やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

渋谷英一 展 −陶 モノクローム モノローグ−<br>Shibuya Eiichi Exhibition

渋谷英一 展 −陶 モノクローム モノローグ−
Shibuya Eiichi Exhibition

2012年9月6日(木)〜10月4日(木)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  9月6日(木)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

黒彩器 2011 68×42×h33cm



展示会概要
山口県で萩焼を制作してきた渋谷英一が、2010年からつくり始めた独自の世界。うつわのかたちにモノクロームで表現した流水の曲線が、自然の情景をイメージさせるモダンな作品です。本展覧会では、開催のために作られた新作4点を発表します。


見どころ

@ 情景をイメージさせるモダンなうつわ
渋谷英一の作品は、大きく塗り分けられた白と黒の釉薬がモダンな印象を与える大ぶりのうつわです。 1点の直径は50〜70cm、すぼまった足元から口縁へ広がる逆円錐形で、大らかな安定感をもちながらも軽やかです。パウダースノーのような純白から、光を吸収する漆黒へのグラデーションも繊細で、モノクロームの美しさが、見る者に大自然に対するような壮大なイメージを抱かせる作品です。

A カチカチ山の泥舟から
渋谷英一は山口県萩焼きの窯元に育ち、これまで日々伝統的な陶芸作品を制作してきました。
幼少から土に親しみ、様々なかたちを掌中に収めてきましたが、自らが親になって改めて読んだ民話カチカチ山の中に登場する泥の舟はどのようなものだろうかと思ったのがきっかけで、2010年やきもので泥の舟を制作します。その作品は白波のような白を下部に、泥を映したような黒色を上部に、開口部が流線型にうねる波頭をデザインしたものでした。そこから波のかたちを追求する新しい世界が生まれました。 このシリーズで2011年には長三賞常滑陶芸展第30回記念大賞を受賞しました。

B 「黒彩器」シリーズ 新作発表
渋谷は自然に親しみ、山紫水明や静寂を日本の美意識と作品に反映させながらも、同時に都会の夜景の光と影にも日常的に魅かれています。そうした複数の視点が「黒彩器」に豊かなイメージを与え、見る者を 惹きつけます。流れる清流や深雪を被って屹立する大山の雄姿のようなモノクロームの世界です。
今展では新作4点を展覧します。



渋谷英一(Shibuya Eiichi)展

渋谷英一(Shibuya Eiichi)展

渋谷英一(Shibuya Eiichi)展

渋谷英一(Shibuya Eiichi)展

2012年 会場写真

インタビュー
2012年7月5日 インタビュー:大橋恵美(LIXILギャラリー)
大橋 渋谷さんの家業は萩焼の窯元ですが、作品はどのようにつくられているのですか。
渋谷 作品の制作は、仕事がオフシーズンになる梅雨から秋にかけてつくっています。それまでに考えて溜めておいた構想をかたちづくります。
作品をつくるようになったきっかけは、幼い頃、祖母に読んでもらった昔話「カチカチ山」を、同じように自分の息子に読み聞かせていた時に、話に出てくる泥舟を懐かしく思い、面白半分に器くらいの大きさのものを手びねりでつくったのが始まりでした。
完成した泥舟を見た時に、自分らしさがなくて面白くない、もっと何か出来ないかと考えて、単純に舟から波を連想しました。それが、自分の中でピンとくるものがあったんです。アクセントのように流線を加えることによって、動きを出していくことに魅力を感じました。これが今の作品の始まりです。
大橋 モノトーンの色彩が印象的です。
渋谷 白がとても好きな色で、自分の中のベースカラーは白なんだと思います。
いろいろな考え方があると思いますが、ぼくは白と黒は色と捉えていなくて、光と影のイメージなんです。物に下から光を当ててライトアップしているイメージです。例えば、お寺や東京タワーがライティングによって、建物の色がグラデーションになっていたりしますよね、昼と夜とでは全然見え方が違って、神秘的だったり、物静かな日本の美を感じられたりします。そういうものに魅かれて上手に表現できたらと思っています。
質感もテカリをなくしてマットにして、余計な映りこみや光が入らないようにしています。もっと光の感じを出すために、白と黒のグラデーションを出していきたいと考えています。
大橋 かたちについて。
渋谷 作品の大きさは、現在使っている窯が小さくて90cmまでしかつくれない事もあるのですが、作品はあくまでも器と言う感覚があるので、あまり大きくはしません。器型は僕にとって小さい時から慣れ親しんできた、自分の中でベースになっている形だと思います。昔から「用か美か」、オブジェか器かって言うのがありますよね。ぼくはその2つの間というか、もう1本、3本目の道があるのか、ないのか、あったら進みたいなって思っているんですよ。
大橋 失敗とは。
渋谷 ぼくの作品は手積みの積み重ね作業の連続なので、失敗ということはないです。焼く前の作業で、色々試行錯誤します。一日中、コーヒーとタバコを横に置いて、作品の前でにらめっこしています。
特にアウトラインが重要で、作品に似合ったアウトラインがあり、そこをしっかりさせることで様々な線も生きてきます。
最近はマケットもつくるようになりました。マケットもあまり小さくつくると、迫力を感じられなくなるので、ある程度の大きさのものをつくります。
マケットから最終段階まで、形が変わることはほぼないです。気に入らない箇所があれば、全部壊して、もう一度はじめからつくり直します。
前回の作品は締め切りの時間が迫っていたので、無理やり完成させたこともあり、今回展示する作品は、納得のいかなかった、以前の作品をもう一段階上があると思って、再度挑戦してつくりました。
大橋 仕事場の窯をおじいさんと一緒に使われています。
渋谷 幼い頃から祖父と一緒に住んでいて、制作の姿を身近に見たり、遊びで土を触ったりしていたので、そこから土を焼いたらお茶碗になるって事はわかっていた気がします。
祖父はその頃から、僕のことを萩焼の世界に進んで欲しいと思っていたと思います。
ぼくは専門の学校にも行き、一旦は萩焼の方向に進みましたが、大人になってくると、その強制感が嫌で、陶芸を辞め、25歳までは一切関係のない所にいたんです。
反発して家業を離れたわけですが、それまで祖父の下でずっと手伝っていたので、感覚が染み付いていて、結局いつの間にか戻ってきてしまいました。

祖父の陶芸は職人の道一筋です。昭和3年生まれなのですが、もうスケールが違い過ぎてついていけない感じです。ある時、窯の上に何か干してあるので、なんだろうって近づいて見たら、動物の貂が干してあったんです。皮も全部はいで、さばいて。それをマフラーにするんです。僕は興味ないって言うか、血とか一切だめなんで、怖いです。
祖父とは普段はあまり喋りません。作品に関しても、2人で話すこともないです。僕の作品に関しても、何も言わないのですが内心は色々あるんじゃないかと思っています。僕も若い時には反発することもあったけれど、今となっては祖父の技術を側で学ぶことが出来て、とても感謝しています。
大橋 今後どのような作品をつくりたいですか。
渋谷 今の流線形のシリーズは、あと1年くらいでやめたほうがよいと言われたこともありましたが、僕はまだまだつくりたいと思っています。
ぼくはつくりたいと思うかたちが浮かぶまで、結構時間がかかるんです。流線形のシリーズをつくっていて、最近興味を持ったのはイージス艦のかたちです。下関に来艦したときに見たのですが、シュッとした形が凄くかっこよくて作品にとりいれることができたらと思いました。遊び心からですが、これからも色々挑戦していきたいです。
作家略歴
1979年 山口県生まれ
2004年 祖父に師事
展覧会
    
2010年 「陶と花のコラボレーション展・山口県
薩長陶磁器展・山口県
天空の萩碗展・東京都
2011年 萩韓国交流展・韓国
萩焼と生け花展・山口県
2012年 萩焼-山口県の陶芸展・中国山東省
受賞
    
2010年 萩市美術展 入選
2011年 九州山口陶磁展 入選
第30回長三賞常滑陶芸展 第30回記念大賞受賞
山口県美術展覧会 佳作賞
2012年 田部美術館大賞「茶の湯の造形展」 入選
西日本陶芸美術展琉球新報社賞 受賞
所蔵
    
山口県立萩美術館

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