| 2011年12月13日 インタビュー:大橋恵美(LIXILギャラリー)
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| 大橋 |
佐々木さんは大学院を卒業されて6年、既にいくつも個展をされてきました。改めて今回ガレリアセラミカで展覧会を希望された理由は何でしょうか。
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| 佐々木 |
大きな作品をつくりたかったというのがあります。大名行列のようなものをつくりたいというのは前からありましたが、一年ほどかかると思っていたので、大学院を修了してからこつこつ始めていました。
今までの展示では、販売もするので小さな蓋ものの路線で依頼されることが多かったこともあり、一度に発表できる機会を探していました。1点1点は小さいものですが、百人全部で大名行列として見せたかったのです。
百人だと一万石くらいで、本当は百万石の大名だったら四千人くらいになるのですが、それだと何十年もかかりそうなので、一万石大名くらいの行列にしてみました。
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| 大橋 |
行列の人物が動物で表されているのには、意味がありますか。
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| 佐々木 |
大名行列の真ん中辺りに大名を乗せた籠があるのですが、その周りに馬廻りという警護の人たちがいて、その人の顔を馬にしようと思ったのがきっかけで人物を干支にしようと思いました。干支は以前からモチーフにしていて、個展の時に干支のものをつくってくださいと言われて、つくってみたら面白かったんです。資料を見て、本物そっくりに難しいものほど細部までこだわってつくりたくなるので、干支を全部つくれたら凄いという挑戦の気持ちがありました。
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| 大橋 |
佐々木さんが陶芸に初めて触れたのはいつですか。
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| 佐々木 |
高校の選択科目に工芸があって、小学生の時に図工が好きだったので選んだのが最初でした。先生が陶芸の好きな方で、ろくろが20台位ありましたが、その時は上手くひけなくて実はいい印象はありませんでした。
それでも洋服だとか何かつくることがしたかったので美大に行こうと思い、予備校に通って女子美の工芸学科に進学しました。織と染めと陶とガラスから専攻を選択するのですが、立体をやりたいというのが元々あったので、馴染みのある陶を選びました。でも2,3回生までは好きな小劇場に通いつめたり、そこでボランティアで小道具の制作をしたりで、あまり作品をつくってはいませんでした。学部の卒業制作で始めて陶と真剣に向き合ったんです。ギリギリになって夢中で制作して達成感を味わいました。今まで褒めてくれなかった先生が初めて褒めてくれたり、賞を貰ったりして、もっとやれると感じて大学院に進みました。きっかけとして、卒業制作の前に宮川香山を見た影響がすごく大きくて、こんなに装飾してもいいのかと衝撃を受けました。フィギュアはおもちゃとしてつくるものだと自分の中で思っていたのが、やきものでやってもいいのだと思えました。
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| 大橋 |
学生の頃の作品を拝見すると、今の佐々木さんのモチーフとあまり変わらないですね。
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| 佐々木 |
授業ではいろんな土を使って徳利や壺を練習していたのですが、磁土は使ったことがなくていろいろ試そうと自分で買って置いていました。やってみたら難しくて随分時間がかかりました。自分で決めていたわけでもなかったのですが、先生には磁器が最終目標だと思われていたようです。
もともと骨董品に興味があって、骨董市に行った時に根付を初めて見て、欲しいけど高くて買えないので自分でつくろうと思いました。根付をきっかけに江戸時代の風俗資料を見ているうちに、日常的な面白さが伝わってきて、根付の題材や人物といった江戸時代のものを自分でつくりたいと思ったんです。これだ、という感じでした。資料は本で見ることが多くて、あとは自分で想像してつくります。あと、岡本喜八監督映画のシニカルな部分と痛快な面白さが描かれた昔の時代劇映画が好きで、江戸時代に興味を持ったというのもありました。
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| 大橋 |
卒業制作の「大江戸」(2001年)は大きな壷に水戸黄門や物売り、虫などがついた5点からなる力作でした。白い磁土に透明釉をかけた、モダンな印象です。
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| 佐々木 |
土を使っていた頃は色釉薬も試していたのですが、磁器になってから色を使うことは考えませんでした。自分の中ではかたちをつくることでいっぱいで釉薬のことまで頭がまわらなかったというのが、本当のところです。
壺を先につくってからフィギュアを考えて、もともと擬人化が好きなので、動物も昆虫も魚も鳥もつくりたいといろんな要素を入れました。着せ替え人形ではありませんが、一個一個つくって、乗せてみてどうかと考えていきます。
卒展で、壺はもう自分の中でやり遂げた感じがあって、それで、小さい人をつくることに専念していきました。つくっていくうちに、ここまでできるのなら、もっともっと小さくできると挑戦のような気持ちで今の大きさになりました。私は握力が全然ないので逆に小さいものをつくりやすいようです。
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| 大橋 |
小さくなってモチーフとの関係に変化はありましたか。
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| 佐々木 |
ありませんでした。大学院2年生の「江戸遊園」は江戸風メリーゴーランドです。ちょうどこの頃、パリ、ハンガリーに旅行に行って、フランスでメリーゴーランドの本を見て、いろんな動物の乗り物があったので、それに江戸の人を乗せてみました。乗る動物は皺が複雑なものをつくりたかったのでカバや羊になっています。江戸時代は資料が豊富なので、想像するのが楽しくて、何を見ても江戸に投影していってしまいます。江戸庶民の衣装は着物の袂があるので、小さくても支えになってつくりやすいこともあります。
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| 大橋 |
台の上に乗せるようになったのはなぜでしょうか。
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| 佐々木 |
使える要素も欲しくて箱物にしました。まず自分が欲しいものをつくるんです。お皿はお香立てに、箱は中に指輪を入れて使っています。
学生時代に観に行っていたお芝居の影響もあるかもしれません。舞台という一つの小さな世界で、面白い要素がある反面、恐怖の要素もあり、最後にオチがあって完結する、というたくさんの要素が集約されているというところに魅了されていったんだと思います。
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| 大橋 |
好きな作家や好きなものはありますか。
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| 佐々木 |
やきものはやはり宮川香山です。
身近で言うと、祖父が趣味で木彫をしていましたので、家にある馬の木彫などを見て小さい頃はリアルなものをつくれたらいいなと思っていたのかもしれません。
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| 大橋 |
今後はどのようなものをつくりたいですか。
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| 佐々木 |
建物と人の風景に物語があるような街並をつくりたいですね。現代の街中では物語を感じませんが、江戸時代の街並は風俗資料を見ていろいろ想像します。つくっているときも人形遊びのようで、途中でもいろいろ変えていきます。題材は尽きないですね。
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/インタビュー終了//>