建築・美術展 GALLERY 2




展覧会案内

堂東由佳 −virus− 展<br>Doutou Yuka Exhibition

堂東由佳 −virus− 展
Doutou Yuka Exhibition

2012年2月2日(木)〜2月27日(月)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 2月2日(木) 18:00〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

PHOTO:「嘔吐・発熱」 2011 90×90p シルクスクリーン、紙



展示会概要
堂東由佳の作品はシルクスクリーン版画です。
通常の距離で目にしたとき、モノクロの繊細なレース模様のように見える画面は、接近してよく見ると、5ミリ〜1センチほどの小さな猫が無数に連なって構成されています。さらによくよく目を凝らすと、可愛らしく擬人化された小さな猫たちは、嘔吐・下痢・発熱を繰り返し、無限に増殖しています。細かなモチーフは刷り重ねられた版によってつぶれ、あるいは最初から見えないほど微細で、「見る」という行為をいじわるに揺さぶります。美しいレースかと思えた画面が、可愛い中にも毒を含んだユーモアの伝染病にも似た集積であることに、思わず笑い、その中に不安や困惑の小さな鎖が繋がっていきます。

堂東由佳は1983年生まれ、2011年に京都市立芸術大学美術研究科を卒業したばかりの若手作家です。美術大学に入る前から手癖のように小さなドローイングを無意識にしていたという堂東は、在学中にそれをモチーフに使い、コピーペーストして連続模様となる作品をつくり始めます。
保健所の講習で聞いた「食中毒になると、嘔吐・下痢・発熱になります」という言葉に触発された落書きから、「嘔吐・下痢・発熱」シリーズが生まれました。猫のモチーフのほか、カーテンに蝶を重ね合わせ、遠くから見るとカーテンで、近寄ると笑うチョウチョが連なる「Butterfly room」シリーズは、文様パターンの重なり連なりが、カーテンに似ているところから発想されました。額を縦横に重なるよう並べた展示方法は、カーテンそのものの重なりや広がりをも連想させてユニークです。

東京初個展となる今展では、9台のテーブルの上に新作を並べ、5メートルの大きさのインスタレーションを行います。壁には「Butterfly room」シリーズを展示する予定です。距離を測りつつ、さらりと見られることから身をかわし、さりとて近づくのもなんだか難しい・・・おかしみと不安といじわるな笑いを、是非会場で体験してください。
堂東由佳(Doutou Yuka)展

嘔吐(パーツ)



堂東由佳(Doutou Yuka)展

2012年 ギャラリー2会場風景

堂東由佳(Doutou Yuka)展 堂東由佳(Doutou Yuka)展

堂東由佳(Doutou Yuka)展

インタビュー
2011年12月3日 インタビュー:大橋恵美(INAXギャラリー)
大橋 堂東さんの作品はシルクスクリーンで、一見するとレース模様のように見えますが、よく見ると描かれているモチーフがユーモラスです。
修了制作展では、壁面と展示台の2つの展示方法で、壁面に額をタテヨコ重ねるように並べて展示された「butterfly room」は、モチーフのカーテンの重なりと額の連なりが面白かったです。
堂東 それまでの作品で、文様をレイヤーに重ねているところがカーテンに似ているとよく言われていたので、本当にカーテンをつくったらどうだろうと思いました。実際のカーテンの画像に自分の描いた蝶のドローイングをコピーペーストしたものを連続させて1枚の画面にしています。遠くから見るとカーテン、近づくと笑っている蝶蝶という画面です。展示方法は、最初は額を普通に横一列に並べていたのですが、くっつけたら面白そうだとやってみたら思いのほかよくて、発見したと感じました。
大橋 展示台の上に載せた「嘔吐・発熱」は、5ミリほどの小さな猫が発熱嘔吐しているのが連続模様のパターンになっています。
堂東 猫は以前から手癖のように描いていて、作品のモチーフとしては笑える毒を含んでいるものをいつも考えていました。大学の文化祭で模擬店を出すために保健所の食中毒講習を受けに行った時、講師の方が「食中毒になると下痢・嘔吐・発熱になります」と言うのを聞いて、猫が下痢している落書きを描いて、もしかして作品に使えるかもと思いました。猫は特に好きというわけではなく、かたちや動きが描き易くて擬人化もしやすかったからです。シルクスクリーンは刷りたてが一番綺麗だと思っているので、その状態に近づけるため台の上に展示しました。
大橋 パーツの小ささについては。
堂東 小さい頃からずっと細かいサイズで描いていて、大学に入ってもそれが結局残りました。画像に取り込んでもほとんど原画サイズです。水玉や唐草のように猫が連続模様になっていたらちょっと笑えるかなと思いました。ドローイングは大体そのまま使いますが、模様には結構没にするものもあります。15匹くらいを基本セットにして、それを画像処理で繋げるのですが、最初はのりとハサミでコピー縮小したものを切り貼りしていました。あえてパソコンは使わず手づくりのズレとかを大事にしようとしたのですが、今ではあまり関係ないと思っています。パソコンで角度や重なりをより複雑なイメージにできますし、製版の兼ね合いで均一な中にもムラをつくれて便利です。
大橋 小さいパーツで大きなものを表現する時に、規則性やルールなどはありますか。
堂東 近くで見たときと遠くで見たときの印象が異なるようにと考えています。近づいても小さすぎたり潰れていたりで見づらい場合もあって、それはいじわるな気持ちでやっているのですが、その反省ですっきりと大きめにつくるときもあります。見る人の距離をいつも考えています。最初は積極的に柄にしようとは思わず、総柄のようにフラットな図柄から実験的に変えていきました。規則性は何パターンか組んでみて、感覚的に綺麗に気持ちよく見えるようなものをカンでやっています。
大橋 「下痢・嘔吐・発熱」シリーズには、ウイルスの恐怖も感じたのですが。
堂東 不安感を感じる人もいるとは思っていました。自分自身も感じることはありますが、可愛いものを描こうという意識の方が強いです。ギャラリーINDでの展示で、展覧会タイトルを「呑気な時間、嫌な予感」としたのですが、英訳して頂いた時に“carefree days…,with a bad feelings”となりました。それがすごく気に入って、今後の制作のテーマになると感じています。
大橋 なぜ版画を選ばれたのですか。
堂東 日本画も油画も何か違って、立体は苦手なので消去法で版画になりました。なので、版画作品をつくるということはあまり意識していなくて、シルクスクリーンを使った絵画という感覚で、3枚ほどしか刷っていません。でも、最近はシルクスクリーンの技法や行程を特に面白く感じていて、シルクスクリーンを使うことが作品をつくるモチベーションのひとつになっていると気付きました。
大橋 色の表現については。
堂東 困ったときは消去法で考える癖があります。色に関しても消去法で、ピンと来る色がないのでモノトーンが多くなります。インクはメディウムを10回ほど重ねて塗り、インクの乾いていない雰囲気を出しています。印刷物はやはり好きでデザイン系の雑誌などを読んで勉強中です。
大橋 今展はどのようになりますか。
堂東 テーブルを9台並べた上に作品を乗せるものと、壁面展示を考えています。机が水平に並んでいて、でも中には入れなくて遠くから何とか見るような感じです。
大橋 よく見るためには近づかなくてはならなくて、近づくとある種裏切られる。さっと見てわかったというものにならない、いじわるな気持ちがいいと思います。
作家略歴
1983年 兵庫県出身
2011年 京都市立芸術大学美術研究科絵画専攻版画修了
展覧会歴
         
2007年 京都市立芸術大学版画3回生展“HANGER×HUNGER”/学内小ギャラリー
2008年 Art Camp第一期/ギャラリーヤマグチクンストバウ、大阪
版画6人展“Porto di stampa”/アートゾーン神楽岡、京都(2009、2010参加)
版画4回生展/学内大ギャラリー
第33回全国大学版画展/町田市立国際版画美術館、東京(〜第35回出品)
2009年 柏美展/上野記念美術館研修室、兵庫
2011年 西風のグラフィックス/ORIEアートギャラリー、東京/ギャラリー旬、名古屋/番画廊、大阪巡回
つながるイメージ展/ギャラリーアーティスロング、京都
佐藤財団第19期奨学生展/佐藤美術館、東京
個展“呑気な時間、嫌な予感”ギャラリーIND.
大阪版画3人展/ギャラリー恵風、京都
アートアワードトーキョー丸の内/行幸地下ギャラリー東京
受賞歴
         
2008年 第33回大学版画展収蔵賞
2010年 第19期財団法人佐藤国際文化育英財団奨学生
2011年 京都市立芸術大学院修了制作展・大学院市長賞

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