建築・美術展 GALLERY 2




展覧会案内

クリエイションの未来展 第11回 伊東豊雄展 Toyo Ito Exhibition<br>「新しいライフスタイルを大三島から考える」

クリエイションの未来展 第11回 伊東豊雄展 Toyo Ito Exhibition
「新しいライフスタイルを大三島から考える」

2017年4月1日(土)〜6月18日(日)

■ 休館日
水曜日、5月28日(日)
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料
■ 協力
伊東建築塾  今治市  今治市教育委員会
今治市伊東豊雄建築ミュージアム  海sora&花結び
大三島みんなのワイナリー  ヤマハ発動機
■ 展示写真
西部裕介  吉野歩
■ 展示映像
 
田中英行(編集)
TO NINE Inc. / LIFELOG Inc.(撮影)
石田多朗(音楽)

トークイベント
伊東豊雄(建築家)×藤巻一臣(ぶどう農家・ワイン醸造家)
2017年5月16日(火)18:30〜20:00

定員に達しましたのでお申込は締め切らせていただきました


プレスリリース(765KB)pdf_icon_s.gif
※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。


The 11th Future of Creation Exhibition
Toyo Ito 'Explproing a new lifestyle from Omishima'

1 April - 18 June 2017
■ Closed
Wednesdays, 28 May
■ Open
10:00〜18:00
■ Admission
Free



展示会概要
LIXILギャラリー企画「クリエイションの未来展」について
LIXILギャラリー企画「クリエイションの未来展」では、日本の建築・美術界を牽引する4人のクリエイター、清水敏男(アートディレクター)、宮田亮平(金工作家)、伊東豊雄(建築家)、隈研吾(建築家)を監修者に迎え、それぞれ3ケ月ごとの会期で、独自のテーマで現在進行形の考えを具現化した展覧会を開催しています。

→ Art and Architecture Exhibitions (GALLERY2)

建築家 伊東豊雄氏の提案する、日本の伝統文化の記憶を蘇らせる新しい暮らし
大三島を舞台にした2017年度10のプロジェクト

「クリエイションの未来展」の第11回となる今回は、建築家の伊東豊雄氏による「新しいライフスタイルを大三島から考える」を開催します。本展は2011年の「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」の開館以来、訪れる人を魅了してきた瀬戸内海芸予諸島に位置する大三島を舞台に、伊東氏が考える新しいライフスタイルの提案です。2015年に開催された伊東豊雄展「ライフスタイルを変えよう−大三島を日本で一番住みたい島にするために」(LIXILギャラリー)に続き、これまでの活動から生まれた品々の展示と2017年度に行われる新たな活動内容を紹介します。会場では2017年度に行われる予定の10のプロジェクトを写真や模型、映像で紹介します。またトランスポーテーションシステムについては、ヤマハ発動機が開発したコンセプトモデル「05GEN」の実物を展示します。
伊東氏が明日のライフスタイルを考える基盤とする、日本の伝統文化の記憶を蘇らせる暮らしの試みです。

2017年度10のプロジェクト
@  「みんなの家」を一日一度は必ず寄ってみたい場所にします
A  「物々交換」によって都会と島の記憶を交換します
B  「参道」を花と光で夢の道に変えます
C  「公民館+図書館」を「みんなの広場」に変えます
D  「農業」によって自給自足の生活を可能にします
E  2020年に瀬戸内初のワインで乾杯します
F  島の食材、島のワインで島の人の誕生日を祝う「オーベルジュ」をつくります
G  海辺の小学校をロマンティックなホテルに変えます
H  島の景色をゆったりと楽しめる電気自動車「縁側」を実現します
I  はじめてみよう大三島ライフ小さな移住計画

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左:ヤマハ発動機が開発したデザインコンセプトモデル「05GEN・06GEN」  ©Ayumi Yoshino
右:大三島で栽培される柑橘  ©Yusuke Nishibe



作家からのコメント
  2011年の東日本大震災や昨年の熊本地震は、近代主義の成果を謳歌する日本の社会に警鐘を打ち鳴らしました。技術に全幅の信頼をおいてつくり上げた街が、圧倒的な自然の力によってみるも無惨に打ち砕かれたのです。我々は大きな代償を払って、社会のあり方を根底から見つめ直す機会を得たのです。
  しかし東北で進められている復興計画は、相も変わらず「技術によって自然を征服できる」という近代主義思想に基づいています。また2020年を前にした東京でも巨大開発によって土地の歴史や記憶は急速に失われつつあります。

  私達は3・11以後の東北や4・14以後の熊本に通い、現地の人々と対話しながら、経済万能の社会への反省と、経済には拠らない豊かさを求める社会の可能性を探り続けてきました。何故なら見かけの繁栄とは裏腹に、東京の居住者の多くは地方への移住を求めているからです。内閣府の調査によれば、東京に住む20代の若者の50%近くが地方への移住を欲しているのです。彼らは車や、高級ブランドのファッションにも関心を示さず、住まいやオフィスもシェアする生活を「おしゃれ」に感じているのです。即ち若い人々は、経済の豊かさに頼らない「ポスト資本主義社会」の到来を敏感に感じとっていると言えるでしょう。2020年以降日本の社会は急速に変化するようにも思われます。

  「経済によらない豊かさを求める社会」とは一体どのような社会なのでしょうか。私達はそのあるべき姿を瀬戸内海に浮かぶ大三島に定めています。
  大三島は尾道と今治を結ぶしまなみ海道の中央にあって、人口約6000人、その約半数が65才以上の高齢者、典型的に少子高齢化が進んでいます。島にはこれといった産業もなく、大きな開発も行われなかったために島の大半はミカン畑に覆われたままの美しい島です。2011年に今治市が私の建築ミュージアムをつくってくれたことが契機となって、東京の塾生達と島に通い、島を元気にするための活動を始めました。そうした活動はいずれもきわめてささやかなものですが、明日のライフスタイルを考えるための基盤をなす、と考えています。

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大三島  ©Yusuke Nishibe

@ 「みんなの家」の意味を考え直す
  私達は東北被災地の仮設住宅団地の中に、人々が集まって話し合い、食事のできる小さな木造の寄り合い所としての「みんなの家」をつくりました。東北では15棟、熊本では実に80棟余りの「みんなの家」がつくられ、近隣住民の人々に利用されています。   しかしこれは単に被災地の人々が集まって暖をとる以上の意味がある、即ち「人々が集まる」という公共施設の原点と言えるのです。そこで大三島では大山祇神社参道の中心に位置する空き家を借り受け、塾生達と修復して「みんなの家」としての活用を始めました。昼間はカフェとして、またさまざまなイベントを催して島の人々の集う場所にしていきたいと考えています。
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大三島みんなの家

A 農業を再生する。
  島の産業の中心である柑橘の生産も高齢化の影響で次第に栽培放棄地が増えています。そこで私達はそうした土地を借り、醸造用葡萄の栽培を始めました。ワイナリーをつくって数年後には大三島産のワインを生産したいと考えています。ここでも「大三島みんなのワイナリー」と称して、島の住民の人達と協力し合いながら進めたいと考えているのですが、一方で島のイメージを変えて島外からの移住者を増やしたいという想いもあるのです。   またIターンで農業に従事している元気な人々もいるので、彼らを中心にゆるい農業共同体をつくり、生産の合理化をはかるとともに、私達がブランディングや販売のネットワーク化のサポートをしたいと考えています。近い将来、こうした農業の再生によって、食の自給自足の可能性を探りたいとも思います。
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左:大三島みんなのワイナリー 新植祭  ©Ayumi Yoshino
右:大三島に移住した瀬戸洋樹さん  ©Yusuke Nishibe


B 空き家修復による居住のシェアリング
  島外からの移住を促進するためには、仕事と住む場所が最重要課題です。島には数百件の空き家があり、それらの2割程度はすぐに使える空き家と言われています。それらを私達の手で修復して、若い人々がシェアできる住まいやオフィスにしていきたいと考えています。

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左:大三島ふるさと憩の家
右:農業スクールの実現を目指す


  この他にも、宿泊施設の整備、新しいトランスポーティションの開発、参道の活性化、農や食のスクールの実現などさまざまの小さな活動を積み上げながら、私達は新しいライフスタイルのモデルを大三島でつくり上げたいのです。

2017年2月7日
伊東豊雄


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2017年4月  会場風景  撮影:白石ちえこ

作家略歴
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伊東豊雄  Toyo Ito
1941年生まれ。65年東京大学工学部建築学科卒業。65〜69年菊竹清訓建築設計事務所勤務。71年アーバンロボット設立。79年伊東豊雄建築設計事務所に改称。
主な作品に「シルバーハット」、「八代市立博物館」、「大館樹海ドーム」、「せんだいメディアテーク」、「多摩美術大学図書館(八王子キャンパス)」、「高雄国家体育場」、「台湾大学社会科学部棟」、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」、「台中国家歌劇院」など。
現在、「新青森県総合運動公園陸上競技場」が進行中。
日本建築学会賞作品賞、ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞、王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞、プリツカー建築賞など受賞。
東日本大震災後、被災各地の復興活動に精力的に取り組んでおり、仮設住宅における住民の憩いの場として提案した「みんなの家」は、2017年2月までに15軒完成。その役割も、コミュニティの回復、子供達の遊び場、農業や漁業の再興を目指す人々の拠点などに発展している。今回の熊本地震に際しては、くまもとアートポリスのコミッショナーとして「みんなの家のある仮設住宅」づくりを進めている。
2011年に私塾「伊東建築塾」を設立。これからのまちや建築のあり方を考える場として様々な活動を行っている。また、自身のミュージアムが建つ大三島においては、2012年より塾生有志や地域の人々とともに継続的なまちづくりの活動に取り組んでいる。