やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

塚本春日美 展 -陶幻ノ庭ニ遊ブ-<br>Tsukamoto Kasumi Exhibition

塚本春日美 展 -陶幻ノ庭ニ遊ブ-
Tsukamoto Kasumi Exhibition

2013年3月6日(水)〜4月2日(火)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  3月6日(水)18:30〜19:00

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「衝動」2012
H100×W110×D45cm



展示会概要
塚本春日美の作品は古代の祭器や青銅器に描かれた幻想の動物をモチーフにした陶磁器による立体作品です。卒業制作である「衝動」(2012)は中国神話の伝説上の動物“麒麟”をテーマとして、自身の心象風景を重ねてつくられています。今展では新作2点に近作3点を加えた5点を展示します。


見どころ

@ 新作発表
今展では、新作「沼地」、「龍」の2点に加えて、塚本春日美の卒業制作であった「衝動」(2012)、近作「裁判獣」(2009)、「私の飛べないナイチンゲール」(2012)を合わせた、計5点を展示します。

A 優しい曲線で表現される愛らしくも勇猛な動物たち
塚本春日美の作品は、古代の祭器や青銅器に描かれた幻想の動物をモチーフに自らの心象風景を重ねた陶磁器による立体作品です。大きさは30cmから100cmほどで、技法も素焼きだけのもの、金属のような肌合いのもの、パステルカラーに着彩されたもの、透かし彫りや華やかな装飾文様が施されたものと様々な表情があります。塚本春日美の作品は、動物の姿が土の緩やかなカーブを生かした優しい曲線で表現されているのが特長のひとつですが、本展で展示される「衝動」(2012)は中国神話の伝説上の動物“麒麟”の背中全体が火炎に燃え上がるかたちに制作され、エネルギッシュでダイナミックな造形が魅力です。

B 考古学の庭から
塚本春日美は、京都市立芸術大学大学院にて陶芸を学びました。陶芸を学ぶうち、土の可塑性と焼成による変化に魅せられました。家族が考古学の仕事をしていた背景から奈良国立博物館の所蔵品に幼い頃から親しみ、火焔式縄文土器や青銅器の緑青、遺物の古色を好むようになりました。作品として表現されるいにしえの幻獣たちからは、塚本春日美の生きものに対する親しみや畏敬の念が感じられます。

塚本春日美

塚本春日美

塚本春日美

塚本春日美

塚本春日美

2013年 ガレリアセラミカ会場風景

インタビュー
2013年1月10日 インタビュー:大橋恵美(LIXILギャラリー)
大橋 動物をモチーフにされる方が多い中で、「衝動」(2012)は背中に炎が燃え立つエネルギッシュな作品でした。どんなイメージでつくられていますか。
塚本 私は中国の漢時代の馬の俑を模刻したり、中国のやきもののデザインに興味を持っています。美術館より博物館のほうが好きで、普段は奈良国立博物館によく行きます。中でも縄文土器や青銅器が好きで、縄文土器の土の質感はもちろんですが、青銅器の金属の質感も好きなんです。 一般に金属には冷たいイメ−ジがありますが、遺跡から発掘されたものや、緑青をふいたものには落ち着いた味わいを感じて、見ていて飽きないんです。
奈良国立博物館の所蔵品には中国から来た祭器も多く、中国のものは装飾も動物の模様が多くて色んな珍獣がついていて、その想像上の動物にすごく魅力を感じています。そうしたところがイメージになっています。
大橋 動物は好きですか。
塚本 動物は普通に好きで可愛いと思いますが、作品のモチーフとしては、古代の装飾に見られるちょっと怖くてでもひょうきんな動物のデザインの方が、生命への親しみ畏れや敬いまでもが感じられて制作テーマにも繋がる存在感があると考えています。
幻想動物は私たちの日常から離れたところで、想像上の自由さの中に生きている動物として、私には何か掻き立てられるものがあるのだと思います。
大橋 モチーフへのアプローチの方法はありますか。
塚本 動物のモチーフでも、穴を開けてかたちの中に切り込んでいって、実態を崩すことが今の私の中では重要な部分です。そうしたアプローチは土を積み上げて外側をつくったり、中を刳り貫いて空洞にすることのできる、土でなければ出来ないところです。まだまだ全然出来ていないんですが、そうした手法で、体の一部分が崩れて別の形になっていくことで、独自のかたちが生まれてくるのではないかと考えています。遠目に見ると一つの意味のある形ですが、細部は別のかたちに見える。すべてのものは細胞だったり原子だったり小さなもので構成されています。そういうことを想像しながら制作しています。
大橋 タイトルはどのようにつけていますか。
塚本 「裁判獣」(2009)では始めにイメージしたものが「カイチ」という中国の想像上の動物だったんです。「カイチ」は悪者であれば角でついて殺してしまう生きものです。なので「裁判獣」とつけましたが、イメージしていた以上に出来上がり、もう二度と出来ないところも、やきものの魅力や魔術であってちょっと怖い部分もあります。
「衝動」のモチーフは「麒麟」です。背中から立ち上っているのは炎であったり、気をイメージしたかたちですが、穴窯で焼成中にはまさに炎で赤く燃えさかっていたんです。その痕跡が窯から出した時にも感じられたんです。はじめは大学院入試試験のために制作したのですが、作業中に一度崩壊してしまって、悔しくてもう一回つくり直したんですが、無我夢中で衝動的につくったその時の気持ちをそのままタイトルにしました。
大橋 素焼と釉薬を使った作品があります。表現の違いはありますか。
塚本 私は釉薬を使うと、「覆われている感じ」がするんです。土でつくっても、乾燥してしまったら自分の手を離れてしまう感じがあります。粘土の状態までがリアルで、その後の状態は違うというのであれば、焼成せずに完成する方法もあるかと思います。でもまだ作品の傾向を絞る段階ではないと思っていて、もっと色んな事をやってみるべきかなと考えているところです。釉薬には違和感があったのですが、穴窯で焼成して燻しをすることではしっくりきました。今までの覆われているようなもどかしい気持ちが晴れたような気がして気に入っています。
大橋 「私の飛べないナイチンゲール」(2012)はこれまでとは違うイメージで、花に覆われた可愛らしい小鳥です。
塚本 この作品は「花と鳥」というテーマが与えられた展覧会のために制作したのですが、小さい頃好きだったアンデルセン童話の「ナイチンゲール」をモチーフにしています。
宝石をいっぱい付けた機械仕掛けで鳴く鳥の姿をモチーフに、宝石を花に置き換えてつくりました。物語では本物のナイチンゲールが主人公で、王様にとても可愛がられていたんですが、ある時機械仕掛けの鳥が来て、王様の意識がそっちに向いてしまうんです。それを悲しく思ったナイチンゲールは飛び去ってしまいますが、機械仕掛けの鳥は壊れてしまい結局王様は本物のナイチンゲールの方が良かったと気づき、最後に王様の元へ戻ってくるという内容です。
この作品では私は逆に一時的に王様に可愛がられて、本物じゃないからと捨てられた鳥の方に感情移入したんです。
大橋 やきものを選ばれたのは。
塚本 私は自然染めや藍染のイメージで、染色をやりたくて京都市立芸術大学を選びました。でも、陶磁器、漆、染色などを色々経験した結果、陶器がやりたくなりました。
自然のもので何かをつくりたかったんです。自然の山の中や草がぼうぼう生い茂っている風景、秋の紅葉なんかとても綺麗で好きです。春の芽吹きも好きですが、枯れた草木の中の多くの色に感動します。ヨモギでも枯れる寸前は赤や紫、オレンジのいろんな色を発見できるんです。
大橋 影響を受けていることはありますか。
塚本 父が考古遺物の保存処理の仕事をしています。それで家に日常的に銅剣や銅鏡のレプリカが置いてありました。小さい頃は父が仕事先から持ち帰ってくるものや仕事自体にも興味がなく、誘われても博物館にもあまり行かなかったのですが、やはり火焔式縄文土器を初めて見たのは親に連れて行かれた時でした。
幼い頃の影響が大きかったこともあって、自分で博物館に行き始めてからもずっと古いものに興味を持っているのだろうと思います。でも今思うとその影響があったから興味を持つこともできたわけで、父には感謝しています。
大学生になってからは、アルバイトもさせてもらい、土器の隙間を埋める修復のほんの少しなのですが、手伝いもしました。実際に触ってみて、それは埴輪だったのですが、とても美しかったです。私はこれからもいろいろなことを糧に自分の世界を広げながら、制作を続けていけたらいいと考えています。
作家略歴
1989年 大阪府枚方に生まれ
2012年 京都市立芸術大学卒業
2013年 京都市立芸術大学大学院在学中
展覧会
陶のかたち展 ギャラリー北野坂
工芸3人むすめ展 cafe アセルボク
京都4芸大合同「わん」展
2010年 京都同時大学生陶芸展 立誠小学校
2011年 おてて展 クラフトギャラリー集
2012年
受賞
    
2010年 第一回京都花鳥館賞優秀賞
2011年 京都市立芸術大学作品展 同窓会賞

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