建築・美術展 GALLERY 2




展覧会案内

「クリエイションの未来展」 第5回  清水敏男監修 <br>未来食 食に関する3つのストーリー展  謝琳 + 間島領一 + 品川明

「クリエイションの未来展」 第5回 清水敏男監修
未来食 食に関する3つのストーリー展 謝琳 + 間島領一 + 品川明

2015年9月3日(木)〜11月24日(火)

■ 休館日
水曜日、9月23日(祝)、11月22日(日)
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

トークイベント 謝琳(美術作家) × 間島領一(美術作家) × 品川 明(農学博士) *終了しました
2015年10月5日(月)19:00〜20:30

トークイベント決定! 藤井まり(精進料理研究家) × 品川 明(農学博士) × 清水敏男(アートディレクター)
2015年11月16日(月)19:00〜20:30

プ レスリリース(712KB)pdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。



展示会概要
LIXILギャラリー新企画「クリエイションの未来展」について
LIXILギャラリーは2014年9月より、新企画「クリエイションの未来展」を開催しています。日本の建築・美術界を牽引する4人のクリエイター、清水敏男氏(アートディレクター)、宮田亮平氏(金工作家)、隈研吾氏(建築家)、伊東豊雄氏(建築家)を監修者に迎え、それぞれ3ケ月ごとの会期で、独自のテーマで現在進行形の考えを具現化します。

The 5th Future of Creation Exhibition: Supervised by Toshio Shimizu
Eating in Future 3 stories on Eating -- Chelin+Ryouichi Majima+Akira Shinagawa

Sep 3 ? Nov 24, 2015

This exhibition will tell three different stories concerning “food” in the future through artworks by two contemporary artists who work with the theme “food” and a talk event featuring Akira Shinagawa, food researcher and doctor of agriculture.
Chelin upsets established visual and cultural images of food. She will exhibit artworks concerned with sugar, a food having both positive and negative aspects. Chelin’s constructions of cities and natural scenery using sugar display a strong nuance of human arbitrariness.
Ryouichi Majima’s works, while colorful and cheerfully Pop, overflow with humor and criticism. He will exhibit works taking such motifs as “deep sea fish” and “chicken” that examine human beings’ unlimited greed.
Akira Shinagawa, a doctor of agriculture who specializes in “taste education” (food consciousness theory), conducts research in the fields of environmental education, hydrospheric bioscience, and physiological ecology. He will discuss the importance of habitat as a shijimi freshwater clam and asari clam researcher.


「クリエイションの未来展」第5回の監修者、清水敏男について
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清水敏男  Toshio Shimizu
TOSHIO SHIMIZU ART OFFICE代表取締役、学習院女子大学・大学院教授、キュレーター、美術評論家。
1953年東京生まれ。ルーヴル美術館大学修士課程修了。東京都庭園美術館、水戸芸術館現代美術センター芸術監督を経て、現在は展覧会やアートイベントの開催、パブリックアートのプロデュースを中心に活動している。最近の主な活動に、「上海万国博覧会日本産業館トステムブース・アートディレクション」、「東京ミッドタウン・アートワーク」、「豊洲フロント・アートワーク」、「名古屋ルーセントタワー・アートワーク」、「いわて県民情報交流センター・アートワーク」、「ミューザ川崎・アートワーク」、「多摩川アートラインプロジェクト」等がある。


監修者からのコメント
「未来食」 清水敏男
  「食」は人間のインフラである。崇高な思想も、精緻な科学技術も、美しい絵画・彫刻も人間が作り出すのであるが、その人間は「食」がなくては存在できない。
  人間はどのように食を美術で表現してきたのだろう。
  今のオランダ、ベルギーあたりでは17世紀に食べ物を描いた絵画を盛んに産出した。それらの絵画は、いかにも食欲をそそる食べ物がみずみずしく描き出されている。果実、パン、肉、魚、野菜などすべてが単なるモノとしてではなく、食べ物として描かれていることは、いかに「食」に執着していたかを語っている。それらの絵はおそらくブルージュやアントワープ、アムステルダムなどの都市の家に飾られ、遠くはパリやマドリッドにまで運ばれた。今では各地の美術館に収蔵されている。
  これらの絵画は虚栄や儚さのアレゴリーであり宗教的な意味がある、という解釈が主流だが、ベルギー美術の専門家である森洋子氏は、花の静物画について美しい世界をつくった神への賛美であると言っている。食べ物を描いた静物画も、宗教を装いながら、食べ物への賛歌、喜びとして描かれたのではないだろうか。しばし深刻な惨状をもたらした戦争と病苦の中世が終わり、安定して食べ物が手に入るようになった時代が到来したその喜びの表現であると考えれば食べ物絵画の隆盛に納得がいく。
   ジャック・アタリによれば、資本主義は13世紀に運河が発達したブルージュで産声をあげ、16世紀はアントワープが繁栄し、17世紀から18世紀はアムステルダムが世界の海を制覇した。この辺りはかなり豊かだった。
  しかし儚さがその意味だとする解釈は捨てがたい。食べ物はすぐに腐敗するからである。
  かつて20年ほど前に韓国の作家チェ・ジョンフアの食べ物の彫刻をプロデュースしたことがある。それはレストランのショーケースにあるような食べ物の精巧な模型と本物の食べ物を皿に盛り、そのまま放置する、という作品だった。数日後に本物の食べ物は腐敗しはじめ、やがてドロドロとしたカビの山に変貌する。その一方模型の食べ物は、はじめはどぎつく人工的質感を発散していたが、やがてカビの山の合間で美味しそうな輝きを発し始めたのだった。
  人間と「食」の関係は、いかに「食」を腐敗から守り、安全に流通させるかという問題を克服するところにあったのではないか。ブリュージュの運河から現在のコンビニのシステムまでその要は同じである。
  ところが現在はそれが大きな問題になってきている。それは保存のために大量のケミカルを使うようになったことである。17世紀フランドルの静物画に描かれた食べ物はもはや儚さを心配することはない。保存料が守ってくれる。チェ・ジョンフアの作品ももう成り立たない。食べ物は腐敗しないのだ。

  さてこの度は3人の登場人物、2人のアーティストと1人の研究者がそれぞれの「未来食」について語るという企画である。食べ物が腐敗しない時代の先にどのような「食」が可能なのだろうか。

  ポップアーティスト間島領一のアートの核心にはつねに「食」があった。
  このテーマほどポップなものはない。それは生命を維持するために人間の起源から人類の最も近いところにあったからだ。ところが「食」はアートから遠いところにあった。アートが自然を超越する存在に捧げられてきた長い歴史が、「食」とアートとの間に距離をつくってしまった。間島はそれを必死に手繰り寄せ、「食」の面白さ、滑稽さ、深刻さ、不思議さを表現する。

  謝琳もまた「食」を扱うアーティストだがアプローチは全く異なる。
  素材の色彩ごとに料理が出てくる晩餐会、ブルーのケーキ、クッキーの家、巨大なウエディングケーキのようなタワービルが林立するインスタレーションなど、常に食べ物そのものを使って表現する。
  食べ物は言うまでもなく生命の可能性を維持するものだ。しかし食べ物はそう単純ではなく、文化の装いをまとっている。謝琳は「食」の文化性を巧みについてくる。食べ物にまつわる常識を裏切り亀裂を生じさせ、社会における「食」の本質を一瞬の光芒に露わにする。

  品川 明は食べ物の達人である。現在食べ物をもっとも熱心に考えている研究者のひとりである。食べ物が腐らない現代にあって、腐るべき食べ物の現代的もしくは未来的なあり方を提言することだろう。品川は「おいしい」という食べ物本来の価値を考えることで「食」の正しいありかたを求め、そしてその「食」が作り出す「からだ」と「こころ」のことを考えているに違いない。

  食べ物が腐らない時代は、果たして幸せな未来なのか。今こそ「未来食」を考える時である。


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左: 間島領一 1987年 「まな板に乗ってしまった深海魚」" A deep-sea fish on a chopping board" 21.5×42.5×16cm mixed media 個人蔵
右: 謝琳 「Dune」 2011年 450×320×80cm 砂糖、卵、発砲スチロールなど 撮影:Florian Claar


品川 明氏からのコメント
現在の食を見つめ直し、過去の食の大切さを発見することから始まる未来食
  私たちは食をどれくらい知っているだろうか?食べものを食べる時、食べものを感じて食べているだろうか?食べものが私たちに感じて欲しいことがあるのではないだろうか?
  経済の発展、利便性の追求、食の工業化などによって、日本人は食に対する多くの価値を享受している。しかし、何か目に観えないものを感じ取れなくなっているのではないだろうか。失ったものとは一体何だろう?
  今、自分が口にしている食物が、どこで生まれ育ち、どのような繋がりから食卓に上がってきたのか。また、なぜそのような色や形を呈し、なぜそのような匂いを発するのか。さらには観て触れて嗅いで聴いて食べた時に体が何を感じたのか、食に対するあらゆる意識や感覚を使うことを忘れてはいないだろうか。自身に備わっている能力としての五感を呼び起こし、感性を研ぎ澄まし、沸き起こる想いを確かめることで、自身が産んだ言葉が生まれ、他者とのコミュニケーションも楽しく円滑になる。
  食べるものは物としてではなく、命あるものとして捉え、おいしさの源がその食べものの命の輝きにあることを実感してほしい。命の輝きとは、その生きものが、生きている場所で、どのように生きているのか、いろいろな知恵や工夫が長い歴史の中で培われたありさまである。食べるものは、当たり前に、そこにあるものではない。地球誕生以来の長い時間と数え切れない命の繋がりがあって今在るものである。奇跡的であり、尊い、有り難い存在である。そして、私たちはその有り難い命を頂き、私たちの命を繋げている。
  我々は一見多様な食べものを食べているかのように思う。しかし、食の調達の場が変化し、旬や季節感が失われ、食の形骸化が進み、食に対する文化的価値も喪失している。食べものの種類が多くあっても、味わいの多様性がなくなり、均一で同じような味の食が多いと感じる。その結果、徐々に五感力が衰え、自分と自分を取り巻く世界を認識するために必要なかけがえのない、ゆっくりとした世界を味わうのに適した感覚は、驚くほど貧困になっている。
  食の表層を感じるだけでなく、食の中に隠されたものや事柄を感じ取るために五感や心で食を味わうことにより、その価値や背景を理解し、食を自律的に選択できる力、さらに、自分で思考する生きる力、人生を豊かに味わう力、文化や未来を創造する力を培うことができる。そのためには、まず、季節感ある郷土の食や家庭料理が大切である。郷土で培った郷土の食は文化的、教育的、環境的、社会的、経済的な価値や意味が含まれる。
  食には多くの物語がある。おいしさには多くの理や物語がある。食べものをきちんと食べること、食べものをじっくりとゆっくりとした食べかたによって、五感や心で味わうことによって、情報に捉われない自分自身の心の声を聴いて、自分に正直に応えられ、食を感じ取る能力が身につく。もっと、感性を磨き、自分自身に自信を持つことが未来の食を考える際に大切ではないだろうか。

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2015年 会場風景

◆アートニュースはPDFをご覧下さい。
未来食 食に関する3つのストーリー展 アートニュース(747KB)pdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。
作家略歴
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謝琳 / Chelin
1967 東京生まれ
1988 武蔵野美術短期大学 専攻科グラフィックデザイン研究室卒業
主な展覧会・受賞


1996 個展Mellow House(神宮前 デジタローグギャラリー)
1997 美味しいアート展 -みる・つくる・たべる(大阪 天保山現代館)
1999 Tokyo Shock(ケルン プロジェクトラウム・トリロフ)
TAMA VIVANT’99(多摩美術大学)
Art Sweet Home(広島市立現代美術館)
個展デガージュマン(東京スタジオ食堂)
2000 ミステリーパスタパーティー(金沢21世紀美術館建設事務局)ワークショップ
2001 ARTING 東京2001-生きられた空間・時間・身体(セゾンアートプログラム東京牛込原町小学校)
Tafelrunden(ミュンヘン Maximiliansforum)
2002 The First Move(東京国際フォーラム)
2003 The First Step(ニューヨーク PS1)
2006 食と現代美術 Part 2(横浜 Bank ART)
2011 sweet memory -おとぎ話の王子でも(京都芸術センター)
2002 フィリップモリスアートアワード大賞受賞
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間島領一 / Ryouichi Majima
1974〜76 シルクロ美術学校(マドリッド、スペイン)主に伝統的絵画とデッサンを学ぶ
1979 オディス美術大学卒業(ロスアンジェルス、USA)、版画とコンセプチュアルアートを専攻
1981 オディス・パースンズ美術大学大学院修了、版画とインターメディアアートを専攻
在学中助手として版画を指導
主な展覧会
1996 「個展」−まんま−(芦屋市立美術博物館/兵庫)
「個展」−成長する味覚−(池田20世紀美術館/静岡)
1997 「個展」−マジマートin東京−(ミヅマアートギャラリー/東京)
1998 「EAT」(ミュージアム オブ コンテンポラリーアート/シドニー)
2000 「個展」−マジマートin渋川−(ハラミュージアムアーク/群馬)
2002 「個展」−マジマチャンネル・食欲連鎖−(川崎市岡本太郎美術館/神奈川)
2003 「Banquet」(La Virreina/バルセロナ、スペイン)(ZKM/カールスルーエ、ドイツ)
(MediaLab-Prado/マドリッド、スペイン)
2004 「ECO METRO」(光州ビエンナーレのリンク企画/光州、韓国)
2005 「Because I Dream , I'm not」(CAPSULE Gallery、ニューヨーク)
「比治山アートプロジェクト−芸食」(広島市現代美術館/広島)
2006 「空間に生きる−日本のパブリックアート」(札幌芸術の森美術館/札幌)(世田谷美術館/東京)
「縄文と現代」(青森県立美術館/青森)
2007 「空間に生きる−日本のパブリックアート」(金津創作の森アートミュージアム/福井)
「多摩川アートライン」(東急多摩川線全7駅・東京)
2008 「ともに生きる−欲望・矛盾・創造−都市・自然・人・食・メディア」(川崎市民ミュージアム/神奈川)
「多摩川アートライン」(東急多摩川線全7駅・東京)
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品川 明   Akira Shinagawa
1955年、宮城県石巻生まれ。農学博士。学習院女子大学教授。専門分野は味わい教育(フードコンシャスネス論)、環境教育、水圏生物化学・生理生態学、ファシリテーションスキル、コミュニケーション論。
「自分の味わい力を確かめるとともに五感力や味覚力を発展させ、食べ物の味わい方やその背景を知ることが大切である」という視点から、あらゆる世代に必要な楽しくて美味しい味わい教育と食物教育を実施し、食物の大切さや本来の価値を認識し、生き物の命や生き物が生息している環境を大切にする人を育てることを目標としている。
著書に「生活紀行〜しじみの話」(学習院新書)、「アサリと流域圏環境」(恒星社厚生閣)など。

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