INAXライブミュージアム


ライブミュージアム日記

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2009年以前の記事は、ライブミュージアムでの日々の出来事やスタッフの想いを綴ったものです。

2006年9月以前の記事は、土・どろんこ館開設準備室による「どろんこ広場」として書かれたものです。


独自企画や地域との連携で、コンサートや講演会、ワークショップなど、さまざまなイベントを開催しているミュージアム。ライブ感あふれる活動をスタッフがご案内・ご報告します。

No.111 古いものの居場所

2009/02/09

担当 竹多

どこの家庭にも古いものはありますし、その価値は何となくわかっていて、いつまでも捨てられないで、思い出とともに家の片隅に眠っているのが現実です。我が家にも、技術革新で陳腐化していった物がいくつも残っています。録音機、プレーヤー、写真機。当時としては最高級の技術であったのですが、とくにこのような精密機器の陳腐化はどうしようもありません。将来これらの品物がどう処分されるのか不安もあります。


博物館にはさまざまな役目がありますが、資料の収集もそのひとつです。収集したタイルや古便器などの資料は、寸法や色、柄などの基本データーを採って、蓄積され、そのバリエーションや、同じものが集まればその数でその資料の普及の度合いも推定されます。寄贈される方は、本来の使命を終えた資料が再び日の目を見る舞台に立てる、そんな期待をもちつつも、やはり最後は思い出を持っていかれてしまうという寂しさがつきまといます。一方もらい受けた博物館では、担当者が是非とも展示したいと思って館へ持ち帰るわけですが、それが直ちに実際の展示に反映されることは難しいのです。元のきれいな姿にすることや、現状の展示のレイアウトを大幅に変更しなければならないこともありますし、ほかにも出番を待つ多くの資料がいることも事実です。運良く出番を与えられた場合は、担当者にとっても喜びです。寄贈された方とこの喜びを共有化でき、苦労が報われます。


今回紹介する便器も、信州飯田のもと養蚕農家だった邸宅に保管されていた染付の朝顔形小便器です。大きな敷地の片隅にある小屋のまえに、泥や落ち葉や廃材とともに埋もれていました。尿成分がこびりついて汚い感じもしますので、持ち主の方はこれをきれいにして家の中に飾ろうという気持ちがあったそうです。しかし、現実にはきれいにするノウハウも体力もないというご高齢の方です。瀬戸の六代目加藤紋右衛門の作ということが便器にかかれた銘によってわかりました。きれいにして家の中に飾りたかったという持ち主の気持ちを汲んで、最終的には寄託という形をとりました。一定期間たったらいつでも返却するというものです。



やきもの釉面についた汚れは、必ず無事に取り除くことができるので、泥や汚れもものともせず掘りあげた





広い屋敷の庭で最後の雄姿を見せる、拭き清められた古便器。あとは館へもどってきれいにしてあげます。


この染付古便器の逸品は、今年1月5日にリニューアルした資料館2階の染付古便器の紋右衛門コーナーに収まっています。 ガラス張りのきれいな場所に誇らしげに鎮座しています。博物館としては、貴重な歴史資産を多くの方に見ていただくことができて、貢献できたかなと思いますが、「ご主人のところに帰りたい」とささやく古便器の声も聞こえてきます。



居心地の良い悪いは別にして、きれいに磨かれて立派に役目を果たしてくれている朝顔形小便器(右端)

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