やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

谷本 景展  - 古代から - <br>Tanimoto Kei Exhibition

谷本 景展 - 古代から -
Tanimoto Kei Exhibition

2015年8月27日(木)〜10月27日(火)

■ 場所
LIXILギャラリー (東京会場 )
■ 休館日
水曜日、9月23日(水)
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

プレスリリース(442KB)pdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

「古代から ‘13」
2013年  H50×W56×D13.5cm




展示会概要

谷本 景氏は三重県伊賀市に生まれ、陶芸を学んだ後に20代でヨーロッパへ渡りパリで銅版画を学びました。1977年に帰国してから現在に至るまで、伝統的な伊賀焼の技術を継承しながら、独自の絵画的要素を取り入れた「現代の伊賀」を創作しています。本展では、2013年より制作されている造形作品「古代から」シリーズより、新作を含む10点を展示します。


見どころ

@ 遠く古代からの息吹を表現
本展では谷本 景氏の造形作品の中でも、2013年頃より始まった近作である「古代から」シリーズの中より新作を含む10点を展示します。「古代から」は、古代遺跡から出土した銅鐸をイメージした作品シリーズで、長い歳月の間に土に埋もれ、腐食し朽ちかけたものの美しさと、そこへ馳せる想いを追究して制作された「遠く古代からの息吹」を表現しています。

A 桃山時代からつづく伊賀焼を現代へ
「古代から」シリーズが生まれた背景には、谷本氏が桃山時代から続く伝統の伊賀焼技術の継承者であることが挙げられます。古伊賀の復興を目指していた父・谷本光生氏の許で制作した後、土の持っている素材の面白さを生かし切れていないと感じた谷本氏は、古伊賀の特徴である「火色・焦げ・ビードロ釉」を新たに解釈し直し、その焼き上がりに絵画的要素を取り入れた独自の「現代の伊賀」を創造します。「古代から」シリーズは、現代陶芸では少なかった「土味・焼味」を日本のやきものの本質として再構築するかのようにつくられ、「土と焼きと造形」のバランスが見事に溶けあった作品です。谷本氏は不完全で不調和なものの在り様を美意識の源とし、時が刻む自然の姿を作品に映し出しています。谷本氏の想いを表現した新しい伊賀焼の世界は、同時代を生きる在り方を伝えてきます。



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2015年8月 ギャラリー3 会場風景


「谷本 景 展−古代から」に寄せて

   タイトルにある「古代から」とは、「古代遺跡から出土した朽(く)ちかけた銅鐸(どうたく)をイメージして生まれたもの」である。谷本景氏は、「長い歳月、土に埋(うず)もれ、朽ちかけたものには美しさがあり、ロマンがある」という。それは、桃山陶の中で最も力強い造形力を備える、古伊賀の魅力をとことん追求したからこそ辿り着いた答えなのかも知れない。景氏の作品は「土と焼きと造形」がバランスよく溶けあった現代の伊賀である。それは、桃山陶を遥かに超えて、「遠く古代からの息吹を表現した」ものである。    景氏は高校卒業後、美濃の日根野作三(同じ伊賀出身)や弟子の加藤仁の許で陶芸を学ぶが、絵画への憧れが立ち切れず、1973年パリ在住の具体の画家・松谷武判を頼って留学、その紹介でW・ヘイターの版画工房「アトリエ17」で銅版画を学ぶ。景氏が本格的に陶芸家を目指したのは、そのパリ留学中のこと。陶芸を教えるアトリエのないパリで、あるフランス人女性から「陶芸を教えて欲しい」と頼まれたからである。その時から、故郷の伊賀焼のことを考えるようになったという。そして、1977年に帰国し、父・谷本光生(こうせい)氏の許で作陶生活に入った。     その頃、光生氏は古伊賀の復興を目指し、桃山伊賀の茶陶を範とした作品を制作していた。景氏は、父の許で桃山伊賀をとことん追求しながら、しかし、父とは違った現代陶芸としての伊賀を目指すことを決意した。それは、まず土から違っていた。景氏は、父のように水簸した粒の細かい土ではなく、もっと粗い伊賀の原土を使う。そして、古伊賀の特徴である「火色・焦げ・ビードロ釉」を新しく解釈し直し、その焼き上がりに絵画的要素を取り入れた。以前、光生氏と景氏と「陶片は語る 伊賀」と題して、『陶説』誌上で鼎談をしたことがあった。その時、桃山の古伊賀の復興ではなく、「彼らが創ったような情熱を持って、違った形で伊賀を表現したい。どうしたら桃山の美に近づくかじゃなくて、どうしたら違う美が生まれるかなんです」と熱く語った景氏のことを思い出す。「古代から」とは、彼が長く求めていた、桃山とは違う現代の伊賀の創造なのである。    パリ留学中、景氏は「カンバスを切り裂いた作品や、石や木を並べたオブジェが、古伊賀のやきものそのものだった」と気が付いたという。そういう意味では、まさに<伊賀水指 銘「破袋」>は現代芸術の先駆的存在であった。古伊賀の茶陶に共通する特徴は、左右非対照の形をしていることで、故に余白ができ、空気が生まれるのである。純粋抽象芸術としてのオブジェは、すでに江戸時代初期に伊賀の地ではじまっていたのだ。景氏の作品は、その造形ではなく、その創造を継承するものなのである。
   現代陶芸を世界に発信する時、「何故、やきもので表現するのか」と問われるであろう。その時に、現代陶芸が一度は否定した「土味、焼味」を、日本のやきものの本質として再構築することで、日本の陶芸が世界に再認識されるであろうと、私は思っている。

森 孝一(美術評論家・日本陶磁協会常任理事)

作家略歴
1948 三重県伊賀市に陶芸家・谷本光生の長男として生まれる
1970 美濃にて日根野作三、加藤仁に師事
1973 パリのウィリアム・ヘイターのアトリエ17にて銅版画を学ぶ
1976 パリにて陶芸展(フランス)
1977 ギメ東洋美術館にて陶芸作品によるデモンストレーション(フランス)、
帰国後、三田窯を継承。以後、全国各地で個展開催
1978 個展(三越/池袋)、「伊賀・信楽二人展」(小田急/新宿)
1980 「伊賀・信楽新作展」(松坂屋/静岡)、「景茶陶展」(益田屋/東京)、「光生・景茶陶展」(大丸/高知)
1981 「光生・景茶陶展」(玉屋/福岡)
1982 「伊賀・信楽二人展」(赤坂グリーン・ギャラリー/東京)、個展(三越/新潟)
1984 「光生・景・洋・三人展」(大丸/福岡)、個展(池袋三越/東京)
1986 親子展(岩田屋/熊本)、「三重の茶・花器展」に出品(三重県立博物館)、個展(野村美術館/京都)
1987 親子展(大丸/福岡)
1988 「陶芸百選展」に出品(島屋/大阪・東京)
1989 「土来花来」展(マスダ・スタジオ/東京)
1990 明治村茶会に出品(犬山・愛知)
1991 「伊賀・信楽展」に出品(香雪美術館/兵庫)、個展(松坂屋/横浜)
1994 「伊賀陶芸会展」に出品(三重県立美術館)、「三重陶芸作家展」に出品(近鉄/四日市)
1996 「三重陶芸作家展」に出品(近鉄/四日市)、「茶の湯と野の花の出合い展」に出品(玉屋/佐賀)
1997 「三重の作家たち展」に出品(三重県文化センター)
1999 個展(島屋/京都)、(近鉄/名張)
2000 「NHK やきもの探訪」に出演
2001 個展(小倉玉屋/北九州)
2002 個展「壺と華」(名鉄百貨店/名古屋)
2003 「工芸家の大正・昭和・平成展」に出品(三重県文化会館)、個展(和光/銀座)
2004 個展(島屋/京都)、現代茶陶展(サン・ギャラリー・住惠/名古屋)に出品
2005 「東海の陶芸」展に出品(名古屋)
2007 個展(大丸/大阪)
2008 個展(大丸/東京)
2011 個展(フランクフルト・ドイツ)
2013 個展(フランクフルト・ドイツ)
2014 個展「古代から 谷本景」(現代美術 艸居/京都)

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