やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

小笠原 森 展 −陶 時の堆積−<br>Ogasawara Shin Exhibition

小笠原 森 展 −陶 時の堆積−
Ogasawara Shin Exhibition

2012年6月8日(金)〜7月2日(月)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  6月8日(金)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

「時の堆積」2011
CERAMICS W1600×D450×H1650mm
都筑民家園(都筑アートプロジェクト 2011)



展示会概要
森の開かれた空き地に、忽然と現われる遺跡のような土積みの円環、平原にぽつんと佇む蟻塚のようなレンガ壁の構築物。小笠原 森の作品は、ときに2mの高さに粘土を積み上げてつくられ、土の素朴で重厚な表情、やきものの硬質で端正な風情が、観る者に自然の壮大なイメージを連想させます。
屋外に展示されることも多く、青い空や緑の草の上に以前からそこにあったかのように調和して存在する風景は、伸びやかで親しく心地良く、小笠原の作品の特徴をよくあらわしています。

制作方法は、毎日帯状の土を積むことから始まります。作日積んだ上にトレースするように土を重ねて、ひとつの作品の制作時間は半年にも及びます。どんなかたちにするのか、ドローイングと土を積む作業を交互に繰り返しながら、やがて全体のかたちができたら、今度は大きさに限りある窯に入れて焼けるように、いくつもピースにも切断します。その数は多い時には数千個となり、小さなタイルのような破片を再構成して作品は完成します。

小笠原 森は多摩美術大学大学院で陶芸を学びました。子供が物の大きさを我が身に照らし合わせて計るように、小笠原も作品をイメージする時には等身大から考える癖があったと話します。
やきもので作品をつくるようになって10数年、毎年数多くの展覧会に参加してきました。そこには展覧会を媒介にして観る人、つくる人、その他の人と無限に繋がっていく人の円環が生じています。
今展では円環を縦に5点繋いだ有機的なかたちの迫力のある新作を発表します。


小笠原森

小笠原森

小笠原森

2012年 ガレリアセラミカ会場風景

インタビュー
2012年4月3日 インタビュー:大橋恵美(LIXILギャラリー)
大橋 小笠原さんの作品は大きく積み上げて高さ2mにも及ぶものがありますが、土という素材や構造上の問題はありますか。
小笠原 やきものをやってきて、ある時、無理かもしれないほど分厚いものをつくりたくなりました。厚さ3cm以上のものは難しいと頭では分かっていましたが、10cm以上の厚さでつくってみたら、やはり大爆発をして粉々になり、大きな立体パズルをやるはめになりました。(NO.1 2004、2×3×0.5m)。
紐づくりを綱づくりにしたようなやり方でつくったのですが、うまくつけられなかった部分から板状に爆発したんです。それで板状であれば粘土が嫌がらないのかもしれない、そんな思いつきで板を積んだのがきっかけで現在のかたちが生まれました。
やきものは窯のサイズに左右されるので、大きくつくる場合にはパーツで分けることになります。その分割行為を窯のサイズという制約を理由に分けるのではなく、もう少し作品の要素として扱えないものかと考えた時に、とことん細かく分けていって、再構築したら、制約から解放できるんじゃないかと思ったのが2007(NO.2)年くらいです。今はパーツ分けをしてジョイントする方法で、何千ものピースを再構成して数十のパーツを作って作品を組みあげています。
大橋 土で作品をつくり始めた頃と、2007年以降では考え方は変わりましたか。
小笠原 陶芸も工芸もいろんな考え方の方がいて、いろんな作品があるのがいいと思っています。僕は粘土、あるいはやきものを一度素材というところに戻して何ができるのか考えようとしています。
素材として石や木にこだわっている作家さんはたくさんいますが、石は工芸とは言われませんが、粘土は入口が工芸や陶芸であったりします。そのカテゴリー分けには僕が関知しない部分もあって、僕は僕で、素材から試してみようと思っています。やきもので何ができるのかというのが僕の命題です。
大橋 全体のかたちはどのように生まれてくるのですか。
小笠原 観る方には船みたいと言われたりもしますが、僕にとってはとくに何でもないかたちなんです。有機的で面白いかたちをつくりたいと思っています。
つくり方としては、ドローイング(NO.3)と粘土を行ったりきたりしながらつくります。
大きな意味での着地地点は決めていますが、作業としては、毎日一段ずつ積んでいくので多少の変化はあります。一段一段前日の仕事をトレースして、今日の仕事を重ねていくことで、僕の意識とはまた違ったかたちになっていく部分もあるんです。終わりの部分はかなり意識的に行いますが。
大橋 何でもないかたちとは、何かイメージがありますか。
小笠原 土はムクでいることを嫌う素材なので、一定の大きさを超えると必然的に内側というものを存在させます。内側があるから外側のかたちがあるというわけです。僕はどちらも同位のものと考えて、同じように見え、かつ繋がっているようなかたちを考えています。
小さい作品(NO.4・NO.5)もつくるのですが、大きな作品を多くつくってきたのは、子どもが遊具で遊ぶ時にするように、僕は頭で思い描いたものが自分の体にするとどの位だろうかと体で測ってしまう癖からきているように思います。
大橋 「NO.6 INFINITE  SET(2008)」は内側が外側へと繋がっています。
小笠原 これは今まであった作品の一部分を拡大したような作品です。なんでもないようなかたち、有機的なかたちと言いながらも、自分の中で制約していないようで、しているようなところもあって、なかなかイメージできない時に、つくってみたかたちなんです。
大きな作品はつくった後でこれは駄目だと言えないくらい時間がかかりますし、それなりに材料も労力も使うので不安になります。手でわざわざドローイングをするというのは、身体的に土でつくるのと同じ部分があるからです。それをパソコン上でやってしまうと、実際に土で自分にできるかどうか不安が残ってしまうような気がします。
大橋 赤と青の作品(NO.7 2008)がありますが、色についてはいかがですか。
小笠原 釉薬を避けていた部分もあって、金属粉を使って二種類の色を混ぜ、紫や灰色、紺色、青に見える部分が全体的に何となく青に見えるようにつくりました。ある意味では思い通りですが、ある部分では偶然です。
なぜ釉薬を避けていたかと言うと、釉薬は、洗う、口につけるなどの用に適した表面処理として長い歴史の中で高いレベルまで達したものだと思うのですが、僕のようにそれらの用とはまた違った角度からやきものを考察する場合には、釉薬は必ずしも必要なものではないと思っています。
大橋 屋内でも屋外でも展示をされています。
小笠原 屋外は自然であったり、建築物等の他の要素があるので、屋内とはまた違った面白さがあると思っています。その反面、要素が多い外に展示するときにはそれなりに頑張らなくてはいけないと毎回挑戦です。
先日行った展覧会(NO.8 2012)ではガラス一枚を隔てて作品を外側と内側に展示したのですが、天気が良いときはひとつの空間としても繋がるので、外側と内側のバランスを考える展示となりました。
大橋 毎年数多くの発表をされています。
小笠原 僕はできるだけ多く発表したいと思っています。
自分からも仕掛けるようにしていて、いろんな場所でいろんな人と知り合って、その人たちと何かやってみようと、声をかけて広がっていくことも大切にしていて、そうした仕掛けをつくろうと考えているんです。
発表回数が多くなると、それだけ見て頂ける機会も多くなるのですが、僕の作品を見たときに、僕の考え方そのものを読み取るというのは中々困難なことだと思いますし、それをそのまま感じて欲しいわけでもないので、ものはものとして見て頂ければ良いと思っています。その時に何かちょっと楽しいというか、これはこれでありだねという見方をしていただければとっても嬉しいですね。
こうした制作を続けていくことは結構しんどい、大変なことだと思います。言って頂いたことは忘れはしませんが、あるところは自分にとって都合の良い事だけ意識するようにしています。
大橋 子供の頃からものづくりが好きでしたか。
小笠原 僕は何も考えていない子供で、工作が特に好きというわけでもなく、外で遊ぶことの方が好きでした。祖父が日本画を好きで描いていて、ぼんやりと、ああいうことをやるのも楽しそうだなと思っていました。一般大学に行ってその後何をやるかというのが、全く想像つかなかったので、今があるのではないかと思っています。
作家略歴
1978年 東京都生まれ
2003年 多摩美術大学 工芸学科 陶プログラム卒業
2005年 多摩美術大学 大学院美術研究科 工芸修了
同大学 工芸学科 陶研究室勤務(2009まで)
2009年 東京都町田市に自宅・スタジオ兼ギャラリーのStudio Stickを立ち上げ制作活動
2012年 多摩美術大学 絵画学科 非常勤講師
個展
2004年 個展 -小笠原森展(TOKI ART SPACE・青山/東京)
2007年 個展 -小笠原森展(TOKI ART SPACE・青山/東京)
2008年 個展 第43回 神奈川県美術展 大賞受賞作家展(神奈川県民ホール・横浜/神奈川)
個展 -小笠原森展(メタルアートミュージアム・印旛/千葉)
2009年 個展 -小笠原森展(TOKI ART SPACE・青山/東京)
グループ展
    
2006年 中村錦平プロデュース〈クレイコネクションbyフリーター〉展 (スパイラルガーデン・青山/東京)
2007年 第43回 神奈川県美術展 本展、厚木巡回展(神奈川県民ホール・横浜、厚木市文化会館・厚木/神奈川)      
2008年 中村錦平さんのねんどやきもの劇場(アンデルセン公園子供美術館・船橋/千葉)
2010年 金沢世界工芸トリエンナーレ (21世紀美術館・金沢/石川県)(リファーレ・金沢/石川県)
都筑アートプロジェクト(都筑民家園・横浜/神奈川)
2011年 アートと建物(鈴木工務店/可喜庵・町田/東京)
都筑アートプロジェクト(遺跡公園及び民家園・横浜/神奈川)
2012年 マテリアルの証明(GALLERY KINGYO・千駄木/東京)
他多数
入選・受賞
2003年 神奈川県美術展 平面立体部門 入選
2007年 神奈川県美術展 平面立体部門 大賞
2011年 美濃国際陶芸フェスティバル 入選

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