『東西蝦夷山川地理取調図』安政6年刊。十勝平野周辺図
『木片勧進』 明治20年刊。
「一畳敷」の書斎を図とともに古材の由来をまとめ出版したもの。
『久摺日誌』 文久元年刊。現在の釧路周辺の紀行本。北海道を各地域ごとに纏めたシリーズの1冊。このシリーズは動物や植物などがふんだんに盛り込まれている。
画は魚「イトウ」の図
『北蝦夷余誌』 安政7年刊。現在のサハリン(樺太)についての紹介本。アイヌの人たちだけでなく、様々な北方民族の姿を紹介しているのが特長。
この画は武四郎一行の様子。
撮影:すべて中里和人
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旅に生き、莫大な記録を残した
破天荒な才人
終の庵、一畳の宇宙
明治の評論家・内田魯庵が「好事の絶頂」と評した畳一畳の書斎「一畳敷」。それは幕末に蝦夷地探検に命をかけた松浦武四郎(1818-1888)が、晩年に全国各地の有名な社寺仏閣から古材を寄付してもらい建てたものです。
松浦武四郎とは型破りな才人で、生涯をかけて日本全国を旅し、それを240点以上のすぐれた画と文章で著作に表した著述家です。また、和歌や篆刻にも優れ、多くの人々との交流とともに、各地の文物を蒐集した趣味人でもありました。幕末にさまざまな活躍をしながらも、表舞台で語られることの少なかった武四郎。今展では、終の棲家として建てた「一畳敷」を起点に、人生の足跡をたどりながら、武四郎の八面六臂の人物像に迫ります。
会場には、中央に写真パネルで立体的に再現した、武四郎の書斎「一畳敷」を配しました。人間がちょうど収まる空間の心地よさを中に入って体感していただき、そこに使われた91点もの古材の出所の一部をそれぞれ紹介します。彼の奇想天外な発想と旅の集大成が結実した住まいをご覧ください。周辺には武四郎の探検家としての偉業と旅での成果を年代順に紹介します。
激動の時代に生きながら、ダイナミックな行動で様々なものを残した武四郎。真摯な中にもユーモア溢れる彼のまなざしをじっくり鑑賞できる機会です。
今回の展示・取材にあたり、関係のみなさまには多大なるご協力を賜りました。この場をかりて厚くお礼申し上げます。
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