建築・美術展 GALLERY 2




展覧会案内

白井忠俊 −千年螺旋− 展<br>Shirai Tadatoshi Exhibition

白井忠俊 −千年螺旋− 展
Shirai Tadatoshi Exhibition

2012年1月7日(土)〜1月28日(土)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 1月11日(水) 18:00〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

PHOTO:手前「何を知りたかったのか忘れてしまった」 2010年
油彩 194×230×230cm



展示会概要
青くギラギラと光る鱗の群が目の前でグルグルととぐろを巻いています。幾重にも巻かれた胴回りは直径1mもありそうで、巻き込まれてしまいそうな恐怖のまま、その向こう側へ回っていくと、鎌首をもたげた大蛇の頭が現れます。チロチロと赤い舌をのぞかせ、青緑から金色に輝く鱗の1枚1枚が透きとおるようにそば立ち、まるで蛇のシューという音が聞こえ、生臭い匂いが立ち上ってくるかのような迫力です。
白井忠俊は、大蛇を描いた6面の油彩画を直径2.3m、高さ1.9mの円筒に仕立てました。名づけて「円筒絵画」です。白井の「円筒絵画」には「縄文土器」、「巨樹」、「循環」の要素がこめられています。「縄文土器」の縄目文様は2匹の蛇が絡まったイメージ、「巨樹」はツル、ツタの絡むジャングルのような古の森のイメージ、「循環」は古の森から今に続く生命の生々流転をイメージしています。時空間も森羅万象も大蛇に映し、流れる水のように爽やかで、強靭な生命力を感じさせる作品です。
白井は1972年生まれ、美術大学以来、油彩画を描いてきました。2006年に近隣の30年来放置されていた森に初めて入山した時の体験から、こうした作品が生まれました。ジャングルのような猛々しさ、藤の巻きついたグロテスクな樹木や美しい蛇の生きる森の壮大なイメージから、白井が引用し、考察する森林への観想は、神話のようにわたしたちの胸に響きます。
今展では「山と蛇」をテーマにした新作を加え、3点をご覧頂く予定です。ダイナミックな作品をどうぞ会場でご覧ください。
白井忠俊(Shirai Tadatoshi)展

白井忠俊(Shirai Tadatoshi)展 白井忠俊(Shirai Tadatoshi)展

2012年ギャラリー2会場風景



インタビュー
2011年11月9日 インタビュー:大橋恵美(INAXギャラリー)
大橋 アートプログラム青梅「循環の体」展(2010)では、展示場所が青梅織物工業協同組合の織機工場跡で、古い建物の奥に白井さんの蛇が息づいているようで迫力がありました。見上げるような大きさと、とぐろを巻いているような円筒形も劇的です。
白井 僕は「円筒絵画」と名づけていますが、3つの特徴があって、円筒であることは「土器」の形体と「巨樹」の形体を表しています。描かれた内容は「循環」を表しています。
一つ目の「土器」というのは縄文土器のイメージで、縄文土器の装飾は蛇であると考えています。以前から、岡本太郎の「縄文土器論」や建築家白井 晟一の「縄文的なもの」などを読んでいて縄文土器にはすごく興味を持っていました。
少しだけ話すと、縄文文様は縄目でつけられていますが、縄は2本以上の植物繊維を捩ってつくり、それは蛇の交接の形と相似形なんです。そこから縄文文様と蛇がつながっているのではないかと考えたんです。
二つ目の「巨樹」ですが、僕が実際に出会った森は30年間放置されて、ようやく地元の団体が手を入れ始めたところだったんです。ツルやツタが絡まりあいジャングルのようでした。特に藤がすごくて、樹木を変形させるほど締め付けていて、ほとんど樹木と一体化していました。そのツルはまるで蛇のようでした。それで古の森もツルに覆われていたのではないかと連想しました。
同じ頃山頂で蛇に会ったんですね。それは珍しいことではないんですが、なぜかその時、腹の底から蛇を描かなくてはならないと思ったんです。
三つ目の「循環」ですが、日本には森の文明があったという縄文文明説があります。世界中にあった文明は石の文明で、その残骸が遺跡となって残っています。日本では森が残っているわけで、これからも森はあり続ける。そして森の文明には森林の思考というものがあり、これは“循環する時間軸”を基礎としています。生々流転です。
対極にあるのが、砂漠の思考です。砂漠の思考は“直線の時間軸”で物事を考えます。天地創造から終末に向かうというもので、ユダヤ教とキリスト教の思考になります。
彼らが生み出したものが資本主義やマルクス主義などの進歩思想です。その先にはユートピアがあると突き進んでいく考え方で、現在のグローバリズムに繋がるようです。
日本人は“循環する時間軸”を持っていたのですが、今はほとんど“直線の時間軸”になっています。進歩し続けようとしています。でもちょっとでも立ち止まって、佇んで、“循環する時間軸”に想いを馳せてもらえたらという思いで制作をしています。
大橋 神話や考古学が一体化したような学術的裏づけのとれない世界だそうですが、でもその考察でつながったイメージが白井さんの魅力かと思います。
白井 蛇を描こうと思って、最初平面に描いたのですが、何の意味も見出せませんでした。学生時代に絵画形式について多く学ぶ機会があり、美術史の論理でも内容とフォーマットの必然性は研究していましたので、再検討するうちにこのかたちが出てきました。 これだけの大きさの作品をつくるのは初めてで体力的にモチベーションが必要でしたが、これは難しかったです。頭には湧いてくるし、サムネールでもつくれるんですけど、創造と動機がぶつからないと制作は始まりませんでした。
その時に友人にニューヨーク行くことを薦められたんです。それが2008年で、それまでいわゆるアートシーンの真ん中と呼ばれる場所には行ったことがなかったのですが、チェルシーの倉庫群で作品を見たら、あっけらかんとしたデカさだったんです。すごくクオリティの高い作品から低い作品まで玉石混合で、その中でも中国人作家の作品は大きかったですね。それを見て、自分には技術はあるしモチベーションだけ上げていけばできると確信できました。
大橋 近くで拝見すると、鱗を貼り付けているような立体的な絵の具の置き方も面白いです。
白井 技法は油絵によるデカルコマニーです。もともと油彩が好きで、その魅力は奥行きを出せることで、絵具の厚いところと薄いところの濃度の差によってグラデーションをつくっています。
大橋 今回はどのような作品になりますか。
白井 今回は連続三角紋を使った作品もつくろうと思います。鱗紋とよばれる古くからある文様で、埴輪や三角縁神獣鏡にも良く見られます。
山を表現するときはよく三角形を描きますが、縄文時代の人々は山並の景色をのたうつ蛇や、トグロをまいた蛇に重ね合わせて“風景の見立て”をしていたと僕は仮説を立てています。ですから、鱗紋というのは蛇の鱗だと考えて制作しています。
作家略歴
1972年 東京生まれ
1996年 東京造形大学 絵画専攻 卒業
母袋俊也教授に師事
教授の推薦により画家中西夏之氏の助手を3年間務める
1997年 東京造形大学 絵画専攻 研究課程修了
東京造形大学研究生修了作品展 ZOKEI賞受賞
2008年 円筒絵画制作
2009年 テキスト「日輪と蛇の尻尾」執筆
個展
         
2007年 ギャラリーなつか cross /東京
2006年 ギャラリーなつか /東京
2005年 GALLERIE SOL /東京
2004年 ギャラリーなつか  /東京
2001年 フタバ画廊 /東京
2000年 フタバ画廊 /東京
GALLERIE SOL /東京
1998年 淡路町画廊 /東京
1997年 ギャラリーなつか /東京
グループ展
         
2010年 8th アートプログラム青梅 循環の体 /東京
2007年 PETIT SOL GALLERIE SOL/東京
2005年 TRACE〈Z〉 GALLERIE SOL/東京
2000年 TRACE〈V〉 GALLERIE SOL/東京
ChristmasFair GALLERY TAGA/東京

ページの先頭へ

LIXIL Link to Good Living

Copyright © LIXIL Corporation. All rights reserved.