やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

岸 映子 展 -心象風景-<br>Kishi Eiko Exhibition

岸 映子 展 -心象風景-
Kishi Eiko Exhibition

2014年6月10日(火)〜7月11日(金)

■ 休館日
水曜日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

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「心象風景」
2014年 H38.5×W54×D9.5cm
撮影:永田陽



展示会概要
本展は近年海外を中心に活動している岸映子の5年ぶりの日本での個展となります。自身が考案した「彩石象嵌」技法を用いた代表作「心象風景」シリーズの新作4点などを展示します。


見どころ

@ 国内での5年ぶりの発表
岸映子は近年その発表の多くが海外でした。韓国やアメリカの大学でのレジデンス、パリやニューヨークのギャラリーでの個展を重ね、その作品はボストン美術館、ブルックリン美術館、セーブル国立陶磁器美術館、ヴィクトリア&アルバート博物館などにコレクションされています。今展は5年ぶりの日本での個展となり、岸映子が考案した「彩石象嵌」技法を用いた代表作「心象風景」シリーズから、50cmサイズの新作4点などが展示されます。

A 独自の技法「彩石象嵌」
「彩石象嵌」は岸映子が80年代より制作している独自の技法です。
土に顔料を混ぜて素焼きにしたものを砕いて粉状にし、さらに陶石や粘土を加えて成形した後、表面を削り、施釉、焼成をする技法です。「心象風景」シリーズではグレーの色調の中に青や茶の土の粒が淡く均一に浮かび上がります。2mmほどの粒がぎっしりと並んできらきらと輝く様は、端正に織られた布目のように緻密な印象です。岸映子は何処を切っても同じ表情の土の肌が現われることを目指し、この技法を生み出しました。

B 構築物のような幾何学形体
「心象風景」シリーズのかたちは、すべて直線で出来ています。三角形や四角形を組み合わせてつくられるかたちは、底辺が小さく、シャープな印象で鋭い緊張感があります。岸映子は、静かに表現される「能」の動きや重厚な衣装の折り目、また、建築物の屋根や垂木、組み木などの美しさに触発され、自身の心象を重ねながら作品のモチーフに取り入れています。

岸映子

岸映子

岸映子
岸映子

2014年6月 ギャラリー3会場風景

「岸 映子−心象風景−展」に寄せて −秘すれば花なりの清楚な作品−

岸さんが考案した「彩石象嵌」の技法は、粘土に顔料を混ぜ素焼きしたものを細かく砕いて、数種類のカラーシャモットを作り、そのカラーシャモットを信楽粘土、陶石、ガイロメに混ぜて作品土を作る。この土を使って作品を成型し、少し硬くなったところで表面を削り、鉄針で線模様を刻み込み、さらにその上に彩色を施す。それを1,245度で焼成すると、ちょうど石の中の結晶のようにカラーシャモットがそれぞれの色を保ちながら、作品の表面に浮き出てくる。しかし、岸さんは「表面だけでなく、その内部にも砕石が混じっていないとだめだ」という。そこに、岸さんの常に本質を求める思想があるように思う。
ところで、岸さんには1985年の朝日陶芸展で女性初のグランプリを受賞、さらに同年、女流陶芸展で文部大臣賞を受賞という輝かしい賞歴がある。その後も賞歴は続くのだが、やがて「作るのが好きなだけで作陶している自身に疑問を持つようになり、技術を超えた精神的なもの、思想的なるものが人に訴え、感動させるのではないだろうか」と考えるようになった。40代後半になって京都精華大学人文学部に入学したのは、そういう動機からであろう。大学卒業の翌年には、第51回ファエンツァ国際陶芸展で銀賞を受賞、2001年にはジョーン・B・マーヴィス女史の企画で「マスター・オブ・クレー 京都の5人作家展」をニューヨークのバリー・フリードマン・ギャラリーにて開催する。彼女がアメリカで個展をするようになったのは、それ以後のことである。2008年にはニューヨークのジョーン・B・マーヴィス画廊で「Rays of Light 光の線条-岸映子の複合的陶芸の世界」、2012年には「Recollected Vistas・心象風景 岸映子の陶芸」を開催する。
岸さんの作品に今日のような基本形体が完成するのは、2008年の「能形」、2009年の「能舞」あたりからであろうか。前者は能の静かな動きの中にある緊張感を表現し、後者は舞の一瞬の形を表現している。それは能衣装の持つ折り目の美しさ、能の幽玄無上の美を「線」で表現したものである。さらに、「心象風景」では寺院の屋根や垂木の美しさ、組み合わせの素晴らしさを、自己の心象風景に重ねて表現している。岸映子の陶芸が高く評価され、フランス、イタリア、イギリス、ハンガリーをはじめ、アメリカの多くの美術館に収蔵されるようになったのは、彼女の作品が立体作品として非常に完成度が高く、かつ独創的であるからだ。恐らく欧米の美術館のキュウレーターには、そうした作品の本質が我々以上に見えているのであろう。岸さんの作品は、彼女自身のように繊細で我慢強く、そしてどこか控えめである。それは「秘すれば花なり」で、じつに清楚な作品でもある。

森 孝一(美術評論家・日本陶磁協会事務局長)
作家略歴
1948年 奈良県生まれ
1980年 女流陶芸展・毎日新聞社賞(京都市美術館・京都)
1984年 京都工芸美術展・奨励賞(京都府立文化芸術会館・京都)
1985年 滴翠美術館付属陶芸研究所専攻科、研究室修了
朝日陶芸展にて女性初のグランプリを受賞
「流紋石器」(名古屋 東京 大阪 滋賀 長野)
女流陶芸展・文部大臣賞(京都市美術館・京都)
1987年 朝日陶芸展・奨励賞「時刻の館」(名古屋 岡山 東京 大阪 滋賀 長野)
1990年 ギャラリーマロニエにて個展(京都)‘94 ‘96
1991年 第20回長三賞陶芸展・長三大賞(伝統部門)「彩石象嵌」
朝日陶芸展招待出品
京展・市長賞‘92(京都市美術館・京都)
第2回陶芸ビエンナーレ91佳作賞(名古屋 岡山 金沢 笠間)
‘91焼締め陶公募展・記念賞(天満屋岡山店・岡山)
1992年 麻布美術工芸館にて個展(東京)
1994年 「EXTREME OSAKA」関西国際空港記念。喜多俊之企画(イタリア・ミラノ)
1995年 銀座・黒田陶苑にて個展(東京)‘02 ‘07
94焼締め陶公募展・準大賞(天満屋岡山店・岡山)
第4回陶芸ビエンナーレ95・奨励賞(名古屋三越本店・名古屋)
1997年 ギャラリー正観堂にて個展(京都)‘01。「第35回朝日陶芸展グランプリ受賞者展」
1998年 京都精華大学人文学部卒業
1999年 第51回ファエンツァ国際陶芸展・銀賞(イタリア・ファエンツァ)
2001年 バリー・フリードマン・ギャラリーにて個展(米国・ニューヨーク)ジョーン・B・マーヴィスLTD企画「マスター・オブ・クレー 京都の5人作家展」(鈴木 治、森野泰明、宮下善爾、近藤高弘、岸 映子)
2002年 京都工芸美術作家協会展・記念賞(京都府立文化芸術会館・京都)‘03〜‘10
2004年 ワコール銀座アートスペースにて個展(東京)
ギャラリーなかむらにて個展(京都)
2005年 バリー・フリードマン・ギャラリーにて個展(米国・ニューヨーク)ジョーン・B・マーヴィスLTD企画「岸映子展-A Delicate Balance 繊細なバランス」
国際陶芸アカデミー会員
「新世紀の日本の陶芸展」(ボストン美術館・米国)
2006年 島屋美術画廊にて個展(京都)
「新世紀の日本の陶芸」ジャパンソサエティー(米国・ニューヨーク)。バリー・フリードマン・ギャラリー(米国・ニューヨーク)ジョーン・B・マーヴィスLTD企画「TRANSLENDING TRADITION-現代日本陶芸展」
「日本陶芸の伝統と前衛展」(セーブル国立陶磁器美術館・フランス・パリ)
2007年 島屋美術部創立100周年記念「陽気な京焼展」島屋美術画廊(大阪・京都・東京)
「魅せられる…今、注目される日本の陶芸展」県立信楽陶芸の森(フランス・米国に巡回)‘11 ‘12
2008年 ギャラリー器館にて個展(京都)
ジョーン・B・マーヴィス画廊(米国・ニューヨーク)「Rays of Light 光の線条-岸 映子の複合的陶芸の世界」
2010年 クララ・スクレミーニ・ギャラリーにて個展(フランス・パリ)
2012年 ジョーン・B・マーヴィス画廊(米国・ニューヨーク)「Recollected Vistas・心象風景 岸映子の陶芸」
2013年 京都工芸美術家作家協会展・文部大臣賞(京都府立文化芸術会館・京都)

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