やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

後藤あこ 展 -アリス Installation of Terracotta-<br>Goto Ako Exhibition

後藤あこ 展 -アリス Installation of Terracotta-
Goto Ako Exhibition

2012年12月4日(火)〜12月25日(火)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

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「しんきろう」1880×5700×400mm
2012 テラコッタ、顔料、鉄
写真提供:アートアワードトーキョー実行委員会



展示会概要
後藤あこの作品はテラコッタによるインスタレーションです。ゆらゆらと揺らめくような独特のマチエールが生み出す幻想的な風景が会場全体を包み込みます。本展覧会では、「鏡の国のアリス」をモチーフにした新作3点を発表します。


見どころ

@ 白いテラコッタの揺らめくような幻想的な風景
後藤あこの作品は、蜃気楼や女性の長い髪、煙などをイメージしたゆらゆらと揺らめくようなディテールが印象的なインスタレーションです。白いテラコッタで表現された清らかで幻想的な世界が見る者を包み込みます。
「しんきろう」(2012)は、高さ1.8m、幅5.7mの大きな作品でありながら厚さが40cmとユニークな作品で、舞台の書割を思わせる奥行きのなさや正面性が、舞台変換のように移り変わっていく軽やかさや躍動感を感じさせます。また、ゆらゆらと揺らめくイメージは後藤 あこの心象風景にある忘却や不安定さといったネガティブな要素を表し、制作テーマとなっています。

A 舞台芸術のような非再現性
後藤あこは、現在愛知県立芸術大学博士課程にて制作をしています。劇団員である両親の影響で、幼少期から演劇やものづくりの現場に触れてきましたが、大勢の人間が長い時間関わって制作する舞台芸術ではなく、ひとりで最後までつくり上げる作品制作を選びました。その作品は、古民家を利用して漆喰で室内全体を覆い尽くすインスタレーションや布や土をつかった情景作品など、大きく、ダイナミズムを感じさせる一方で、再現できない一瞬の儚さも表しています。

B 鏡の国のアリスから 新作発表
今展では、後藤あこが以前舞台で演じたことのある戯曲「鏡の国のアリス」をモチーフに、物語に登場する“鏡文字の本”、“マザーグース”、“チェスの戦争”などから着想した新作3点を発表します。夢と現実が交錯する「どっちがどっち」の虚実の寓意的な世界を幻想的につくり出す予定です。

後藤あこ 後藤あこ

後藤あこ

後藤あこ 後藤あこ

後藤あこ

2012年 ガレリアセラミカ会場風景

インタビュー
2012年10月3日 インタビュー:大橋恵美(LIXILギャラリー)
大橋 後藤さんは彫刻科専攻ですが、「しんきろう」(2012)を拝見して、テラコッタの作品をガレリアセラミカの会場で展示することになりました。「しんきろう」(2012)は大きな作品(5.7m)ですが、蜃気楼という自然現象を表現するために、この大きさになったのですか。
後藤 素材がテラコッタだったのでこのサイズが可能になりました。彫刻で使う粘土とやきものの粘土はそんなに違いがありません。加工しやすい、とても扱いやすい素材です。私は、つくりたいものと設置する会場の雰囲気に合わせて作品の大きさを決めています。でも途中で変わったり、徐々に決定していくこともありますので、大きさはあまり重要ではありません。
大橋 「流れるモノに変わるとき」(2010)は家一軒を、漆喰でゆらゆらした模様をつくって覆い尽くしたインスタレーションでした。それまでも女性の波打つロングヘアなどがモチーフだったり、「ゆらゆら」したイメージはありますか。
後藤 私にとって「ゆらゆら」は忘却や不安定といったネガティブなイメージを表しています。髪の毛や煙の立ち昇るかたちなどのディティールなど、そういうマチエール的な感じが好きなのだと思います。
大橋 場面や情景は心象風景ですか。
後藤 「点在する世界」(2011)と「しんきろう」は自分の中でも繋がっているような気がします。「点在する世界」は町の風景や建築物のイメージです。展示台の足がたくさんあることで、不思議と影が落ちているような、宙に浮いているように見える作品です。
この作品は東日本大震災の後につくりました。私はその時名古屋の映画館にいたので、一瞬たちくらみかと思った程度でしたが東北では大きな災害が起こっていて、世界は大きく異なるのだということを感じたところから始まりました。
私は両親が劇団員でしたので、子供の頃からよく舞台を見ていたこともあり、まず状況や場面がすごく気になるんです。
「しんきろう」で作品に厚みをもたせなかったのも、舞台の影響で正面性が強いからだと思います。奥行きが無くて、舞台変換のように宙吊りにされて移り変わって行くような感じが、自分では心地よいのかもしれません。それともうひとつ、一応私は彫刻の分野にいるのですが、彫刻とは何かという議論はさておいて、彫刻らしい彫刻をなるべくつくりたくないと思っています。
作品をつくる時には、誰かから非難されるような部分を必ずひとつ入れるようにしています。そうでないと見たことのあるものしかつくれないような気がするんです。時には怒られたりしますが、怒られてこそ、と思います。自分では結構、常識的な人間だと思っているので、そこから抜け出すためにも、こんなことやっていいのかという部分を求めているのかもしれません。
後藤 実は「しんきろう」は私の中では越えなければならない大きな存在になってしまったので、壊してしまったんです。
大橋 それは鑑賞者としは残念ですね。後年になって2011年の後藤さんの記録が見られない。でも体当たりで作品に向かっているエネルギーを感じます。
後藤 今展の作品は額のような箱が4点あり、自分の中の物語の起承転結を表します。額の奥に絵のようにモノが並び、中から一部分が大きく抽出されて、会場の真ん中に飛び出してくるイメージです。フレーミングすることで、私の見慣れている舞台のようにも感じられます。すべてテラコッタで制作していますが、私は素材が木の時にはどこか入り込めないものを感じていたのですが、粘土になってとても情緒的に表現ができます。私は「ゆらゆら」もそうでしたが情緒的に表現するタイプなのだと思います。
大橋 自分の中の物語とは。
後藤 物語は私が以前舞台で演じたことのある「鏡の国のアリス」がもとになっています。戯曲なので原作とは少し異なり、アリスが、どこが現実でどこが夢なのかわからなくなるという話です。鏡(フレーム)を挟んで2人で対になって演じました。この状況が現代と、また自分の置かれている状況と重なるように感じて今回モチーフにしています。
今は物語が溢れていると思います。舞台、映画、アニメ、漫画とメディアもたくさんあります。日常生活の中でも、マニュアル言葉や社交辞令の言葉などがあり、人はいつも一種の仮面をつけて生活をしていると思います。現実だからといっても事実でも真実でもないかもしれない。架空の物語に感動して流す涙も本物の涙なのですから。
大橋 なぜ作品をつくるようになりましたか。
後藤 子供の頃は兄弟で親の公演が終わるのをずっと待っていたり、台詞や歌を全部覚えるくらいずっとお芝居を見ていました。裏方になって色々なものをつくりたいという願望を抱いた時期もありましたが、親と同様に舞台に立ちたいとは思いませんでした。
お芝居は団体で行うので自己完結が出来ない。自己完結すると言っても、自分の考えを曲げられない、ここだけは譲れない、これじゃなきゃ私じゃないってところは全然ありません。例えば演出家にこんな風にして欲しいと言われたら、聞き入れるゆとりは持っていた方がいいと考えています。
作品タイトルは自分でつけますが、友達や信頼している家族に聞いて決めます。事前に自分の中でストックしているタイトルの中から、どれが鑑賞者にとってすんなり入ってくるか、様々な分野の人に聞きます。作品はある種の自己主張であるけれど、皆にはどう伝わるのかという客観性みたいなものは常に求めています。
大橋 今後どのような作品をつくりたいですか。
後藤 モノが残っていくことに対して、私にはどうでもいいと思う気持ちがあり、卒業制作があり、展示もしたので、これで終わりだと作品を壊せたりします。舞台もどんなに素晴らしくても、もう二度と見ることは出来ないように。それでもしかしたら私は、本当は彫刻とも違うんじゃないかと思っています。 舞台デザインの仕事を頼まれて制作をしたことがありますが、それはあまり興味が湧きませんでしたので、自分の作品だとは思っていません。
インスタレーションをやりたいかというと、私には手作業がすごく重要で、敢えて手作業をしなくてよいものまで手づくりしたりします。空間、手作業、時間の積み重なりが上手くバランスが取れた時に自分はいいものが出来ると思っています。
時間の重なりは、私の作品のテーマではないのですが、制作をしていると自分の中でバランス感覚が失われそうになることが多く、どこに行きたいのかわからなくなることがありますが、テラコッタで制作することで、手作業に偏っても、焼成によって一旦自分の手から離すことができ、バランスを取り戻します。そういう意味で、時間の重なりも制作上重要です。
まだまだ模索中ですが、「しんきろう」を一歩でも前進した作品をみせたいと思います。
作家略歴
1989年 愛知県名古屋市生まれ
2012年 愛知県立芸術大学美術学部彫刻科 卒業
愛知県立芸術大学博士前期課程 在籍中
グループ展
2009年 原点回帰展(愛知)
2010年 西尾城下町芸術祭(愛知)
長久手アートフェスティバル(愛知)
2012年 愛知県立芸術大学卒業・修了作品展(愛知)
アートアワードトーキョー丸の内2012(東京)
常滑フィールドトリップ2012(愛知)
愛知県立芸術大学 博士前期課程研究発表展(愛知)
受賞
    
2011年 国際瀧富士美術賞 受賞
2012年 アートアワードトーキョー丸の内 入選(東京)

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