの通ということになると幸兵衛さんはおっしゃいます。




幸兵衛さんは終始立ったまま説明されました。イランとイスラーム陶器に対する熱い気持ちがその姿からも感じられました。

話題は、イランの自然風土や風俗の説明に続いて、いよいよ核心部分に近づいていきます。世界のやきものは、大きく分ければ中国圏とペルシャ圏に分けられ、それは磁器と陶器のちがいでもあり、中国の磁器は1200〜1300℃という高温で焼成され、ペルシャの陶器は1100℃という低い温度で焼成します。ペルシャの原料にはナトリウムやカリウム、マグネシウム、カルシウムといわれるアルカリ金属やアルカリ土金属が含まれていて、高い温度で焼締めようとすると溶けてガラスになってしまう。だから少し低い温度で焼成するのであるが、結果として容器では水漏れしてしまい、実用的なものは作れず、もっぱらガラスや金属製の食器を作っていたとのこと。そのため、日本で再現するなら磁器でやってみたいということで、磁器ラスター彩の制作に挑戦したとのこと。
幸兵衛さんから説明されたラスター彩の製法は次のとおりです。
日本の原料で成形、素焼き、錫白釉を掛け1200℃で締焼き、ラスター絵の具で絵付け、そして600℃の強還元で焼成します。焼成したものは、絵付けした部分が少し盛り上がっていますが、次の工程でこれを金属タワシなどで研磨します。するとメタリックな輝きをもったラスター彩の図柄が浮かび上がってきます。会場では、最後に、事前に用意されたラスター彩の焼成品を会場の皆さんに手で触れてもらい、次にその場で幸兵衛さんが研磨し、金色に輝く研磨面を再び皆さんに触ってもらいました。非常に貴重な経験をさせてもらったのです。上絵付けなのですが、仕上がったときには釉の中に沈みこんでいるのですと説明がありました。




ラスター彩制作の最後の工程、研磨を実演する幸兵衛さん。


焦げた絵の具を金属タワシで研磨すると、金色に輝くラスター彩の図柄が浮かび上がります。


焼成したラスター彩の表面を手で触って確認する地元常滑の陶芸作家、平野祐一さん。ほかにも会場の多くの人がラスター彩の研磨前後の手触りの変化を実際に触って確認しました。

最後に、イスファハーンの「王のモスク」や「孔雀のドーム」、「ペルセポリス」などのイランの名勝の紹介がありました。光が差し込むと跳ね返る天井のドーム、コーランの朗詠の響き、お香の匂い、唐草模様の広がりなど、ドームは精神の安らぎに人を誘ってくれるとおっしゃっていました。




イスファハーンの孔雀のドーム


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