建築・美術展 GALLERY 2




展覧会案内

INAXギャラリー特別企画展10daysセレクション <br>進藤 環 −クロックポジション− 展<br>Shindo Tamaki Exhibition

INAXギャラリー特別企画展10daysセレクション
進藤 環 −クロックポジション− 展
Shindo Tamaki Exhibition

2011年8月1日(月)〜8月10日(水)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 8月1日(月) 18:00〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

PHOTO: 絶え間なく沿る 2011年 1140mm×820mm  type C print 進藤環展



展示会概要
見たことがないのに、見たことがあるような、どこか懐かしい風景がカラフルなパノラマ図鑑のように広がっています。森、羊歯の群生、杉林、沼、松ぼっくり、浜昼顔、サボテン、珊瑚、色鮮やかな花々・・・霧に包まれ、あるいは光に満ち、迷い込む人を誘うような、うっとりと眠くなるような幻想的な世界です。

進藤環の作品は写真によるコラージュです。図鑑のように精密で写実的な植物のひとつひとつ、風景全体の調和は、撮り溜めた膨大な写真プリントをいったん、はさみでバラバラに切り刻み、ジグゾーパズルのように新たに張り合わせることを幾度となく繰り返して原画をつくり、それを再度撮影して完成させます。

それによって、誰もが知っているはずの植物や森の植生が変更され、高山植物の横に海岸の花が咲き、秋草の隣に春のタンポポが飛ぶような独特の自然世界が構築されます。
進藤環は度々旅に出て道に迷います。それは子供の頃に住んでいた市街地でも同様に繰り返されてきた行動で、その時の驚愕、恐怖の強い感情、焦燥の中での記憶と知識の混乱が、作品制作のコラージュ作業とよく似ているのだと話します。大人になっても繰り返される森や山での迷いの体験と、ひとつの作品に半年の時間をかけるコラージュ作業の繋がりから、絵画のように美しくも不思議な世界が生まれました。また接木のような育成方法のある植物は、自然界のみならず人間社会にも通じる多様な生態観を表現するのにふさわしいモチーフであることも象徴的です。
進藤環はボナールを愛し、大学で油彩画を専攻後、写真の道へ進み、記憶や時空を重ね合わせることをテーマに現在の作品を制作するようになりました。2000年頃より数々の発表を重ねてきました。今展は作家にとってこれまでで一番大きな個展の開催となります。

*展覧会のサブタイトルの「クロックポジション」とは、空間の方向を時計の文字盤に置き換えて把握する方法です。視覚障害者が空間の把握のために用いられる方法でもあります。また山で目標物が見つけられない場合、太陽の向きと時計の短針(時針)から方角を割り出すことができます。

進藤環 進藤環

写真 左:「見えないところに隠す」 2010 615mm×472mm
写真 右:「ふざけてまたは急いで」 2011年 1140mm×820mm

進藤環

2011年 ギャラリー2会場風景

インタビュー
2011年6月1日 インタビュー:大橋恵美(INAXギャラリー)
大橋 進藤さんの作品は一見すると油画のような重厚さを感じるのですが、写実的でCGにも見えます。描かれている世界も太古の森のような不思議な世界で、パノラマ図鑑のようで惹き付けられました。
進藤 技法は写真コラージュです。最初は写真だけをやっていたのですが、その写真の中にいくつかの時間を組み込むことはできないかと考え、コラージュを始めました。
庭先の植物や、旅行先の風景などを撮り溜めて、その写真をいったん機械的に細かくバラバラに切って箱に溜めておき、その切ったものを組み合わせることを何度か繰り返してコラージュの原画をつくります。それを最終的にカメラで複写して画像を印画紙に定着させています。
この繰り返しの中で写真に含まれている属性がだんだん不明確になっていきます。被写体の持つ光などの属性をどこまで保持できるのか、それはそのまま自分自身の経験をどこまで記憶として維持できるのかという想いになって、記憶を組み替えることへも興味がゆきます。
大橋 最初から写真だったのですか。
進藤 最初は油絵で抽象画を描いていました。ただ、その頃から光は気にしていました。好きな作家がボナールで、それは窓や鏡を使って一枚の絵の中に違う空間をはめ込んでいること、光を色彩に置き換えて窓の光、鏡の光といろんな光が描かれていること、色彩がフォルムを侵食していくことなどが参考になります。私は光と時間と記憶がテーマですね。抽象画を描いていた時は、自分に内在している記憶だけに頼っていたので、その中のサイクルから逃れられないような気がしていたのですが、写真を使うことで記録性、記憶性によって客観性を持てました。
大橋 この不思議な世界に出てくる多種多様な植物は独創ですね。
進藤 植物には植生がありますよね。接木という育て方がありますが、個体に見えていても、根っこは違う植物であったりします。自分の見ている世界というのも、いろんなものを継ぎ合わせて見ているのではないかと思います。だからモチーフとして扱いやすいです。
大橋 いろんな所に撮影に行かれるんですか。
進藤 はい、最近も屋久島に行きました。宮之浦岳に登ってきたのですが、4月でしたが雪が1m位積もっていて、遭難しかけました。方位磁石もGPSも持っていたのですが、ある地点で全然わからなくなってしまった。その時の感覚というのが、コラージュで指標を見失った感覚に近いのです。私はよく道に迷うのですが、その場所を知っていると思っていたのに、迷った瞬間その情報が消えてしまい、特定できない場所になる。
コラージュの最中でもよくそうなります。あるパーツが指標にあって、それに沿ってやっていると、ある時そのパーツが消えてしまう。道に迷った時は、記憶や知識を当て嵌めて、ここがどこだかわかろうとしますよね。そんな、名もなき場所と自分の記憶を混在させた風景をとらえたいと思っています。
大橋 鮮やかな色彩は進藤さんの特徴だと思いますが、モノトーンの作品もありますね。
進藤 それは迷った時に森で過ごした夜の感覚を再現しようと思いました。とても怖かったんです。下北半島で迷ったのですが、ヒバの群生地の自然公園があるというのでバスで行って、道なき道に踏み込んで5mくらいで戻って来ようと思っていたら、すぐわからなくなってしまった。歩いているうちに川があり、川を辿って行ったらフェンスがあったのでこれは人間がいると思って、有刺鉄線だったのですが、血だらけになって乗り越えた。道はあるけど人が全然いない。なぜかすごい爆発音が聞こえる。それでも歩いていたらジープが来て、そこは自衛隊の演習場の中だったんです。
大橋 市街地でも迷う方ですか。
進藤 迷います。でも小さい頃の遊びとして、自転車で自分の知っている範囲からわからない所まで抜けるという一人遊びをよくしていたんです。それでそこからまた戻ってきて、ここは何処だか知っているという確認をする遊びでした。
大橋 心象風景ではないですが、迷子になった時の気持ちで見る風景は違うのではないでしょうか。進藤さんの作品を見ていると、この風景の中に思わず迷い込みたくなるような感じを受けます。
進藤 事前にガイドブックでも見た風景を、実際に自分がそこに立った時に知識や記憶に一致させようとしていることに気がつきます。一致させようとしていることって何なんだろう、今見ているもものは何によって支えられているのだろうと考えます。
何気ない日常の中でよく知っているものを未知に感じる時ってありますよね。
逆に初めて見るのに知っているような既視感があったりします。視覚だけでなく、記憶や内在するものに支えられているのだと思います。観念と視覚は地続きで繋がっていて、迷子ではないですが、この世の中にはそうした一瞬にして変わる空間があることに気づく。そうした空間が変わるような場、変位場を見過ごさずに考えていきたいと思います。
作家略歴
1974年 東京生まれ
1998年 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業
2000年 武蔵野美術大学大学院油絵コース修了
2006年 東京綜合写真専門学校第二学科修了
個展
    
2010年 「Wandering dunes」 H.P.FRANCE WINDOW GALLERY(東京 丸の内)
「湿原の砂」LOOP HOLE (東京 府中)
2009年 「動く山」新宿眼科画廊 (東京 新宿)
グループ展
    
2010年 「風景以前」新宿眼科画廊(東京 新宿)
2009年 「BankART妻有 桐山の家」(新潟 松代)
「Open Studio4 Kodaira Artists Site」(東京 小平)
「DYNAMITE0000」キタノスタジオ(東京 三鷹))
2008年 「食堂ビル1929—食と現代美術part4 横濱芸術のれん街」BankART1929(神奈川 横浜)      
2007年 「世界は誰のもの?」展 BankART1929 Studio NYK(神奈川 横浜)
「For Rent! For Talent! 3」三菱地所アルティアム(福岡)      
2004年 「LOCALS」村松画廊(東京 銀座)
2002年 「みどりの風展」ギャラリーかれん(神奈川 横浜)
2000年 「平成12年度大学院修了制作優秀賞展」武蔵野美術大学美術資料図書館(東京 小平)

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