建築・美術展 GALLERY 2




展覧会案内

クリエイションの未来展 第13回 清水敏男監修 「鈴木基真展 MOD」

クリエイションの未来展 第13回 清水敏男監修 「鈴木基真展 MOD」

2017年10月12日(木)〜12月24日(日)

■ 休館日
水曜日、11月26日(日)
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料
■協力
Takuro Someya Contemporary Art

【トークイベント】

2017年10月30日(月)18:30-19:30 清水敏男 × 鈴木基真

2017年12月2日(土)18:30-19:30 伊藤 誠 × 鈴木基真


【ワークショップ】

「リピクセル」木キューブを使って好きな風景をつくろう

日時:2017年12月5日(火)、12月12日(火)  各回18:00〜(2時間程度)

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。


◆アートニュースはPDFをご覧下さい / Here is the leaflet of the exhibition
鈴木基真展 MOD アートニュース/ Motomasa SUZUKI "MOD"pdf_icon_s.gif
※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。
《Ghost#1》  2016  Light box with color transparency  h57×182cm  ©Motomasa Suzuki, courtesy of Takuro Someya Contemporary Art, photo : Ken Kato


展示会概要
LIXILギャラリー新企画「クリエイションの未来展」について
LIXILギャラリー企画「クリエイションの未来展」では、2014年9月より日本の建築・美術界を牽引する4人のクリエイター、清水敏男氏(アートディレクター)、宮田亮平氏(金工作家)、伊東豊雄氏(建築家)、隈研吾氏(建築家)を監修者に迎え、それぞれ3ケ月ごとの会期で独自のテーマで現在進行形の考えを具現化した展覧会を開催しています。

ライトボックスの新しい視覚体験
「クリエイションの未来展」第13回目となる今回は、美術評論家の清水敏男氏監修のもと現代美術の作品展「鈴木基真展 MOD」を開催します。
彫刻家 鈴木基真氏は、これまでアメリカ映画に登場する風景をモチーフに、建物や街を独特のスケールに置き換えた木彫刻を制作してきました。一見すると玩具のような愉しい世界ですが、よく見ると映像の光学的な歪みを表現しており、その視覚のズレに気づいた時、わたしたちは感覚をゆさぶられるような不思議な体験をします。
鈴木氏は2017年VOCA奨励賞を受賞しました。その作品はライトボックスによる「Ghost」シリーズです。「Ghost」は、木構造と粘土の塑像で玄関ポーチや窓を制作したのち、写真撮影をして、140pほどのライトボックスに仕立てたものです。光を背後から受けて薄闇に浮かぶドアや窓は、鈴木氏の特徴であるざっくりとしたテクスチャに乱反射して揺らいで見えます。まるで灯りが瞬き、家人の気配や話し声まで聞こえてくるような不思議なリアリティです。
展覧会タイトルの「MOD」とは、「Modification(変更)」の最初の3文字で、PCゲームにおいてユーザーが自由にゲームの改造や追加を行うことを言います。いつも鈴木氏の作品の風景には人物が登場しませんが、そのことによってわたしたちは自らを主人公に置き換えて自由に想像を膨らませることができます。
本展ではライトボックスシリーズ「Ghost」 3点のほか、新作の木彫刻を含む 7 点を加えた 10 点を展示します。

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《Ghost #2》  2016  Light box with color transparency  h61 × w121.5cm  photo : Ken Kato


「クリエイションの未来展」第9回の監修者、清水敏男について
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清水敏男  Toshio SHIMIZU
TOSHIO SHIMIZU ART OFFICE代表取締役、学習院女子大学・大学院教授、キュレーター、美術評論家。
1953年東京生まれ。ルーヴル美術館大学修士課程修了。東京都庭園美術館、水戸芸術館現代美術センター芸術監督を経て、現在は展覧会やアートイベントの開催、パブリックアートのプロデュースを中心に活動している。最近の主な活動に、「上海万国博覧会日本産業館トステムブース・アートディレクション」、「東京ミッドタウン・アートワーク」、「豊洲フロント・アートワーク」、「名古屋ルーセントタワー・アートワーク」、「いわて県民情報交流センター・アートワーク」、「ミューザ川崎・アートワーク」、「オノ・ヨーコ BELL OF PEACE 平和の鐘(学習院女子大学)」、「THE MIRROR」、「大手町フィナンシャルシティ」がある。
撮影:Herbie Yamaguchi


監修者からのコメント    MOD
   この度の「クリエイションの未来展」は鈴木基真を取り上げる。鈴木基真の木彫は以前から関心があったが、VOCA展の出品作品『Ghost#4』を見て新しい視覚体験の可能性を感じたことが本展覧会の企画の発端である。
   その作品は自作の彫刻を写真に撮り、それをライトボックスで見せるというものだった。その自作の彫刻とは家の玄関口を木構造に粘土で仕上げたもので、外は薄暗い夕闇に包まれているのだが、玄関のドアの向こうに暖かい室内が見える。
   この作品は現代人の視覚体験を的確に表現している。まずライトボックスで写真を見せるという行為についていえば、透過光の画面は私たちの現在の視覚体験そのものなのだ。

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左:《Ghost #1》  2016  Light box with color transparency  h57× w182cm / 《Ghost #2》  2016  Light box with color transparency  h61× w121.5cm  ©Motomasa Suzuki, courtesy of Takuro Someya Contemporary Art, photo: Kei Okano
右:《hanging on the ground》  2016  acrylic on wood h2570×w1000×d330cm  ©Motomasa Suzuki, courtesy of Takuro Someya Contemporary Art, Photo: Ken Kato


   私たちは今小さな液晶画面やLED画面を見ることに毎日多くの時間を割いている。人類はこれまで反射光を見て数百万年生きてきたが、ここ数十年の間に透過光の画面を見ることになってしまった。鈴木がライトボックスで写真を見せることをしたのは無意識的か意識的か私たちの視覚体験の急激な変化を「視覚化」している。
   しかしライトボックスはジェフ・ウォールがすでに1970年代末に制作している。ジェフの作品は実在の人物に演技をさせ、それを大判の写真に仕上げライトボックスによって透過光で見せるものだ。歴史的絵画を下敷きに映画の手法で画面を作り上げライトボックスで見せる。それは凍った映画なのだ。ジェフはやがてCGを手中にし、画面はますます作り込まれたものになって行く。
   こうしたジェフの作品とは異なり、同じライトボックスを使いながら鈴木の作品は全く異なる視覚体験をベースにしている。もともと鈴木はジェフのように映画を参照しながらも、ジェフとは異なり「凍った映画」を作るのではなく映画というフィクションを彫刻に変換することで映像作品の中に入っていくことを試みて来た。
   こうした鈴木の試みは、『Ghost#4』で新しい段階に入った。ジェフはライトボックスを映画の代替物として使ったが、鈴木はパソコンやスマホの液晶画面の透過光と同じ視覚体験の時代の子である。ただしこの視覚体験は単に物理的なことのみを指すのではない。映画と決定的にことなることは、それがデジタル画像でありインターネットに接続され相互性を持っていることである。
   『Ghost#4』における相互性は限定的かつ原初的な段階であるが、例えば鈴木はその相互性を手作り感の強い粘土で彫刻をつくることで不完全ながら実現しようとしているのではないだろうか。つまり鑑賞者は触覚的に画面に入り込む錯覚を覚えるのだ。それは前述のように鈴木が彫刻において実現した空間感覚だが、『Ghost#4』はそれを平面において試みた作品といえるだろう。しかし作品の中に入っていく作品構造については、実はもっと先がある。 
   作品の中に入っていく体験といえば、22、3歳の頃『La Modification』*という小説を読んだことが思い起こされる。ミッシェル・ビュトールというフランス人作家が1957年に書いた小説である。この小説ではすべてが「vous(あなた)」という二人称で書かれている。主人公はパリからローマ行きの列車に乗るのだが、列車に乗るのは主人公ではなく、「あなた」つまり読者である私なのだ。
   この構造は画期的だった。主人公は列車のなかで次々と考えが浮かんでいくのだがそれは「あなた」である読者が心変わりをしていくのであり、小説の最初から私と主人公は不可分の関係になっていく。私は作家によって想像された非現実空間と私のいる現実世界を行ったり来たりしていた。いや、いつのまにか私は小説の空間内部に入ってしまい、興奮状態のうちに読了した記憶がある。
   それまでの小説は作家が描いた世界を読者は外部から受け取る形式だった。しかしビュトールは境界を取り払い、読者はテキストを自分の体験とする。この小説が現れた1950年代の新しい文学をヌーボーロマンと言う。
   この小説の構造は、作者が作った構造のなかを歩き回る以上に、自分の想像力のなかで勝手に物語を作り上げることを可能にする。

   今回の展覧会の題名『MOD』はこの小説の題名と同じ言葉であるModificationの最初の3文字をとったものだ。これはPCゲームでゲームのユーザーが勝手にゲームの改造や追加をすることであるという。ゲームのユーザーがゲームの外にいてゲームを楽しむのではなくゲームの中に入っていく。
   鈴木が今回試みるのは彫刻家としてMODに挑むことである。つまり今回の展示で鈴木は作品のなかに入り込むという構造について語るのである。鈴木は「あなた」となりゲームのなかに入っていく。私たちはその後を追って「あなた」となる。作品のなかに入り込むことになる。
   ここでどうして私たちは作品のなかに入り込もうとするのかを考えたいが、紙数が尽きてきた。人間とは情報を求める動物であるが、他の動物と決定的に異なるのはフィクションの情報をつくる能力を備えていることだとユヴァル・ノア・ハラリは『サピエンス全史』で述べている。今は誰もがフィクションを作りそれをインターネットで相互につなげることができる時代なのだ。鈴木のそして私たちの試みは端緒についたところである。

清水敏男


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左:《half structure#2》  2016 Camphor wood, acrylic paint  h79 x w61 x d39cm
中央:《wall,roof,window#2》  2016  Camphor wood, acrylic paint  h50.5 x w36 x d25cm
右:《half structure#1》  2016  Camphor wood, acrylic paint  h31.5 x w44.5 x d29cm
3点すべて ©Motomasa Suzuki, courtesy of Takuro Someya Contemporary Art, Photo: Kei Okano


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2017年10月 会場風景



作家略歴
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鈴木基真  Motomasa SUZUKI
2004 武蔵野美術大学造形学部彫刻学科 卒業
1981 静岡県生まれ
受賞歴
2010 第11回群馬青年ビエンナーレ 優秀賞
2007 第11回岡本太郎現代芸術賞展 入選
2006 ジーンズファクトリーアートアワード 準グランプリ
2003 ARTISTS BY ARTISTS 入選
個展
2016 wall, roof, window(Takuro Someya Contemporary Art / 東京)
Honest Place(プラザノース / 埼玉)
2013 Cinematic Orchestra (LIXILギャラリー / 東京)
2012 Eyes / The form / An image(Takuro Someya Contemporary Art / 東京)
2010 World is yours(Takuro Someya Contemporary Art / 東京)
2007 鈴木基真展(村松画廊 / 東京)
2005 鈴木基真展(青樺画廊 / 東京)
鈴木基真展(ギャラリーES / 東京)
グループ展
2015 Ryuta Iida, Motomasa Suzuki, Mai Yamashita + Naoto Kobayashi, Yoshitaka Yazu(Takuro Someya Contemporary Art / 東京)
sculpture(Hagiwara Projects / 東京)
2013 瀬戸内国際芸術祭2013 醤油倉庫レジデンスプロジェクト秋会期(小豆島16エリア / 香川)
2012 TSCA Rough Consensus - Motomasa Suzuki and Takahiro Kamimura(HOTEL ANTEROOM KYOTO Gallery9.5 / 京都)
2011 Sunlit Boulevardiers(上村卓大邸 / 東京)
2010 群馬青年ビエンナーレ2010(群馬県立近代美術館 / 群馬)
2008 岡本太郎現代芸術賞展(川崎市岡本太郎記念美術館 / 神奈川)
2007 オープンスタジオ(未来工房 / 東京)
うらうらら、カナイサワコ、鈴木基真展(前橋文化研究所 / 群馬)
2006 ジーンズファクトリーアートアワード2006(高知市文化プラザかるぽーと / 高知)
2004 MOMOTAROW NOW ON SALE(青樺画廊 / 東京)
2003 ARTISTS BY ARTISTS(森美術館 / 東京)
2002 小平野外アート展(小平中央公園 / 東京)
2001 t.t.town(表参道画廊 / 東京)
その他
2012 Art Stage Singapore(Marina Bay Sands Convention and Exhibition Centre / シンガポール)
2011 アートフェア東京(東京国際フォーラム / 東京)