やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

村上 愛 展 −シノニム〜遊戯する陶−<br>Murakami Ai Exhibition

村上 愛 展 −シノニム〜遊戯する陶−
Murakami Ai Exhibition

2012年5月8日(火)〜6月4日(月)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  5月8日(火)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

「蠢くはんぐりー」2011 H140×W170×D50cm



展示会概要
村上愛の作品は、自由にうねるようなかたちをした1mの大きさの陶のオブジェです。
手びねりで増殖するようにつくられる有機的なかたちの随所に、伸びやかなドローイングや、装飾、鳥の頭、人の足などの生き物がちりばめられ、ひとつの作品の中にさまざまな表情が見られます。ジオラマのような大きさ、土っぽい質感や釉薬の色使いに特徴があり、造形は大まかなイメージをもとに、上下左右を考えずに手に任せて生み出されます。つくり手が感じる、作品自体が意思を持って野放図に増えていくような感覚が、鑑賞者にも伝わってくる迫力のある作品です。

2009年の京都市立芸術大学大学院在学中には、東京国立近代美術館工芸館「装飾の力」展に出品しました。それをきっかけに、装飾とは何かを考え、プロセスや作業の行為、時間と共に増殖するイメージではないかと考えたとこから、モンスターという言葉が連想され次なる作品が生まれました。「ミセス『M』」、「モンスター」は南米の乱痴気騒ぎの賑々しさと、どこか素朴でプリミティブな味わいを持っています。ディテールや感覚的な発露が毎回異なることもあり、近作では色を押さえ、かたちに意識を置いた作品も制作し、エネルギッシュでパワフルな世界を更新し続けています。

村上愛は2011年に京都市立芸術大学院修士課程を修了、現在同大学に非常勤で勤めつつ、京都で制作を続けています。「装飾の力」、「アジア現代陶芸展」などで目覚しい活躍をしてきましたが、京都での個展(2011)に引き続き、今展が東京での初個展開催になります。
今展では未発表の新作を発表します。村上のモチーフによく登場してくる愛らしい玩具やユーモラスな動物、素朴で愉快な南米の民芸品、土着の強い香りのするような作品を、「遊戯する陶」と名づけて出現させます。どうぞ会場でご覧ください。


村上愛

村上愛

村上愛 村上愛

村上愛

村上愛

2012年 会場風景

インタビュー
2012年3月13日 インタビュー:大橋恵美(LIXILギャラリー)
大橋 村上さんは昨年2011年に京都市立芸術大学大学院を卒業されましたが、在学中から国立近代美術館工芸館「装飾の力」展(2009)に出品するなど活躍されてきました。あれから3年作品が変わられてきました。
村上 学部卒業制作のタイトル「Patch!Patch!Patch!」(2009)は、繋ぎまくるという意味でした。全体のイメージは島のジオラマのようなものですが、紐づくりでつくりながら手の中から作品が自然に増殖してくる感じで、増殖というものになんとなく興味が出てきたところでした。この作品と「装飾行進曲〜ぞうさん〜」(2009)を「装飾の力」展に出品しました。
「装飾の力」展が終わってから装飾というものについて考えました。自分では装飾しているつもりはなかったけど、そのカテゴリーで声をかけて頂いたことで「装飾」ってなんだろうと考え、私は行為だと思いました。私にとっては表面的な作業というより、時間と一緒に増殖していくプロセスや作業そのものが装飾で、つくっている時にふっと、トランス状態になって自分ではなく作品が勝手に意思を持って増殖していく瞬間を感じることがあって、作品自体に意思があるように感じていました。それは秩序がなくて何でもありで図々しいような感覚です。そうというイメージも含めてモンスターという言葉が出てきて、作品になりました。「ミセス『M』」(2010)はモンスターのMです。
大橋 かたちを決めず、自然に手任せ土任せでつくる方法は、難しいのではないですか。
村上 成形過程で立たないことはあります。土は重力に対して素直にかたちが変わっていくので、重力を感じさせない、どこから生えているのか分からないようなかたちをつくりたいと思っています。
最初は部分からつくり始めて、ひっくり返していろんな方向にコロコロ転がして、そこからまた繋げるポイントを選んでいきます。その都度自然に繋がります。どの方向が正面か、見せたいところかは最後まで分からないです。それでも最終的にはどこかが下になるわけで、転がしているうちに自然に決まってきます。
大橋 カラフルな色彩も特徴ですが、土にしっとりと染みこんだ彩度を抑えた色と、光沢のある釉薬を使った色の両方が見られます。
村上 土のざらっとしたマットな質感が気に入っていたので、最初は光沢のある釉薬を使うのにすごく抵抗がありました。大学院に入って、モチーフの中におもちゃが出てきて、かたちをデフォルメすることが始まりました。それが「ぞうさん」や「キリンさん」(2009)のような作品に繋がっています。
もともとイラストを立体に起こしたい気持ちがあり、模様を多く描きたいと思っていたのですが、どうしても上から描いたような表現にしかならずに悩んでいました。模様を描く時は細部から全体にワッと広がるような描き方をしていたんですが、土で作るときもその方法に変化させていきました。その頃から作る前でも全体像は考えなくなりました。
大橋 「MONSTER」(2010)は鳥や髑髏もいて南米の工芸品を思わせます。
村上 そうしたプリミティブなものも好きなモチーフです。中火度1050度焼成です。私の一番の理想は成形したままの土がウエットな状態なので、最近は焼いても表面が艶かしい状態にもう一度戻せないか考えています。
「腹ワタノ乱チキ騒ギ」(2010)では増殖というものを、自分なりに色で表現できないかと思いました。細部はつくり込まず色で表現しているので、色を取ったらシンプルなかたちをしています。
「はびこるぷあー」(2011)は茶色い釉薬がもっと金のラスターっぽくなる予定だったのですが、予想外の結果になりました。かたちはデフォルメに加えて、海の中のイメージもあります。
大橋 「Butterfly」(2012)では色彩を使っていません。
村上 ずっとカタチを見せたいと思っていました。色彩を使うことでカタチが殺されてしまう部分もあるので、一度やめてみようと思いました。実験的な作品です。
「ワタシニカマッテ」(2012)は最初ひとつのかたちだったのですが、台を利用した展示方法を試してみたかったので、焼成前に切断しました。これに関してはいろいろ言われましたが、初めての個展だったので好きにやろうと思って。 「蠢くはんぐりー」(2012)も同時に展示したのですが、この作品は壁の表と裏の隙間をつくろうとしたものです。壁といっても遮断された面ではなく、隙間だらけのカタチのものが続いていくような余韻や間を表そうと思いました。 バランスや辻褄を合わせようとする性格なのか、自分の中から自然に出来てくる部分を越えると終わりが見えてくるので、収束に入ってしまう感じはあります。そういう葛藤も含めて今は全部出したいと思います。
大橋 好きな作家はいますか。
村上 彫刻家のハンス・アルプです。自分のテーマでもあるのですが、抽象表現以前に大事にしているところの詩的で夢想的でファンタジックな部分が共感できて、人も道具も自然も同じフラットなところにある。そういう目線が心地良くて、一番素直に見られる作家です。自分の中にも作品にもノイズが多いのですが、H・R・ギーガーの超自然的でバイオレンスな融合世界も興味があります。
大橋 タイトルはどのようにつけていますか。
村上 出来てからつけるのですが、言葉にすると違和感があるので、なるべく音で表せないかとはずっと思っています。
大橋 今展はどのような作品になりますか。
村上 「遊戯する陶」というタイトルで新作を制作しています。
初めてやきものの作品を陶芸コースの卒業制作展で見たときの感動から始まって、経験することで学ぶことも多いですが、一方では心が鈍くなって感動が遠ざかっていく気がする時があります。考えなくても昔は出来ていたことが、今は意識しないと感動できなくなった。だから一旦忘れようかと思ったりします。観念的な作品を見ることは大好きなんですが、私自身は頭で考えずに肉体を取り戻すような、つくることって生理的なことだと思っているので、体でつくりたいです。
作家略歴
1985年 京都府生まれ
2009年 京都市立芸術大学美術学部工芸科陶磁器専攻 修了
2011年 京都市立芸術大学美術研究科修士課程工芸専攻陶磁器 修了
展覧会
2007年 グループ展「トウテン」(くらふとギャラリー集/京都)
2008年 グループ展「とうっ」(くらふとギャラリー集/京都)
2009年 「アジア現代陶芸 新世代の交感展」(愛知県陶磁資料館)
「芸術系大学作品展2009〜ART UNIV.2009」(元立誠小学校/京都)
2009-2010年 現代工芸への視点「装飾の力」(東京国立近代美術館工芸館)
2010年 アジア現代陶芸展 (弘益大学/ソウル)
グループ展「作りたいという気持ちだけで 何も食べなくていいくらい 愛しい顔を見せてくれよ」(ギャラリースカボロ/京都)
2012年 個展「村上 愛展」(GALLERYはねうさぎ/京都)
「京都府美術工芸新鋭展〜2012京都美術・工芸ビエンナーレ〜」(京都文化博物館)
「わんの形」(多治見市文化工房 ギャラリーヴォイス/岐阜県)
受賞
2009年 「2008年度京都市立芸術大学作品展」富本賞(京都市美術館)
2011年 「2010年度京都市立芸術大学作品展」大学院市長賞(京都市美術館)

ページの先頭へ

LIXIL Link to Good Living

Copyright © LIXIL Corporation. All rights reserved.