建築・美術展 GALLERY 2




展覧会案内

田淵裕一 展 <br>−輪郭の幻影 光栄堯夫 <br>歌集「姿なき客人」から−

田淵裕一 展 
−輪郭の幻影 光栄堯夫 
歌集「姿なき客人」から−

2008年9月1日(月)〜9月26日(金)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 2008年9月1日(月) 18:00〜19:00

アートニュース

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

Photo: 製作年 2006 素材:ワイヤー、写真  サイズ:385×280×35mm



展示会概要
田淵裕一(Tabuchi Yuichi)さんの作品は385×280×35mmの箱の中に、モノクロ写真、ワイヤーワークのひとがた、幾何学形態の立体が閉じ込められています。
モノクロ写真には、海岸、雪景色、墨のにじんだ看板、風雨にさらされた木壁などの風景の中に置かれたひとがたが写っています。そして、余白には「姿なき客人(まろうど)ふえゆく八月は死の量(かさ)にまで水位上がれり」などの、短歌が書かれています。
モノクロ写真も田淵裕一さんの撮影ですが、写真と人魂にも見えるワイヤーワークのひとがたの組み合わせは、古いアルバム写真の遠い記憶の面影のようで、見る者はどこかへ連れ惑わされたような、もの哀しく、でも何か深く静謐なものに満たされた感覚を味わう作品です。
田淵裕一さんは美術系出版社での編集者を経て、1980〜90年代にエディトリアルからグラフィックまでこなすデザイナーとして、多くの作品を手がけてきました。同時にデザインの仕事の傍ら彼自身の発露として、独自の写真機による、「TABTYPE」と命名した、線による抽象写真とも言うべき作品をひそやかに制作してきました。2000年頃に生業を退いた後は、本格的に作品の制作を始めます。
そのきっかけが上記の歌人・光栄堯夫(みつはな たかお)との出会いでした。2003年に歌集「姿なき客人」の装丁を行った時、田淵さんはいつものように表紙をデザインする作業の一環としてオブジェを制作します。先の短歌は八月の盂蘭盆会という、今は姿なき客人が数多く訪れるという仏教行事をモチーフにしています。田淵さんは手づくりで、ワイヤーをメッシュのようにランダムに幾重にも編み込み、この「客人」をつくりました。
田淵裕一展
田淵裕一展 田淵裕一展
田淵さんは、「生身と骸(むくろ)、彼岸と此岸の境界線にわが身を佇ませる」とそのイメージを話し、「客人」をひとがたに仮託して、様々な風景の中で古い写真機を使い、独自の世界を撮影してゆきました。
「カーテンの陰よりのぞくネコの顔 境界線上のひとつと」では、室内でネコに「客人」がそっと寄り添う写真の上に、ワイヤーでつくった立体が日常生活のモノの影のように散らばって、静かな佇まいの中にどこか親しみのある光景をつくり上げています。
ワイヤーは針金からアルミニウム、光沢のあるものから錆びたように黒ずんでいるものなど、いくつかの表情があり、モノトーンに感じられる世界に色相の諧調を与え、美しく画面を引き締めています。 今展ではこうした作品30点が額のように壁に、また大きさ30〜90cmのワイヤーワークによる立体作品としてのひとがた10数点が展示されます。
この世のものとも知れない、でも自分の分身でもあるような「客人」に導かれて、かつて尋ねた町や今はなき知り合いの家へ散歩に行く― そんな大切な記憶や時間を閉じ込めたような作品をご覧下さい。
INAXギャラリー田淵裕一 展
INAXギャラリー田淵裕一 展
作家略歴
1940 フランス人形つくりの息子として大阪に生まれる。
1958 大阪市立工芸高校美術科卒。
1962 多摩美術大学日本画科卒、同年美術出版社入社。同期に長田弘、故岡田隆彦
1977〜2005 渋谷道玄坂で田淵編集美術事務所として、装丁、エディトリアルデザインをはじめ、多くの主なる出版社、小さな本屋、美術館、ギャラリーの仕事をする。スタッフを組まず、自分で絵を描き、文字を描き、写真を撮り、オブジェをつくり、レイアウト、構成をすべて一人で行う主義で、(もちろん原稿の受けわたしもテクテク出かけていってきたが、)コンピュータによるIT革命とやらに性が合わず、20世紀を越えたあたりで、ほぼ50年間の仕事をやめ、2005年 高輪の書肆啓祐堂ギャラリーで「田淵裕一・本のかけらたち」という小さな展覧会を開催して、職業としての営為のけじめとした。

ページの先頭へ

LIXIL Link to Good Living

Copyright © LIXIL Corporation. All rights reserved.