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展覧会案内

LIXILギャラリー公募展10daysセレクション <br>川村麻純 −Mirror Portraits− 展<br>Kawamura Masumi Exhibition

LIXILギャラリー公募展10daysセレクション
川村麻純 −Mirror Portraits− 展
Kawamura Masumi Exhibition

2012年8月1日(水)〜10日(金)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 8月1日(水) 18:00〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

PHOTO:川村麻純展「Mirror Portraits Study」



展示会概要
「10daysセレクション展」はLIXILギャラリーが開催している年1回の公募展です。
短い会期ゆえに新鮮で刺激的な表現を広く公募し、第13回目となる今回も多数の応募者の中から、2名の作家を選んで展覧会を開催いたします。

見どころ
@ 母と娘の本音
川村麻純の作品はインタビューと撮影により制作された映像インスタレーションです。
母と娘の関係を題材として、女性に流れる時間をテーマにした作品は、男女を問わず人間の根源的な関係 性を刺激します。「Mirror Portraits」(2012)では、被写体の女性達に母親についてインタビューをした後、彼女たちを撮影しています。応えた人の映像を向かい合わせに2 台のスクリーンに投影することで、ドキュメンタリーとフィクションの関係性も探索される作品です。

A 静謐な世界
川村麻純は東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術科に学び、主に写真で作品を制作していましたが、一瞬を写す写真では被写体の表情や、瞬き、癖など、人それぞれの個性を写すことは難しいと考え、映像作品へと変わりました。大判カメラでの試行錯誤を経験してたどり着いた映像は、透明感あふれる静謐な美 しさで見る者を包み込みます。

B 「Mirror Portraits」新作公開
今展出品される「Mirror Portraits」シリーズは、2012 年3 月東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術専攻修了制作展に出品され、人間の普遍的な記憶に触れる映像作品として見る者の記憶に残りました。今展ではこの43 分の作品を、13 分にブラシュアップして新たな映像を加えた新作を公開します。

川村麻純

川村麻純

川村麻純

2012年 会場風景

インタビュー
2012年6月1日 インタビュー:大橋恵美(LIXILギャラリー)
大橋 川村さんの「Mirror Portraits」(2012)は、母と娘という普遍的なモチーフがテーマですが、それを選んだのはなぜですか
川村 以前は写真を使用して作品を制作していました。海外の美術作家に、写真を用いドキュメンタリーとフィクションの関係性を意識的に操作し、鑑賞者に能動的に作品を鑑賞をさせ、社会や歴史について「問い」を投げかける作家がいます。次第にそのような表現に興味を持つようになりました。
私にとって身近な問題である社会とはなんだろうかと考えてみると、幼少期から人と人の関係性、コミュニケーションに関心があることを思い出しました。他者との関係を一番最初に築く社会が家族であり、その後の人間関係を形成する際に大きな影響を与えていると思います。
その後、友達のように仲のいい母娘という相互依存の関係を知り違和感を感じたのを契機に、母と娘に関する書籍を意識的に読みました。それらには、同性であるが故の一体感が依存的な愛情を生みやすいと記述されたものが多いのが印象的でした。勿論、それもひとつの側面だと思いますが、それだけでは語りえない複雑な関係性がそこには記述されていないと感じました。そのような経緯から、母と娘という関係に取り組んでみたいと考えるようになりました。
そして、結婚するしない、子供を生む生まない、仕事を継続するか専業主婦になるかという女性の人生の中の選択肢が、現在の社会を映し出すのではないかとも思いました。女性という存在が社会を反映しやすい性別であること、女性のもつ複雑で多様な内面性に魅力を感じていることも、母と娘という関係性に着目した理由です。
大橋 写真から映像に変わりました。
川村 写真の歴史は産業技術の歴史でもあります。ダゲレオタイプと呼ばれる銀板写真では、露光時間が長時間でした。そのため、被写体が風景や静物に限定されていたのですが、後にポートレート撮影の需要が高まった際に露光時間が改良され、1 〜 2分で撮影することが可能となりました。当時の肖像写真には、露光時間における被写体の時間、そして表情の集積が1枚の像となり、刻まれていて、私はその1枚の写真の中に存在していた時間と、写真に写らなかった被写体の身体の動き、そして被写体の表情やまばたきを想像し興味を持ちました。
顔とは常に不安定であって決して静止していませんが、写真は瞬間しか切り取らない為、表情を捉えることは困難です。表情とは絶えず移ろい、揺れ動いている為、時間現象として現われるべきものではないかと考えました。そこで、現代におけるポートレート写真とはどのように撮影するべきかと考慮した結果、デジタル一眼レフカメラを用い、動画を撮影するようになりました。
大橋 ダブルスクリーンの意図は。
川村 ダブルスクリーンには、母と娘は互いを映し出す鏡という意味がありますし、どちらの女性が語っているのか、言葉を頼りに双方の女性の顔を注意深く見る経験を鑑賞者に促したいと思っています。制作方法はインタビューを2時間行い、その後2分間デジタル一眼レフカメラを使用し、撮影をしています。インタビューした内容から、テキストを起こし、使用するエピソードを抜粋します。その際、被写体である女性の個人のエピソードが、一般的な母と娘の関係性へと置き換えられると感じられるエピソードを選んでいます。
そのテキストを第三者に朗読してもらうことで、個人の母と娘の関係性から、一般的な母と娘という抽象的な関係へと変化させたいと考えています。とはいえ、抜粋したテキストは、他者のエピソードでありながらも、私が選択している為、自伝に近いものとなりました。
「mirror portraits」は母と娘という関係性を映し出す鏡でもあり、作者の私を映し出す鏡でもあり、鑑賞者の様々な記憶を喚起させる鏡でもあります。
大橋 影響を受けた作家はいますか。
川村 作家の多和田葉子さんの著書『エクソフォニー ー母語の外へ出る旅ー』に「言葉を生み出せば、その言葉そのものが空間となる」という言葉があります。言葉が空間になるという視点は、以前から作品という空間の中に鑑賞者そのものを取り込みたいと考えていた私が現在の展示形式に至ったインスピレーションの源になっているかもしれません。
それと、おばあさんと会話していて彼女が「お母さんが」と語った時に、時間が巻き戻っていくような感覚を覚えました。それ以来、女性の一生という時間について、より意識的に考えるようになったのではないかと思います。
作家略歴
2012年 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術科修了
主な展覧会
2011年 個展「Mirror Portraits」(AIT / 東京)    
2012年 「東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了制作展」( BankART Studio NYK / 神奈川)
作家Web Site
http://www.masumikawamura.com/

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