建築・美術展 GALLERY 2




展覧会案内

平子雄一 −庭先メモリーズ 見えない森− 展<br>Hirako Yuichi Exhibition

平子雄一 −庭先メモリーズ 見えない森− 展
Hirako Yuichi Exhibition

2012年3月1日(木)〜3月29日(木)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 3月1日(木) 18:00〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

「庭先メモリーズ:会議」1620x 1300mm 2010 アクリル、キャンバス



展示会概要
平子雄一の「庭先メモリーズ」は、植物と都市生活をテーマにしたアクリル画と立体作品です。
濃緑色の森の中、切り株は虹色に輝き、カラフルな光が乱舞し、木々の幹や枝葉は縦横に繁茂して、テントや部屋、あるいは林立するビルや車を思わせるかたちと合体しています。背景は闇。深い黒にいっそう鮮やかに浮かぶ光景は、無国籍なフェスティバルのように明るく輝き、昼夜を超えた時空間が、濃い緑と暖かく湿った土の親密さに包まれています。
特徴的なのは、頭部や全身を葉で覆った人間か植物かわからない生き物たちの存在です。時に画面から飛び出したように立体作品としても登場する彼らは、少年の背格好で、シャツや半ズボンを身につけ、物語のキャラクターのように様々なシチュエーションで現れます。その姿は人間のようでもあり、自然の化身のようでもあり、人間と自然の関係性そのものの存在のようにも見える不思議な存在です。
平子雄一は1982年岡山県生まれ、ロンドンのWimbledon College of Artで学び、2006年から日本で活動を開始し、公募展でも数々の受賞を得ています。
2008年から続くこの「庭先メモリーズ」シリーズは、街路樹、路地に並ぶ植木鉢、アスファルトの隙間からのぞく雑草まで、都市生活をおくる私たちが慈しみ、離れられず、人工的に労力を使ってまで身近に接している植物という生物への単純な興味と、人間との関係性に着目して始まりました。「ソング」「ヤドリギ」と続き、今展は「見えない森」として、立体を含めた新作15点を展示します。
人間と植物、都会と森、夜と昼、天地左右の境界が書き換えられ、めくるめく庭先の様相があらわれて始まりも終わりもない物語が紡ぎだされる濃密な世界を、ぜひ会場でご覧ください。
平子雄一(Hirako Yuichi)展

「庭先メモリーズ:わたしのいえ」1000×1300mm 2012



平子雄一(Hirako Yuichi)展

2012年 ギャラリー会場風景

平子雄一(Hirako Yuichi)展 平子雄一(Hirako Yuichi)展

平子雄一(Hirako Yuichi)展 平子雄一(Hirako Yuichi)展

インタビュー
2011年12月26日 インタビュー:大橋恵美(LIXILギャラリー)
大橋 平子さんの作品は、都市の植物をテーマにした「庭先メモリーズ」というアクリル画です。庭先というと明るい昼間の光景を連想しますが、背景は黒色で夜のような感じがあり、擬人化された植物のような独特のキャラクターが登場してきます。2008年から始まったシリーズですが、きっかけは何だったのですか。
平子 最初は単純に、人間が多くの労力や予算を割いてまで生活空間に植物を置いていることが不思議で面白かったんです。それ以前に、部屋の観葉植物やコンクリートの隙間から生えている雑草など大都市の中の植物をフューチャーして描き始めていました。
ただ、それでは現状にポイントを当てているだけで、本当は表面上に見えていることよりも植物という存在は社会に浸透していて、もっと森は近いのではないか、それが一部分だけ出てきているのがこういう状況なんじゃないかと思ったんです。
黒色の背景を使うのは、庭や森、公園の中には人には視覚化できない、把握できていない範囲というのが存在するような気がして、それと植物のことを生物的にそれほどわかっていないのに、人は身近に置いて生活しているという2点を表現しようと考えて、奥を暗くすることで想像を膨らませたり、自然に対する恐怖心を表そうとしています。
大橋 登場してくる葉で顔や全身を覆っている人間的なものは、どういう存在ですか。
平子 人間と植物とどちらにも取れるものをつくろうと思いました。最初は、人間が植物の装飾をしているように見せたくなくて顔を描きませんでしたが、最近はもう少し人の要素を試みたくて、あまり主張がない表情も入れてみました。ランドスケープの中の人と建物というだけではなく、人が植物に持つ感覚に興味を持って宗教上の背景や産業上の成り立ちを調べたりしていくうちに、自分も大きな流れの生物の一部のような、切っても切れない関係という感覚になってきています。
大橋 色彩が鮮やかで、ストロークもエネルギッシュで迫力があります。
平子 写実的には描きたくなくて、筆の動きに振り回されるくらいの感覚で描きたいんです。植物自体を完全に描写したとしても情報が写し出されるだけなので。たまに写生というより、集中的に木の実や葉が折り重なっているものを鉛筆で描いて、植物の曲線を身体に染み込ませています。人間は表面上でしか年齢や性別を判断できないのに、木は寒暖差で年輪の幅が変ったり、そうやって時間が見えるというのも面白くて、木の断面には色を使ったりしています。
植物は結局ぐちゃぐちゃでバランスが取れていないように思えるんです。人間が整えているだけで、放って置くと勝手になっていくことが、世界の終わりであり始まりのようで強く惹かれます。
大橋 学生時代を過ごしたロンドンの都市環境には影響されましたか。ハイドパークや広大な緑を控えていることが多いですよね。
平子 日本に帰ってきてから始めたシリーズですが、イギリスの影響は大きいですね。高校卒業前にロンドンに行って、YBAに刺激を受けたりピーター・ドイグがずっと好きだったり音楽から入ったところもかなりあって、他の国にはない暗さと明るさを感じました。広大な公園を大都市の中につくり、郊外の民家に必ずバックヤードがあってガーデニングをしていて、土は泥炭ですごく細かく水を含みやすい。絵の中の黒色や陰、空や土の色はそこからきているのかもしれません。
育ったのが岡山で、どこに行っても山がずっとある田園風景だったので、緑を見てほっとするということはやはりあります。なだらかな優しい山で気候に振り回されることはありませんでしたが、山は「気をつけないといけないもの」、巻き込まれると危険だという感覚はあります。自然の奥深さやかたちには強い好奇心を感じる一方、振り回されてしまうものであるという強烈な存在です。
大橋 立体作品も同時に制作されていますが、立体と平面、展覧会ごとに変わるサブタイトルの関係はどういうものですか。
平子 絵画はストーリーがあって前後関係から内容が想像できるもの。立体は切り取ってきた標本のように、ストーリーの前後関係がなくて説得力だけがあるというものです。
全体のストーリーはあえて決めずに数点を同時進行で描きます。お互いが影響しあったり、色が作用し合ったりして、やがて出来上がったのを見て最後にタイトルをつけます。展示する会場の雰囲気を最初に見て、自分がその時興味があるものをミックスして描いていくので、展覧会ごとに若干作風が変わります。
今展の「見えない森」には、光の塊や山火事みたいなものが登場してくるのですが、震災の影響があるのかもしれません。津波で流される材木を映像で見たときに、その物量の多さ、ああいう状況ではすごく危険な物質に変化してしまうということに、すごく感じるものがありました。
大橋 これからやってみたいことはありますか。
平子 現在植物を使ったサウンドインスタレーションも行っているので、大きなサウンドアートをやってみたいです。次は東南アジアでもやりたいですね。
作家略歴
1982年 岡山県生まれ
2006年 Wimbledon College of Art, BA(Hons) Fine Art : Painting 卒業
個展
         
2010年 「庭先メモリーズ」GALLERY MoMo Ryogoku (東京)
2011年 「トーキョーワンダーウォール都庁」 東京都庁(東京)
「庭先メモリーズ:ソング」トーキョーワンダーサイト本郷(東京)
「平子雄一展」SATELLITE(岡山)
2012年 「SLEEPING IN THE PINE FOREST」Galleri Christoffer Egelund(コペンハーゲン)
「庭先メモリーズ:ヤドリギ」Tokyo Wonder Site Art Cafe kurage(東京)
グループ展
         
2005年 「05 Degree show」Wimbledon School of Art (ロンドン)
「Free Range」G3 Gallery (ロンドン)
「Cocktail」Nolia’s Gallery (ロンドン)
2006年 「Stepsiblings」Temporary Contemporary (ロンドン)
「Amuse Art Jam 06」京都文化博物館(京都)
2008年 「GEISAI#11」東京ビッグサイト(東京)
2009年 「トーキョーワンダーシード2009」ワンダーサイト渋谷(東京)
「シェル美術賞展2009」代官山ヒルサイドフォーラム(東京)
「Amuse Art Jam 09」京都文化博物館(京都)
2010年 「トーキョーワンダーウォール2010」東京都現代美術館(東京)
「群馬青年ビエンナーレ2010」群馬県近代美術館(群馬)
2011年 「再生 -Regenerate- Part.1 」GALLERY MoMo Ryogoku (東京)
「アーツチャレンジ2011」愛知芸術文化センター(愛知)
「Dアートビエンナーレ」Y++ Gallery Triwizart(北京)
「XMAS '11」Galleri Christoffer Egelund(コペンハーゲン)
2012年 「第5回岡山県新進美術家育成I氏賞選考作品展 」岡山県天神山文化プラザ(岡山)
受賞歴
         
2009年 「シェル美術賞2009 」入選
2010年 「トーキョーワンダーウォール2010 」トーキョーワンダーウォール賞
2011年 「アーツチャレンジ2011」入選
「第2回Dアートビエンナーレ2011」優秀賞

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