建築・美術展 GALLERY 2




展覧会案内

小林史子 −Mistletoe−展<br>Kobayashi Fumiko Exhibition

小林史子 −Mistletoe−展
Kobayashi Fumiko Exhibition

2011年10月6日(木)〜10月24日(月)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 10月7日(金) 18:00〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

PHOTO:2011年 インスタレーション(部分)



展示会概要
小林史子は既にその場所にあるモノに自分自身の持ち物などを足して組み直し、空間全体に構築するインスタレーションを制作します。
2006年に大学院修了後、国内はもとよりヨーロッパやアジアにおいて展示やワークショップを行い、評価を受けています。
家具や自転車から、解体された家一軒に至るまで、時に空中に高く積み上げられ、壁一面に押し込められ、異なるサイズの空間へと移されたさまはアクロバティックで、大胆さと繊細さ、高い構築力と構成力で見る者に迫ってきます。
日常という不文律の中で一定の役割を与えられ、意識や場所に固定されたモノを解き放ち、組み変えることで現れる全く違った世界―さまざまな場所と自分との関係性が生まれる瞬間です。
小林によって生み出される関係性からは、全ては変化し進み続ける旅の途中であり、「今」とはあらゆる可能性のうちの一つに過ぎないと気づかされます。
今年震災前に行われた水戸芸術館での作品「Node Point」では、水戸市内の放置自転車52台を解体し、ホイールやサドルが繋がり合って空中へ舞うスペーシーなオブジェを制作しました。この結節点という意味のタイトルは、全体よりも結合部分にこそ何かがあり、それが全体へどう影響しているのか、日々の営みのうちに起こる小さな事件が積み重なって大きくなるように、過去の経験を集積して次の行動へと移す自分のリアリティを、繫がりというキーワードで見せました。
今展では直前に滞在したドイツでの制作を踏まえ、Mistletoe(宿り木)と題した展示を行う予定です。どうぞ会場でご覧ください。
小林史子

Node Point 2011 インスタレーション(部分)


小林史子 小林史子

2011年 ギャラリー2会場風景

インタビュー
2011年7月1日 インタビュー:大橋恵美(INAXギャラリー)
大橋 小林さんの作品はその場所にあるモノを使い、私物を持ち込んで組み合わせて制作されます。どの作品もまず構築力と構成の迫力に圧倒されますが、素材が身近なだけに見る者もイメージが膨らんで、考えさせられることの多い作品です。
「NestKasten」(2005)のビデオも面白かったです。
小林 「NestKasten」はドイツ語で巣箱という意味で、写真作品と一緒に出した修了作品です。2004年にドイツへ留学した際に自分が住んでいた部屋で制作しました。元々は部屋の床が半端なく傾いていて眩暈がしてきたので、新たに完璧に水平な床を作ったことがきっかけとなっています。島国と大陸の習慣や文化の違いに揉まれながら、当時の不安定な環境の中で作品化しました。巣づくりというのが自分の中にキーワードとしてあるのですが、この作品では同時に細胞のようなイメージも感覚的に持っています。細胞は自分が意識しなくても絶えず変化して剥がれ落ち、いくつもの再生と破壊を繰り返しています。巣づくりは、これもまた自分が意識していなくても本能に関わっていて、拠り所や帰る場所を求め行動に繋がっています。この作品では私自身が巣の内部に入り込み、さらに外側から編集を加え作って壊すことをループ映像で繰り返すことによって、ミクロの視点とマクロの視点を同時に獲得しているのです。
大橋 場所によって素材が大きく変わります。
小林 偶然の積み重ねで毎日が出来ていて、何が起こってもおかしくないと感じています。何てことはない小さな事件や、忘れ去られてしまうような毎日の渦中にアートがあると思っていて。日常的にそこら辺にころがっている物をどう変化させられるか、組み合わせを変えるだけで全然違う空間が立ち現れるその過程に興味があります。誰かの部屋に行くと、持ち主よりも部屋の方がその人自身を語ってくれることもありますが、それは普段見ていた顔が横にスライドする瞬間です。物たちっていうのは、所有するその人の行動の軌跡でもあって、私と身の回りの物との境界はあんがい曖昧なのかもしれないです。旅をしてどこかへ行って、そして戻ってくるけれど同じ場所には二度と戻れない。内側と外側でそれらを繰り返し、私が変わるように必然的に場所によって要素は変わっていきます。作品には自分と周りの距離や関係がダイレクトに反映されています。
大橋 何をつくりたいと考えていますか。
小林 最近水戸で発表した「Node Point」(2011)という作品では、「つなぐ、ジョイント、埋められない隙間」がキーワードになっています。52台の水戸市の放置自転車で空間を構成していますが、全体よりボディーや床とホイールがどう繋がっているか、結節部分に焦点を当てています。何かと何かの隙間だったり、ジョイント部分が何で繋がっているか、部分がどのように影響して全体を構成しているかということに興味があります。天と地の境界でも何でもいい、自分で見つけた何かと何かの間に立っているトリガーを発見する作業に専念しているのです。会話の中の一言など、自分の中に降り積もってくるものが日々ありますが、それがいつの間にか大きくなって、今の自分を象るきっかけとなっていて、過去の経験を積み重ねて次の行動に移している事実、そのリアリティを作品に活かせないかと思ったのがこの作品です。
「Urban Insider」(2007)では解体されていく誰かの家のパーツをギャラリーに運んで、自分の身長と同じ高さの小さな家を建てました。街を歩いていて、突然家が解体され更地になっていると以前そこに何があったのか思い出せないことがよくありますよね。とんでもないことではないかと感じて、まず解体業者に電話して無差別に解体予定の家を選んでもらいました。選んでもらった誰かの家が解体される一方で、ギャラリーでは一つの家が出来上がっていくのです。馴染みの無い街に分け入って見知らぬ誰かのドラマの中に入っていく経験をしました。
「Noah」(2008)は、まつもと市民芸術館の30メートル以上あるホワイエで公開制作しました。私の中で最大級の大きさに挑戦しました。脇役である舞台道具の役割と場所を置き換えて、裏と表が引っくり返るということを考えました。同じアイディアはインドで制作した「Inner Garden」(2006)でも発表していて、部屋の窓をすべて窓枠ごと取り去り部屋の中央に円型に設置して、建物の外に茂っているココ椰子の葉をその中に配置することで内と外を対峙させています。
広島とアイルランドで発表した「Dorothy」(2007)では自分の部屋の家財道具一式を引越し業者に頼んで展示場所に移動し、移動先で新たに得たものを加えて人一人なんとか住める極小空間を組み立てました。アイルランドで手に入れたものは広島とはまったく違うので、同じ私の部屋の物を使っていても場所を変えるごとに変化を遂げます。 忘れたいけど忘れられないとか、覚えたいけど覚えられないことってたくさんあって、記憶のようにいつの間にか無くなったり増えたりするモノで私や誰かの部屋は溢れていると感じています。制作では、そこにオーダーと方向を与えます。そういう意味で、私にとって「窓」「扉」「壁」はとても重要なモチーフです。
大橋 震災の影響は。
小林 大地震の7日後に、「3331アーツチヨダ」(秋葉原)でオープニングを控えていて、私の場合は現地に通って一から組み立てることがほとんどですから、地震直後の余震の中での現地制作は精神的にかなりきつかったです。開催中だった水戸芸術館での展覧会も会期半ばにして作品とギャラリー内が壊れて中止になりましたし。
当時はあらゆることに疑問符だらけでしたが今ではだいぶ整理がついています。程度の差はもちろんあるにしろ、震災や原発の問題は私たちに平等に降りかかっていて何にも人ごとには思えません。今まで以上に人のクリエイティビティーが試される時代になったのでしょうか。私のアートは変わらないし、私にできることは続けて行くことです。水がちょっとした隙間を見つけて染み出していくように、アートが国や年齢や分野を超えて本来持っている機能を果たすには一箇所に固まっているわけにはいきません。作品というスリリングな攪乱装置を、色々なところに仕掛け続けることに自分を懸けていきたいです。
作家略歴
2006年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程壁画専攻修了
主な個展
    
2010年 「Anonymous Behavior」エンアーツ/京都
「Straight Flight Toward Home」アートセンターオンゴーイング/東京
2009年 「Homing」ペルージ現代美術/パドヴァ(イタリア)
「Traveling・No return」ショーピンゲン芸術村財団/ショーピンゲン(ドイツ)
2008年 「Fumiko Kobayashi」ガートルード現代美術スペース/メルボルン(オーストラリア)
主なグループ展
    
2011年 「As Long As Rainbow Lasts」ソカアートセンター/台北(台湾)
「クワイエット・アテンションズ 彼女からの出発」水戸芸術館現代美術センター/茨城
2010年 「ノーマンズランド創造と破壊」 旧フランス大使館/東京
2009年 「第16回 国際彫刻トリエンナーレポズナン」ザメク文化センター/ポズナン(ポーランド)
2008年 「そこにアート-からだとかたちのあいだ」まつもと市民芸術館/長野
2007年 「Crawford Open 2007-The Sleep of Reason」クラウフォードアートギャラリー/コーク(アイルランド)

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