建築とデザインとその周辺をめぐる巡回企画展



展覧会案内

水屋・水塚 -水防の知恵と住まい-展<br>Mizuya-Mizuzuka “Shelter on Elevated Ground”

水屋・水塚 -水防の知恵と住まい-展
Mizuya-Mizuzuka “Shelter on Elevated Ground”

かつて頻繁に洪水に見舞われた地域では、水屋(みずや)・水塚(みずづか)を代表とする住まいが身を守る避難場所として建てられ、地域独特の景観をつくっています。
本展は、全国の主な洪水常襲地帯に残る水防建築類の写真を中心に、関連の模型、農具などを含め約60点を展示します。人々の知恵を生かした「河川伝統技術」による水防建築をとおして、川とともに生きてきた日本人ならではの住まい方を再考します。

Mizuya-Mizuzuka “Shelter on Elevated Ground”
Traditional Flood Prevention Wisdom


Osaka: 3 June-23 August 2016

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ギャラリー1(東京): 2016年9月8日(木)〜11月26日(土)
□Closed:水曜日/Wednesday
□AM10:00〜PM6:00
□入場無料/Free
ギャラリー大阪: 2016年6月3日(金)〜8月23日(火)
□Closed:水曜日/Wednesday、8/12-17
□AM10:00〜PM5:00
□入場無料/Free


BOOKLET
講演 会「水屋・水塚 水防建築を歩く」(大阪)
講演 会「水屋・水塚 水防建築を歩く」(東京)
展示会概要
水屋・水塚

城壁のように見事な石垣の上に立つ東春酒造(愛知県)の水屋。今も手入れを怠らず、板張りと漆喰のコントラストが美しい。
撮影:大西成明

水屋・水塚

「段蔵」松村邸(大阪府高槻市)。北側から見ると、階段状に高くなっている様子がよくわかる。蔵の基盤の高さは3段階だが、屋根は5段構成となっている。
撮影:大西成明

水屋・水塚

「石囲いの家」高部邸(徳島県美馬市)。母屋(左)と田畑を囲む石巻堤(いしまきてい)。石巻堤とは、土で築いた堤防の表面を石で補強したもの。石の隙間に雑草が生えるため、近年コンクリートを詰めたという。
撮影:大西成明

水屋・水塚

水屋をつなぐ「どんど橋」。右手の水屋が明治29年の大洪水で一部浸水したため、左により高い石垣を組んで新しい水屋をつくらせた。石垣の高さは4〜5mにも達する。この家は酒造業を営んでいた大地主であった
撮影:河合孝




*画像をご使用の方はLIXILギャラリーまでお問合せ下さい。


川と共に生きてきた
先人の術を知る


見どころ

人の背を越すほどに積み上げられた石垣や盛り土を「水塚」、その上に建てられた蔵を「水屋」といいます。これらは近年の治水整備が整う以前の水防建築を代表する例です。人、食物、大切な家財道具などを避難させ守ってきました。川の恵みを受けつつも、常に洪水の危険に曝された地域には、川に対して柔軟にふるまう災害文化が築かれました。それは巨大な防壁とは異なり、被害の軽減を目的とした先人たちの経験や知識に基づく、地域内の自助共助の策だったのです。
本展では、日本大学理工学部畔柳研究室での約15年に及ぶ水害地帯の建築や暮らしに関わる調査研究を土台に、新規取材分を加えた事例をとおして、川を意識した暮らしの中で生まれた住まい方について再考します。会場では、中部の木曽三川、関東の利根川や荒川、また四国の吉野川流域など、全国の主な洪水常襲地帯にみられる10種類の河川伝統技術による水防建築類を、写真家・大西成明氏による撮り下ろし写真を中心に、それぞれの河川流域や技術の特徴などの解説を添えて紹介します。また、敷地内の水屋の配置や母屋との高さの差異、そして水勢を軽減する敷地形状が把握できる模型2点を展示します。さらに昭和30年代の木曽三川流域で見られた輪中(わじゅう)(堤防に囲まれた水防共同体)内の風景を記録した河合孝氏の写真を、当時使われていた独特の農具とともにご覧いただきます。
川への意識が薄れてきている中で、水防建築は、その数を徐々に減らしながらも、水害の記憶を刻む地域のプロフィールとなって美しく印象づけています。
 
<水屋・水塚/木曽三川、庄内川、荒川、利根川>
木曽三川、庄内川、荒川、利根川の流域ごとに多様な水屋・水塚を紹介します。
荒川流域の水屋は土蔵が多く、利根川流域は木曽三川と同様に冬の突風から土壁を守る板張りの蔵が多く見られる他、避難生活用の居住式や貯蔵用の倉庫式といった用途の違いや、水塚の高さや積み方にも地域差があります。また水屋を備える家では「上げ舟」という救助・避難用の小舟が軒先などに吊るされていることが多いのも特徴です。

<段蔵/淀川>
淀川は、水運などによって大都市大阪の繁栄を支えた川でしたが、昔から流域に酷い水害をもたらす川でした。この洪水常襲地帯で生み出されたのが「段蔵」という独特な建築物です。その名の通り、階段状に高くなっていく蔵が連なる水防建築です。この建築様式は、淀川流域以外ではほとんど見ることができません。
 
<城構えの家/吉野川>
四国山脈を横断し、徳島平野を貫く大河川、吉野川は頻繁に洪水を起こしてきました。16世紀から川の中流域で藍づくりが栄えます。洪水が沃土を運び藍に適した湿地帯を作ることができたのです。危害を及ぼす洪水と富をもらす藍作は二律背反の関係となりました。
その経済力を背景に作られたのが「城構えの家」。敷地の周りを城のような石垣で囲い、敷地全体をかさ上げして洪水から屋敷を守る水防建築です。
 
<木曽三川 輪中の風景 -河合孝さんの写真記録から->
岐阜県大垣市在住の写真家・河合孝さん(1931年生)が木曽三川の輪中を撮りはじめたのは昭和30年代初頭。そのころは、まだ輪中らしい光景を見ることができる時代でした。ここでは、当時の輪中の暮らしを収めた迫力あるモノクロ写真8点をご覧いただきます。水屋をはじめ、周囲の土を採って盛り土にしたことで家のまわりが沼や池になった「堀潰れ」に囲まれた農家や、「堀田」と呼ぶ土を積み上げた輪中の田んぼ風景、また洪水時、夜中じゅう堤の上で警戒していた輪中民が朝を迎えている様子など、今では窺い知れないものばかりです。写真に加え、「堀田」で農作業をするときに使用されていた道具類5点を展示し、当時の様子をさらに間近に感じていただきます。

展示にあたり、関係の皆様には多大なるご協力を賜りました。この場をかりて厚くお礼申し上げます。



[企  画]
LIXILギャラリー
[制 作]
株式会社LIXIL
[協 力]
日本大学理工学部海洋建築工学科(畔柳昭雄教授・菅 原遼助手/青木秀史・横田憲寛・飯 塚智哉)、河合孝、海津市歴史民俗資料館

BOOKLET
水屋・水塚 -水防の知恵と住まい--
『水屋・水塚 -水防の知恵と住まい-』

2016年6月15日発売
定価:1800円(税別)  LIXIL出版
会場風景
水屋・水塚
水屋・水塚

水屋・水塚

水屋・水塚

2016年 大阪会場写真





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