建築・美術展 GALLERY 2




展覧会案内

吉田夏奈 −Panoramic Forest- Panoramic Lake− 展<br>Yoshida Kana Exhibition

吉田夏奈 −Panoramic Forest- Panoramic Lake− 展
Yoshida Kana Exhibition

2012年4月2日(月)〜4月25日(水)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 4月2日(月) 18:00〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

「奇跡の牛」144.0x 234.0x60.0cm 2011 クレヨン、オイルパステル、紙、段ボール 
写真:GABOMI



展示会概要
吉田夏奈は、大自然の中に身を投じ、全身でとらえた感覚を通して想像の風景を描き出します。クレヨンを用い、思いつくままのスピードで再現される身体体験は、現実と記憶の不思議なミックスを生み出しています。これまで、山や島をモチーフに制作をしてきましたが、今展では湖をテーマにパノラミックな風景を絵画と立体で表現します。

大学時代から湖が大好きだったという吉田は、卒業制作の「HOME LESS HOME」(2002)で、電化製品の梱包材をキューブ状に切って繋げた家をダム湖に浮かべ、さらに「MOVING HOME」(2003)ではその中に自転車を組み込んで漕ぎ、湖を横断しました。10万個もあるといわれている穴のような湖を見たくてフィンランドでのレジデンスを選んだといいます。
2011年の小豆島レジデンスで生まれた「奇跡の牛」は、パノラミックな風景を始まりと終わりのあるかたちにしようと、島を歩き回って調査し、景色をアウトプットしたものでした。景色を「島」としたことから、平面を固体化させた「湖」というアイデアが生まれました。今回の展示では、島の形に湖をつくり、観客が周囲をぐるりとまわりながら、なにもない湖面にすべてのものが映し出され、山々や風景、空が見る場所によって変っていく水晶玉のようなパノラマを計画しています。

吉田夏奈は1975年東京生まれ、大学時代から登山をはじめ、自然の中でパフォーマンスや立体インスタレーションを行ってきました。2003年の曽根裕企画のワークショップに参加し、真っ暗闇の洞窟でドローイングを行った経験の中で、それまでにない身体的体力的な危機と向き合い、絵画制作をはじめました。連なる山々をクレヨンで延々と描く「Beautiful Limit」(2010)は現在50メートルを越え今なお続いています。ロサンゼルスやフィンランド、小豆島とレジデンスを重ね、雄大な自然をいっぱいに吸い込んで線と色に解放した作品は、みずみずしい爽やかさにあふれています。
緑の息吹が気持ちを軽くする季節に、輝きわたる湖の風景をぜひ会場でご覧ください。

吉田夏奈(kana Yoshida)展

Beautiful Limit ー混沌への冒険 (部分)
クレヨン、オイルパステル、紙、木製パネル
トーキョーワンダーサイト 2010



吉田夏奈(Yoshida Kana)展

吉田夏奈(Yoshida Kana)展 吉田夏奈(Yoshida Kana)展

吉田夏奈(Yoshida Kana)展

吉田夏奈(Yoshida Kana)展

2012年 会場風景

インタビュー
2012年2月7日 インタビュー:大橋恵美(LIXILギャラリー)
大橋 吉田さんはこれまで山や島をモチーフに制作をされてきましたが、今展では湖です。
吉田 自然をモチーフにしたのは、都会に疑問を感じ、広島の大学に行ったところから始まります。田舎への憧れがありました。潮干狩りする人達を見て「彼らは何をしているの?」と質問してしまうくらいの都会っ子でした。その反動からか、学生時代はよく中国地方や九州の自然を徘徊、気がつけば屋久島でウミガメの産卵見ていたといった感じ。月曜3時限目の授業にそのまま間に合えばいいやの計算で、とにかく時間の許す限りどこでも、どこまでも行ってみたかった。卒業制作では湖が好きだったので湖に関係する作品をつくりました。「HOME LESS HOME」(2002)は電化製品の梱包材をキューブ状に切って繋げた家を湖に浮かべました。その時にその中で過ごせなかったのを後悔したので、次の作品「MOVING HOME」(2003)では、同じような家型で、中に自転車を組み込んで、湖を横断しました。湖を独り占めした錯覚で、恐れが入り交じったような快楽を覚えました。ちなみに、屋久島の浜で夜中にウミガメ十数頭と自分だけになったときや、ボルネオのジャングルの川沿いで、ひとりで遭遇してしまったクロコダイルの喧嘩を見た時も、同じような感覚を得ました。それは、人間が住む領域以外に足を踏み入れてしまった感じです。そしてその世界の方が、ずっと大きいことを知らしめられました。話がズレましたが、レジデンスにフィンランドを選んだのも、10数万個あると言われている湖事情を実際に確かめたくて行きました。そもそもなぜ湖が好きになったかというと、一見静かで何もなさそうなのに関わらず、湖面にすべてのものが映し出されてしまうように思えたからです。鳥や虫の声は響き、風の動きは湖面を揺らし、太陽はまぶしく反射され、月は金の道筋をつくる。今展は、湖面に見立てた形にぐるりと描くことで、古い例えですが、占い師が水晶玉に世界をみるような、そういうパノラマです。
大橋 吉田さんは描くことが身体体験と大きく関わっています。
吉田 2003年に曽根裕さんのワークショップで秋吉台の洞窟探検に行った時に、長時間の心身の緊張状態で体力的にも過酷な中、ドローイングをしたのが始まりです。真っ暗な中、ヘッドランプだけで画材を背負って。そういった状況だと、自分の癖とかを気にしていられない。自動書記みたいな。とにかくヘロヘロな状態で無我夢中に描いて、それが結構よかったんです。それでこういう感じでもっとつくってみたいと思いました。
大橋 「Beautiful Limit」(2010)は現在50mの長さの作品で、今も続いています。
吉田 2006年頃にロサンゼルスで、5メートルほどの山のパノラマを描いたのですが、ある一点から見たままのパノラマは360度で終わってしまう。それでは自分が歩きながら見たもの全ては出し切れなくて、もっと記憶で風景を操作するようになりました。
例えば汗をかき筋肉痛になりながら登るという身体行為を経ると、それがやはり記憶に刻まれます。例えば、4〜5時間くらい風景が変らない雲母の岩場は灰色の場所として記憶に残る。登山の一歩一歩を、一個一個の岩に見立てて体ごと思い出しているような感じです。しかし、私が思う湖に映し出される風景の世界観は、それらの記憶のより深いところの結晶のような感じです。風景を体験して刻まれた記憶が、筋肉痛のように時間とともに薄れていくものだとしたら、湖面に映る風景は、消えない傷跡が瞬間的に映し出される感じでしょうか。
大橋 モチーフが山から島へ移られたのは。
吉田 どこまでも増幅していく超パノラマのはじまりと終わりがないことに、少し途方にくれてしまい息抜きが必要だと思いました。風景をなにか個体のようなものにしたいと。
そこから「森キューブ」(2011)で、森をキューブ状にしてみた。その後、島って海でトリミングされていて、固体の風景っぽいと気づき、小豆島へレジデンスに行ったのです。
自分なりに島を歩き回って調査し、景色を自分の中に完全にインプットしてドンと出したという感じです。「奇跡の牛」(2012)では、そうめん箱の上に島と海の作品を置いて島を周遊するような展示空間にしました。おすすめの絶景ポイントとして、例えば、山の谷間から水平線、その奥に島から臨む憧れの大陸として長野の北アルプスが見える、そういう観賞スポットにベンチを配置しました。
大橋 山、島、湖の次は。
吉田 小豆島に住んでみて感じたことですが、地形と風景とそこに住む妖怪や神様の関係性が何となく見えてきています。社会や経済が行き詰まり、人が救済をもとめ原点に戻るとき、そのヒントは昔話にあるような。例えば、なんでと思う場所にぽかっと水が湧き、地質学的には解明できないけれど、そこには昔話や伝説が存在する。そういったことも含めての風景を考えてみたいです。
作家略歴
1975年 東京都生まれ
2002年 広島市立大学芸術学部デザイン工芸学科卒業, 現在小豆島在住
個展
         
2011年 トーキョーオペラシティアートギャラリー, ProjectN44,東京
2010年 トーキョーワンダーサイトEmerging148,東京
2009年 「オセロ」ザ・イングリッシュパーク,フィスカルス,フィンランド
2007年 「FOR THE LOVE OF BEER」T.Y.Harbor Brewery,東京
2003年 「MOVING HOME-over the lake」聖湖,広島
グループ展
    
2012年 あざみ野コンテンポラリーvol.2「View Points」横浜市民ギャラリーあざみ野,横浜
2011年 「第6回小豆島芸術家村滞在作家展」,ふるさと村夢想館,小豆島
MeiPAM企画展vol.03, MeiPAM01, 小豆島, 香川 2009 「トーキョーワンダーウォール公募2009」東京都現代美術館
アーティストインレジデンス
         
2011-2012年 小豆島, 香川県
2009年 フィスカルス,フィンランド
2006年 ロサンゼルス,アメリカ

ページの先頭へ

LIXIL Link to Good Living

Copyright © LIXIL Corporation. All rights reserved.