やきもの個展 GALLERY3




展覧会案内

神谷麻穂 展 -陶 いろはにほふ-<br>Kamiya Asaho Exhibition

神谷麻穂 展 -陶 いろはにほふ-
Kamiya Asaho Exhibition

2013年1月9日(水)〜2月2日(土)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  1月9日(水)18:30〜19:00

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「みち」
  サイズ可変 H20×W50×D600cm 2012



展示会概要
神谷麻穂の作品は春霞の野山や自然の風景をモチーフに幾種類もの土や釉薬を使ってつくられた長さ10m(サイズ可変)のやきもののインスタレーションです。「みち」をテーマにした雅やかな色彩の近作1点で新春を寿ぎます。


見どころ

@ 早春の野山の風景
神谷麻穂の作品は、自然をモチーフに春霞の早春の野山の気配を感じさせる幻想的な印象のインスタレーションです。幾種類もの土や釉薬、上絵付けを重ね、焼成を繰り返した複雑で重厚な表現で見る者を魅了します。「みち」(2012)は、長さ10m(サイズ可変)の作品で、山々が彼方へと連なるさまと道を重ねてイメージしています。タイトルの平仮名の「みち」は道だけをさすのではなく、見る者がさまざまに想いを馳せる手がかりとしています。

A 「みち」近作発表
今展では、神谷麻穂が「アートアワードトーキョー丸の内2012 シュウ ウエムラ賞」を受賞した、繊細で優雅に輝く「みち」と題された作品を再構成した近作を発表します。きらきらと輝く雲母や桜の花びらが散る雅やかな印象の、自然の風景のように構成された作品が、会場を埋め尽くすように展示されます。新しい1年が輝く道の始まりでありますようにと願いを込めて。

B クリムトの装飾性に魅せられて
神谷麻穂は、金沢美術工芸大学大学院にて陶芸を学びました。高校生の頃から世紀末ウィーンの画家グスタフ・クリムトの、黄金色を多用する豪華で装飾的な作風に惹かれていたといいます。また、作品は実際の地面をかたどったものをいくつものパーツに分けて再構成することで、大自然を思わせるスケール感があります。神谷麻穂は記憶に残る色、空気、匂い、雰囲気が自らをつくり上げていると考え、制作する作品に大きな影響を与えています。

神谷麻穂

神谷麻穂

神谷麻穂

神谷麻穂

神谷麻穂

2013年 ガレリアセラミカ会場風景

インタビュー
2012年10月30日 インタビュー:大橋恵美(LIXILギャラリー)
大橋 「みち」(2012)は美しい錦の帯のようです。海の珊瑚礁や森の苔のような表情もあり、日本庭園の湿気のある路地も連想したのですが、モチーフは自然ですか。
神谷 タイトルは平仮名の「みち」です。漢字では色々な意味があるんですが、そのすべての意味を表しています。
いつも頭の中に思い描いている記憶や過去のイメージなど、自分の中に蓄積してきたものから、かたちにしてゆくことが私のテーマです。
例えば赤い部分は春霞の野山であったり、一枚一枚の花びらが集まって全体で大輪の花を表していたり、太陽が射し込んでいるイメージを表した部分もあります。微生物から花、樹木、山、太陽、空へと大きな景色に変化していく「みち」を表現しています。
大橋 最初に全体のイメージを決めるのですか。
神谷 つくり方は、最初に水彩画を描いたものをコラージュの様に切り貼りして実寸大の下絵をつくり、大体のテクスチャーと色を決めます。つくっていくうちに偶然現われる色や質感も生かしつつ、細かい模様やディティールの上にも何度も上絵の具で絵付けをしています。
普段から自分で撮った好きな写真をためてファイルにしていて、その中から思い描いたイメージに合うものを使ったり、また絵を描くのが好きなので、クレパスでイラストを描いたりして、それをソースにすることもあります。
大橋 色彩が特徴的ですが、絵画でいうと黒いベースに描いているような、盛り上げた釉薬の隙間に黒い陰が見え隠れして、立体的で重層的なイメージです。
神谷 使用する土は磁土から赤土まで色々なものを混ぜて使っていますが、基本的には赤味の強い目の粗い土が多いです。水分の少ないぼそぼそ状態の土を型に押し付けてかたちをつくっていますので、溝のような部分が自然にでき、立体感につながっているのだと思います。
桜のようなピンク色は、黒い顔料の入った土に特定の釉薬を使います。私は春霞のけぶるような淡い色彩や中間色のやわらかい色彩が好きです。今は絵具の色の種類が豊富なのですが、色数は抑えて、重ねて使用することで深さを表現しています。
大橋 「はるのめ」(2011)は、春の芽ですか。大地の芽吹きのエネルギーを感じます。
神谷 「はるのめ」は、台風の目と同じ春の目、芽吹くという意味の春の芽、そして窓から見ている自分の目で切り取った春、という意味も含んでいます。花がぱあっと広がったイメージと万華鏡の鮮やかな色彩がいっぱい散りばめられているイメージでつくりました。
大橋 「このはなさくや」(2011)は、樹林のような立ち上がるかたちです。
神谷 満開の桜を泡のように感じ、桜が空に立ち上り、やがては雲に溶けていくというイメージと日本神話を重ねました。
山の神と野の草姫の間に生まれた「このはなさくやひめ」が父神の命で、「雲を踏み、霞に乗って、紫雲にそびえる富士山に天降り、種子をまき、そこからサクラの花が咲き乱れる」という話です。
この作品を制作して、テクスチャーを活かしたかたちづくりや絵付けをしたい、また上絵付けに時間をかけたいと思うようになり、樹林のような立体的なかたちの必要性を感じなくなって、「みち」のかたちになりました。
大橋 タイトルと作品の関係は。
神谷 作品をつくるときにはまずイメージが浮かびます。例えば春の空気、桜が空に溶けていく感じ、陽だまりのような暖かな光に包まれる・・といったような。制作して作品がまとまってきた段階で考えます。最初のイメージに一番近い言葉をタイトルにしたり、また「このはなさくや」のように制作中に桜について調べ、偶然知って、その内容が自分の作品イメージに近かいのでタイトルにすることもあります。私は物語性を感じるような言葉が好きなようです。
大橋 埋め尽くすような模様は装飾的ですが、影響を受けた作家はいますか。
神谷 グスタフ・クリムトが好きです。作品に大きな物語性があって、黄金色を多用する豪華で装飾的な色使いも好きです。今年はクリムト生誕150周年を記念したクリムト・イヤーだったので、ウィーンへ行きました。ベルベレーデ宮殿、分離派会館、レオポルト美術館とどれもとても素敵で感動しました。私は最初やきものの作品に金色を使うことに抵抗があったんですが、それを使い始めたのはクリムトの影響だと思います。
他にはヘンリー・ターガーも好きなのですが、物語よりも装飾的な部分、抑えた色彩などが好きで、物語的には見たくないものでも、見ずにはいられないという不思議なところに興味を惹かれます。
大橋 なぜやきものを選ばれたのですか。
神谷 もともと絵を描くのが好きで美大に進みました。高校生の時、演劇部で舞台美術をしていました。そこで箱をつくったり、日曜大工のようなことをして、ものをつくることの愉しさを知り、進路を決めました。
同じ頃、名古屋松坂屋で開催されていた朝日陶芸展を見て、すごく新鮮でとても面白かったんです。始めは絵を描きたかったのですが、キャンバスに向かって描くよりも手を動かしてつくっていく方が自分には合っていると思い、陶芸を選びました。好きな絵付けもできるし、陶芸の質感のすごく豊かなところにも惹かれたのだと思います。時間のかさなり、土や釉薬のかさなりによって変化する化学反応の部分も大きくて、どっぷりと嵌りました。
大橋 かたちはどのようにつくられていますか。
神谷 学生時代手びねりで自分がつくるかたちが好きになれなくて、ずっと思い悩んでいました。そんな時に、無理に自分でつくるより何かの型を使えばいいと先生が提案してくれたんです。そこで地面に石膏を流して型を取り、そこに土を叩き付けてつくるようになりました。自然を模しているので当然なのですが、自然なかたちが生まれ、自分でも予期しないかたちが出来ることも面白く、自分に合っていると思います。また、平らな石膏ブロックなども使っています。型でつくる自然に生まれるかたちに魅力を感じます。そのかたちが自分らしいと思います。
大橋 これからはどのような作品になりますか。
神谷 学生時代の短い間でしたが金沢に暮らしてみて、九谷焼や漆や染織を自然に目にしていたことが大きく影響しているように思います。私は上絵の具でも、和絵の具を多用しているのですが、地域によっては一般的ではないそうです。九谷焼を見てから磁器も好きになり、作品で磁器土や半磁土も使うようになりました。 2012年は作品発表の機会に恵まれ多くの人のご意見、ご感想を頂くことができました。これからも自分が自然に綺麗だなと思えるものをつくり続けたいと考えています。
作家略歴
1986年 愛知県生まれ
2010年 金沢美術工芸大学工芸科 卒業
2012年 金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科工芸専攻 修了
展覧会
2010年 金沢美術工芸大学 平成21年度卒業制作展(21世紀美術館市民ギャラリー・石川)
アジア現代陶芸 新世紀の交感展2010(弘益大学現代美術館・ソウル)
2011年 神谷麻穂・山田菜穂子二人展〜はなのころ〜(カフェ&ギャラリーミュゼ・石川)
アジア現代陶芸 新世紀の交感展2011(広東陶磁器博物館・佛山)
イヴの茶会(中村記念美術館旧中村邸・石川)
2012年 金沢美術工芸大学 平成23年度修了制作展(21世紀美術館市民ギャラリー・石川)
卒展セレクション2012-未来の金沢のアートシーンを予感する-(金沢アートグミ・石川)
アートアワードトーキョー丸の内2012(行幸地下ギャラリー・東京)
センバツ2012 (ギャラリーアルトラ・石川)
かなざわ燈涼会浅野川工芸回廊(土家・石川)
受賞
    
2011年 第30回長三賞常滑陶芸展 入選
2012年 アートアワードトーキョー丸の内2012 シュウ ウエムラ賞

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