建築・美術展 GALLERY 2




展覧会案内

加藤大介 −今は見える− 展<br>Kato Daisuke Exhibition

加藤大介 −今は見える− 展
Kato Daisuke Exhibition

2011年10月27日(木)〜11月28日(月)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 10月28日(金) 18:00〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

PHOTO:その門は見えない 2011 H100×W30×D25cm×2体
漆(乾漆技法)に彩色、木



展示会概要
加藤大介の作品は、動物の仮面を被った等身大の少年少女たちです。精緻にリアルにつくられ、青地に白い水玉シャツに半ズボン、白いワンピースに黒い靴を纏った姿は、まるで実際の人物がそこにいるような存在感がありますが、どこか儚く、やはり実態ではないような不思議な光景をつくり出しています。
加藤は乾漆技法で作品を制作しています。乾漆技法とは漆で麻布を固めて造形する技法で、古来より阿修羅像をはじめ多くの仏像に用いられてきました。中が空洞になった構造は、加藤のつくりだす濃密でリアルな人物像に、物質の重量感を欠落させた軽みを与え、それがそのまま現実世界からの浮遊感に結びついています。
少年少女たちが被る仮面は、鳥や動物、虫や植物など生きものをモチーフにしています。シンプルで清潔な色味の洋服で、そっと佇む華奢な身体とは不釣合いな大きさの獣の仮面は木彫で、ごつごつとした質感や黒ずんだ色が一種異様な怖さを感じさせます。覆われた顔は、眼球など細部に至るまでつくり込まれていますが、面を外して見ることはできません。なぜ仮面を被っているのか、被らされているのか、仮面そのものが本来の顔なのか、それぞれの答えは閉ざされたまま、静かな気配がただ漂っています。

加藤大介は、東京藝術大学大学院で彫刻を学んだ後、漆の技術を学ぶため、現在更に大学院の工芸科に在学中です。もともとアメリカンコミックのフィギュアが好きで彫刻を選び、在学中には伎楽面や仏像、欧州の教会の宗教彫刻などを見て、周囲の雰囲気をも含めたストーリー性を持つ彫刻作品に魅力を感じたといいます。
仮面への興味と物語性が結びつき、大学院の彫刻科で乾漆技法と出会い、現在の作品が生まれました。
今展では、新作を展示します。どうぞ会場でご覧ください。


加藤大介
加藤大介

2011年 ギャラリー2会場風景

インタビュー
2011年8月22日 インタビュー:大橋恵美(INAXギャラリー)
大橋 加藤さんの作品は、動物の仮面を被った少年少女が不思議な世界を作り出しています。
加藤 僕は彫刻で物語性のあるものを表現したくて、人や動物をテーマにすると表現しやすいというのもあってこういった作品を作っています。<br> 仮面にはずっと興味があって、大学近くの東京国立博物館に日本の伎楽面などを見に行っていました。仮面全般に言えることですが、人の内面の大切な部分を隠したり、逆に強調して自分のありたい姿に変身したり、人の心に関わる何かしらの物語を表現できる、優れたモチーフだと思います。
たいていの場合、表現したい物語から仮面をイメージして、そこから制作が始まります。
「夜明け」と「夕暮れ」(2009年)では展示場所となる部屋を見たときに、明るい窓辺と仄暗い押入れの対比が印象的だったので、そこから鶏と梟の仮面を選びました。窓と押入れという、相反したイメージをそれぞれの作品に込めたつもりです。
「after dark」(2010年)の獏の仮面は、夢という自分の深層心理を覗くイメージからモチーフとして選びました。自分の無意識の部分を客観的に眺めるのはとても難しいので、そういう存在になれたらという物語です。
でも、あまり全部を決めるのは好きじゃないというか、僕自身あまりにガチガチに決められている作品を見てもそこまで心を動かされないので、観た人が想像する余地がある方が好きですね。
人の方は特定の誰かをモデルにしているわけではなく、仮面が重要なので、なるべく人の方に過剰なストーリーを持たせないようにしています。よく仮面の下の顔は作っていないと思われるんですが、顔も仏像のように眼球を内側から嵌めたりして、仮面を外しても人として存在できるように作っています。そこに仮面を被せて隠す、あるいは変身しているというところまでを含めて作品にしたいので。
仮面の下の表情は、あまり顔単体で怒っていたり泣いていたりするとそれだけで強い意味を持ってしまうので、なるべく感情は読み取れないような表情を心がけています。
大橋 これまでは等身大の人物でしたが、「花になる夢」(2011)は高さ100cmと小さくなり、仮面も植物と昆虫で妖精のようです。
加藤 等身大ならではの存在感みたいのはやはりありますね。部屋に置いていて自分でもびっくりすることがあります。ただ、サイズに関しては、大きいものを一体つくるには時間が掛かります。例えば何かしらの物語を表現するのに、3体で成立する話か、2体欲しいのか、大掛かりになった場合、少しサイズを落としても可能なものなのか、試してみたかったんです。この時は少し小さくても満足がいくものが作れたと思います。
「花になる夢」は最初から虫と葉を合わせた仮面をイメージしていたのですが、等身大では仮面の物量としての主張が弱かったので、このときは特に仮面のサイズに合わせて決めたということもあります。
身体もつくり終わって、仮面もある程度彫って最初に組み合わせるときが一番好きですね。ドキドキするというか、ようやくここまできたな、形が見えたなという瞬間が好きです。
大橋 リアルなかたちで、濃密だけれど、向こうが透けて見えるような軽やかさも感じます。素材とも関係があるのでしょうか。
加藤 そこは拘っていて、あまり重さを感じる作品にはしないようにしています。彫刻は重量感が大事という考えもあるんですけど、僕は必ずしもそうでなくてもいいと思うんです。僕の表現したい物語には、ちょっと軽そうな浮遊感が合っていると思います。
乾漆技法は確かに知名度の低い技法かもしれません。漆を木に塗るのではなく、漆と布だけでつくっているというのはあまり知られていない。でも、軽くて丈夫で造形の自由度が高い、僕にとっては理想的な技法です。
学部で扱っていたテラコッタにも魅力を感じていたんですが、重さや窯や思い通りにならないことが色々あって、この先制作を続けていく上で、自分ひとりでやっていける素材はないかと探して辿りつきました。漆の技術をもっと詳しく学ぶため、今年から工芸科の大学院で勉強しています。
大橋 展示場所の背景や、作品写真の撮り方も合わせて考えていらっしゃいますが、映像もお好きですか。
加藤 映像はすごく好きです。マシューバーニーやターセムの映像は背景まで本当に美しくて、しょっちゅう観ています。
彫刻も真っ白い所にぽんと置いてあるより、背景込みで作品になっているほうが好きですね。寺院や教会など空間ごと見せているものの方が、そして更にストーリー性も持っていますよという方が自分としては興味が持てる分野です。なので、仏像や海外の宗教彫刻には強く魅かれるものがありました。
大橋 小さい頃から興味がありましたか。
加藤 子供の頃はアメコミのフィギュアが好きで、将来アメリカの会社でフィギュアをつくりたいなと、その為には技術が必要だなということで、あまり深く考えずに美大の彫刻科に進んだんです。入ったらみんなすごく彫刻のことを知っていて、僕も大慌てで勉強しました。そこでフィギュアと宗教彫刻には、背景にストーリーを持っている立体という点で共通する部分があるのではないかなと気付き、僕が魅かれるものはそういう作品なんだと分かったので、今はそれを作り続けるのが自然かなと思っています。乾漆を選択したのも、仏像との繋がりが理由の一つです。
仮面シリーズもまだやりたいことのイメージがあるし、やっと作品の見せ方も掴めてきたので続けていきたいですね。
作家略歴
2009年 東京藝術大学彫刻科 卒業
2011年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻 修了
現在、東京藝術大学大学院美術研究科漆芸専攻 修士1年在
グループ展・受賞歴
         
2009年 「第5回 アトリエの末裔あるいは未来」展 旧平櫛田中邸(東京)
台東区長奨励賞 受賞
菅原賞 受賞
2010年 「トーキョーワンダーウォール公募2010」入選 東京都現代美術館(東京)
2011年 「行商〜ギャラリー・ サーカス」 スパイラルホール(東京)
「ART TAIPEI2011」 Taipei World Trade Center(台北)

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