建築・美術展 GALLERY 2




展覧会案内

西村伊央 −symphonic photograph−展<br>Nishimura Io Exhibition

西村伊央 −symphonic photograph−展
Nishimura Io Exhibition

2011年7月1日(金)〜7月28日(木)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 7月1日(金) 18:00〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

PHOTO:『astral』2011 W4000 × H3600 × D1200mm インクジェットプリント 546枚



展示会概要
西村伊央の作品は、写真を用いた空間インスタレーションです。作品は最初、壁いっぱいに小さなモニターが並び、赤、緑、青、黄色の光の輪が重なり合い、暗闇に発光して渦巻いているように見えますが、近づいていくと、モニターではなく印画紙の写真が細いグリッドに沿って貼られていることがわかります。何千何万枚と撮った写真から構成した、およそ6百枚の異なる色彩がひとつの交響曲のように響きあい、その奥から光が放たれて身体中に滲んでいくようです。
西村は幼少時よりピアノや管楽器を学び、高校ではオーケストラでバイオリンを演奏していました。好きだった美術と音楽の間で迷い、美術を選んだとき、音楽を聴覚以外で感じていくことを考えました。カメラのシャッターを切りながら光を捉えてゆくスピード感と、バイオリンの演奏感覚の相似に気づき、光を集めて音楽を奏でていくことができるのではないか、さらに視覚や聴覚以上に、人間の感覚全てを使って体感することを望み、写真を使って現在の作品を制作するようになりました。
天を仰ぎ見る祈りや、人知を越えた荘厳さに対峙する思い、光そのものの実在から内在へ向かいながら、光を浴びるように、清らかな美しい世界の向こう側へ超えていく意思と希望を感じる作品です。
今展では、幅13メートルに高さ2.3メートルの大きさの新作を会場に構成する予定です。空間に併せて自在に変化し、空や海のゆらめきのように、いくつもの重なり流れていく音色を奏でる西村伊央の作品をぜひ会場でご覧ください。
西村伊央

西村伊央

2011年 ギャラリー2会場風景


インタビュー
2011年4月25日 インタビュー:大橋恵美(INAXギャラリー)
大橋 藝大先端2011(BankART Studio NYK)の“astral“は、最初は映像作品だと思い、そばに寄ると写真を板に貼っているアナログな手法だったので、デジタルに見えたことに衝撃を受けました。この作品はどのようにして生まれたのですか。
西村 写真表現と音楽、空間と身体感覚との関わりについてこれまで考えてきたことがつながって生まれました。写真で空間をつくることができないか、最初はステンドグラスのイメージから窓に写真を貼ってみたりして、2006年の学部の卒業制作の頃から、現在のような形態でつくりはじめました。人は本来、視覚や聴覚といういわゆる五感だけではなく、複合的な感覚で体感しているはずだと思うので、空間全体を使った表現であることはすごく重要なんです。
私は子供の頃からピアノ、吹奏楽やオーケストラでの演奏経験があって、音楽と美術のどちらも続けたいと思っていました。耳を痛めてしまいオーケストラとバイオリンを続けられなくなってしまって、音楽を聴覚以外で感じることができたらという望みのもとで、視覚表現を選びました。
大橋 音楽の非常に細やかな階層で出来ているような部分を視覚で表すのは、イメージすることは多いけれどすごく難しい。すぐに作品として思い浮かぶのですか。
西村 旋律と光景とを重ねるようにして作品をつくります。ちょうどバイオリンをやめた頃にカメラを持ち始めて、シャッターを切って光をとらえていくスピード感が、バイオリンを弾いていたときの演奏感覚とよく似ていると実感するようになって、カメラが楽器に代わる存在になっていきました。音色や響きが、光の色彩や明暗にリンクして、光で音楽を奏でていくことができるのではないかと思いました。
大橋 イメージには具体的な曲が重なってきますか。
西村 たくさんの音楽を聴いて身体に通していくので、特定の曲をモチーフにしているわけではありません。最初にまず、演奏するような感覚で何千何万枚と撮る行為が自分にとって重要で、その光の質感や流動性を体感できるようにするにはどうすればいいかというところで初めて構成が必要になってきます。音楽からインスピレーションを受けて、表現したいイメージを鮮明にしていきます。
大橋 色彩が豊かなのも魅力です。例えば“inner blue”はどういうところから展開していきましたか。
西村 “inner blue”は、夜明けの青を水ごしに撮りためた写真で展開した作品です。写真に写すことができる眼に見える世界と、その奥に深くリンクする大事な要素として光や色彩があると思っています。青は特別な色で、生命の記憶の根源性を感じます。
その後“aureola”では、水面を出て初めて出会う光として太陽を撮りました。実在と内在、抽象と具象、自然と人間の接点を写すことができるかを考えたくて、太陽と対にポートレートも撮っていきました。光に含まれるあらゆる色彩を取りだしていきたいと思ったことが、“astral“につながっていきます。
大橋 神々しい光を浴びるような感覚があります。
西村 例えばチャペルのステンドグラスや、夜明けの空の青、夕暮れに降りてくる太陽、空を仰ぐ時の祈るような気持ちや、人知の及ばない荘厳なものに対峙する時の気持ちを、自分の作品と対峙した時に再体験したいという思いがあります。
大橋 裏から照らしていないのに、ひとつひとつが小さなモニターのように光り輝いて見えるのが不思議です。黒いグリッドは、そのように見せる意図があるのですか。
西村 グリッドには写真を浮かびあがらせる役割があって、動画でなく静止画である写真だからこそ、観る人の視線やコンディションによって流動性を得られると考えています。写真は、日常の風景のなかに実在している光だということを証明してくれるものでもあって、それが内在とつながっているということを写したいと思っています。
大橋 光に包まれた多幸感を清らかで綺麗と感じますが、西村さんは綺麗なものだけを思ってはいないですよね。
西村 難しいですね。例えば生まれてくる新しい命にどんな世界を見せて、何を聴かせたいのかと考えた時に、美しいものであってほしいし、内包しているものはさまざまあるけれど、それでも自分たちがいる世界は美しいものだと伝えたい。でもそこで思考を止めてしまわないで、写っているものの奥を感じて欲しいとも思っています。作品を何度も見に来てくださった方が、見るたびに違ってみえると言ってくださったのが、嬉しかったですね。鏡のようであってほしいと思います。
大橋 これからもしばらくこのスタイルは続きそうですね。並び替えたらどの作品も別の作品になっていく可能性がありますね。
西村 交響曲は、ひとつの主題に対して一楽章、二楽章と展開していく、それに近いと思っています。響きあう光と音を、全身で体感できる空間を、写真表現によってこれからも追求していきたいと思います。
作家略歴
1984年 東京都生まれ
2007年 多摩美術大学美術学部情報デザイン学科情報芸術コース 卒業
2011年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程先端芸術表現専攻 修了
展覧会
2007年 多摩美術大学美術学部情報デザイン学科情報芸術コース2006年度卒業制作展 NO MAP/BankART Studio NYK(横浜)
個展 inner blue/Pepper's Gallery(銀座)    
2008年 第13回学生CGコンテスト受賞作品展/国立新美術館(六本木)
APANESE YOUNG ARTISTS'BOOKS FAIR_2nd video exhibition/MONSTER ISLAND (Brooklyn, NY)    
2009年 TAMA VIVANT II 2009 うさぎ穴はふさがれた/多摩美術大学(八王子)みなとみらい線みなとみらい駅地下3階コンコース(横浜)    
2010年 Color pieces カラー・ピース 鮮やかな色のかけらたち/とりでアートコンシェルジュ(取手)
東京藝術大学美術学部先端芸術表現科鈴木理策研究室展覧会 私にも隠すものなど何もない/BankART Studio NYK(横浜)
個展 aureola/SPACE ANNEX Gallery(日本橋)    
2011年 藝大先端2011 東京藝術大学先端芸術表現科卒業修了制作展/BankART Studio NYK(横浜)    
受賞
2008年 第13回学生CGコンテスト 特別賞
2007アジアデジタルアートアワード 静止画部門入賞    
■ ウェブサイト
http://lapisjupiter.com/

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