やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

大谷祐里枝 展 −白磁 凍土−<br>Ootani Yurie Exhibition

大谷祐里枝 展 −白磁 凍土−
Ootani Yurie Exhibition

2012年11月6日(火)〜11月29日(木)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

「凍土」
前Ф24×H9cm 2011
右Ф17×H11.5cm 2011
左Ф16.5×H9cm 2011
後Ф20×H7cm 2011



展示会概要
山形県で生まれ育った大谷祐里枝の作品は雪のようにひんやりとした透明感のある白を基調としたうつわ型のオブジェです。小さなスポイトを使って描いていく、繊細な模様が器全体に広がります。
本展覧会では、凍てつくような厳しい寒さによる自然現象をモチーフにした「凍土」(いてつち)シリーズの近作15点を発表します。


見どころ

@ 優しくベールを掛けたような透明感のある繊細な模様のうつわ
大谷祐里枝の作品は、透きとおる白磁土に広がるレース模様が繊細なうつわ型のオブジェです。
一点直径15cm程度の大きさのうつわ全体に広がるレースを覆い被せたような連続模様のデザインは、幼少期にみた母親の手芸やパッチワーク、裁縫箱の中に入っていたレースの思い出を基本に、自然のイメージを重ねてモチーフにしています。つくり方はケーキのアイシングのように磁土をスポイトにとり、搾り出すように描くことで、張り詰めた緊張感を感じさせるごく薄いうつわの表面に、手描きの温かさが感じられます。

A 凍てついた寒さを表す輝く白色
大谷祐里枝は、現在東北芸術工科大学大学院在学中です。山形県の雪の多い地域出身で、冬の間は一面真っ白な雪景色に囲まれて育ちました。作品の模様の隙間から透過して輝く白色は、時折射す陽の光が雪や氷を照らし、きらきらと光る瞬間の美しさを表しています。透明感のある磁土を独自にブレンドして土をつくり、光をイメージした理想の白色を現しています。この他にも流れる水や水泡を写真撮影したものや、樹木の樹皮の連続模様を用いて、小さな作品から大きな世界観へ通じるような表現を目指しています。

B 「凍土(いてつち)」シリーズの発表
「凍土」シリーズは、2011年頃より、凍てつくような厳しい寒さによる自然現象をモチーフに制作されました。繊細な作品ならではの失敗を重ねて生み出された、若い作家の清々しい作品をぜひ会場でご覧下さい。

大谷祐里枝

2012年 ガレリアセラミカ会場風景

大谷祐里枝

大谷祐里枝 大谷祐里枝

大谷祐里枝 大谷祐里枝

インタビュー
2012年9月6日 インタビュー:大橋恵美(LIXILギャラリー)
大橋 作品タイトルの「凍土(いてつち)」から、霜柱や凍ってガラスのように透き通った土を連想しました。どのようなイメージでつくられていますか。
大谷 私の実家がある山形は寒い地域で冬場は晴れの日が少なくて、窓の外はいつも一面真っ白な雪景色なんです。そこに時々射す陽の光で雪や氷がキラキラと光る瞬間があって、それはそれはきれいなんです。子供の頃から見ているそんな景色を連想させる、白やシャーベットカラーのようなひんやりとした感じのする色が好きで、作品に採り入れています。粘土が焼成することによって凍った様に固まり、薄い氷の膜が張ったような質感へと変化する様子を想像してタイトルに込めています。白く冷たいイメージの透明感のあるやきものの作品をつくりたいと思っています。
大橋 ベールをかけたような優しい透明感と細かい模様が特徴ですが、どのようにつくるのですか。
大谷 最初は轆轤でひいた磁土の器にドリルで無数の穴を開け、そこに釉を充填して「蛍手」の様な作品をつくっていました。でももっともっと、光輝くイメージを表現したいと思うようになっていき、透過する部分を大きく広げるための試行錯誤の後、今の技法に辿り着きました。
成形は、型の内側に絵を描くようにスポイトで土を絞り出し、それを何層にも重ねて模様をつくっていきます。時々型による成形だと思われる方もいらっしゃいますが、それだと乾燥収縮の為にうまくつくれないです。最後に釉薬をかけるのですが、それだけだと乾燥中に割れてしまいますので、釉薬には土を混合しています。
粘土は透過効果の高い九州の磁器土です。天草陶石が入った土で、そこに他の原料や薬品をブレンドして、自分の好きな白い透明感をつくり出しています。
大橋 白色にもさまざまな色合いがあります。
大谷 そうですね、これまでに私の望む透明感のある白色に辿りつくまでには、色々な土を試してみました。学校では最初陶土で作品を制作したのですが、初めて磁土を使って器をつくったときに、自分がつくりたい作品には磁土が合うと思いました。白には、清潔感と優しいイメージを感じたことも好きになった理由のひとつかもしれません。同じ白でも黄味を帯びた白、青味が勝つ白、透明感を抑えたマットの白など色々ありますが、その中でもやはり透過する光を感じるような質感の土を選んでいます。
大橋 この1年で、雪を思わす白い作品に、淡い色彩が現れてきました。色を使い出してからビニールのネットのような不思議な質感も現れています。
大谷 私はもともと微妙な白色の重なり具合で表現していくことが好きなのですが、時々他の色彩にも目が向きます。淡い色だったら自然を感じさせるので、これらの作品では採り入れたいと思いました。例えば、淡いエメラルドグリーンは夏の海の色だとか、今までの私の作品にはないような他のイメージも広がりますから。でも、色釉薬を重ねると表面が厚くなり、私が大切にしている透明感のある薄い質感が消えてしまいますね。
大橋 陶芸に興味を持ったきっかけは。
大谷 私は子供の頃から絵を描くことや工作、手芸などが好きだったので、将来は何かつくることがしたいと思っていたんです。ずっと油絵を描いていたのですが、自分の描いた世界観やモチーフが実際に物体となって、それに手で触れることができたら面白いだろうなって考えることがよくありました。
そういった中、伝統工芸品の展覧会に行ったとき、着物の細かな柄や織りをたくさん見て、手仕事の凄さに驚きました。絶対にこれをやりたいと思って、テキスタイルの専攻がある大学に進むことにしたんです。専攻に分かれるのは二年生からで、一年生のときには工芸の全専攻を体験します。待望のテキスタイルの授業は染色だったのですが、これがどうも私にはあまり面白く感じられなかったんです。
陶芸の最初の課題は、たたらを何層にも重ねてつくったストライプ状の土を使って、何かをつくりなさいというものでした。それまで陶芸にはあまり興味がありませんでしたが、その授業で、土をねじったり、重ねたり、立体的に複雑につくっていくことがとても自由自在で楽しかったんです。柔らかくて途中でかたちをいかようにも変えられる所も新鮮で魅力的でした。土に触れ、手の中から生まれてくる感触がすごく好きになりました。
また色々な土や原料をブレンドして自分の好きな素材をつくる、陶芸の科学的な部分にも興味が湧きました。
大橋 連続模様や、好きなデザインなど、モチーフにしているものはありますか。
大谷 模様は、私の作品にとっては構造体にもなる大切なものなので、土に触っていないときはもっぱら模様を描いています。そんな中で煮詰まると参考にしているのは、レース生地や洋服・アクセサリーを中心に、生物、風景、外国の建築の写真などでしょうか。
今はネットで検索して画像を見たりできますが、私は本や雑誌、実物を見ていろいろ考えます。 特に今はレースが好きで、写真をいっぱいコピーしてストックしたり、実物を少しずつ集めたりしています。ビーズとかキラッとしたものも好きです。こういったものは母親が使っていたこともあって、幼い頃から身近にあったモチーフですし、小さい頃に読んだ童話に出てくる、小さな女の子が好きそうなイメージと繋がって、今でも特別な物に思えてしまうのかもしれないです。
レースは基本的に連続模様なので、有機的で自由な模様よりも、焼成後に潰れたり歪んだりすることが少ないというメリットがありますが、立体にすると広がりや動きが出ないという問題もあります。 そこで他にも、泡立てた石鹸を水で流して泡がたまったところを写真で撮ったり、樹木の模様などの自然のデザインを採り入れたりして様々な模様を試みています。
それをやきもの作品に置き換えると、立体は均等に骨組みが入っていないと崩れやすいので、無事に完成したものはやはり連続模様の作品が多くなります。成功するかどうかはまだまだ歩留まりが悪いんです。
大橋 今は試行錯誤の真最中です。この先どんな作品をつくっていきたいですか。
大谷 もっともっと大きな作品をつくりたいと考えることもありますが、まだまだ技術的には難しいですね。
白色とレースのような模様から連想される、優しさ繊細さのある作品をつくっていきたいです。一個の作品の中にレースから始まって、その模様が例えば、樹木の枝や葉のイメージへと変化してそこからさらに大自然のイメージへと繋がっていくような、小さな作品でも大きな世界観を表せる作品をつくりたいです。
作家略歴
1988年 山形県生まれ
2011年 東北芸術工科大学 芸術学部美術学科 工芸コース卒業
2012年 東北芸術工科大学大学院 工芸領域 在籍
グループ展
2012年 トウホクノチカラ展/東京

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