やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

今野朋子 展 −陶 夢想のいきものたち−<br>Konno Tomoko Exhibition

今野朋子 展 −陶 夢想のいきものたち−
Konno Tomoko Exhibition

2011年12月6日(火)〜12月26日(月)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  12月6日(火)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

Photo:creatures「protect」 2011 D29×W80×H35cm



展示会概要
今野朋子の作品は、練り込み技法などで様々な色土を混ぜ合わせてつくったパーツを、花びらや花芯状に重ね、想像上の生物のようなかたちをつくるオブジェです。
ピンクやグリーンが艶かしい巨大な南洋の花や、柔らかな外殻を持つ生物が、さわさわと起毛を揺らしているような迫力で、一瞬グロテスクさも感じさせます。一方で、釉薬を用いない磁土の乾いた質感が過剰な色と造形を抑制し、奇妙なコントラストを生み出しています。
今年2011年国際陶磁器展美濃で入賞した『creature「core」』では、中にびっしりと針状のピンクの起毛を持つ.直径20センチのお椀型の周りを、グリーンとグレーを基調としたマーブル模様の様々な大きさの葉で包み込み、尾のように高く捩り上げました。高さ1.Oメートルほどの大きなオブジェですが、繊細なパーツと混合する色の奥へ凝縮する見えない密度が、圧倒的です。
今野朋子は、大学ではファッションデザインを学び、卒業後1994年に夫の赴任先の香港で初めて陶芸に出会います。器をつくろうと軽い気持ちで始めた陶芸の奥深さにのめりこみ、日本で本格的に学ぶため、窯業地である常滑に家族で移住しました。
器からもっと自由にものをつくりたいとオブジェの制作に取り掛かり、技術の向上につれて小品から徐々に大きなものを生み出しています。2009年長三賞奨励賞、2010年菊池ビエンナーレ奨励賞、2011年国際陶磁器展美濃入賞、長三賞グランプリと、近年大きく活躍の場を広げています。
とにかくものをつくりたくて仕方がなかったという今野の自由な創造の源は、「その時々に気になるもの。例えば内臓のような中身」で、最近では「細かく振動するように響く音」を表現したいと精力的に制作をしています。
今展では、壁から床まで使ったインスタレーションを展示予定です。受賞の続いた今年最後の個展、華やかな作品をぜひ会場でご覧ください。
今野朋子

今野朋子

今野朋子

2011年 ガレリアセラミカ会場風景

インタビュー
2011年9月3日 インタビュー:大橋恵美(INAXギャラリー)
大橋 2011年は国際陶磁器展美濃入賞、長三賞グランプリ受賞と立て続けのご活躍おめでとうございます。この1年でぐんとスケールアップしたように思います。今野さんはいつ頃から陶芸を始めたのですか。
今野 陶芸と最初に出会ったのは1994年香港でした。 大学ではファッションデザインを勉強して、オブジェを布でつくって人に見せたり、アーティストの舞台の装飾やCDジャケットの一部に使われたこともありましたが、自分ひとりでつくることが好きでしたので、デザイン会社などには就職しなかったんです。 そのうちに主人の転勤で香港に行くことになりました。香港では習い事くらいしかすることがなくて、陶芸だったら面白そうだと思って始めたら、本当に奥の深い世界だったんですね。もっと頑張りたくて、毎日つくれるというので陶芸教室のアシスタントになったんです。でも香港人の先生しか知らないので分からないことがいっぱいあって。ならば日本で勉強しようと一時帰国のつもりで常滑に来ました。常滑は私たち夫婦のどちらの地元でもなかったんですが、偶然の出会いもあって今年で12年、結局居ついてしまいました。
大橋 現在の作品はどのようにして生まれたのでしょうか。
今野 香港ではアートセンターはありますが、当時はやきものの展覧会はあまりやらなかったんですね。中国本土はすごいのでしょうが、香港では陶芸だったら器の販売というより、アーティストか先生になるしかない。
私はその頃はアーティストになろうと思っていたわけではなく、ただ器をつくりたいというところから始めましたので、自分で出来ることを手探りでやっていく感じだったんです。
でも、困った時やこうしたいというのは、じっと見ていると、少しずつ分かるようになってくるんですね。教えてもらうこともありましたが、大抵自分の中で解決しました。だからすごく時間がかかってしまうのです。でも、自分でやりたいことって自分にしか分からないから、自分で見つけていかないと解決できないんです。それでも今自分ができることはわかっているので、突拍子もないところには行かなかったですね。
最初は磁器に魅力を感じていました。手びねりのうつわに象嵌したり、傷をつけ呉須を入れた器をつくっていましたが、自分にとって今考えると無理をしていて辛い仕事だったのかなあと思います。それからもっと私のつくりたいイメージに合うよう色々な磁器土を取り寄せ、磁器土の微妙な違いを用いたり、磁器と陶土を組み合わせる為の土集め、色彩を取り入れる為に磁土と顔料で色土を作って表現するようになり、結局行きついたのが練り込み技法だったという感じです。これが一連の作品の始まりだと思います。
その頃はまだ器をつくっていて、そこで自分のつくりたい世界をやろうとすると、器のバランスが悪くなるというジレンマに陥ったんです。今思うと、何かに使う器をつくるというのではなく、つくりたいものを器の中に収めていたと思います。それで納得がいかなかった。そこから飛び出してつくるようになったら、ここに自分の世界があると明確に分かりました。
実は器をつくらなくてはいけない、やらなきゃいけないと思い込んでいたところで妊娠したんです。それで悪阻がひどくて、好きなことしかしたくない、できない気持ちになってしまったのです。ここで器をやめても、自分がつくりたいものをつくっていたら、いつか必ず振り向いてくれる人がいるはずだと思いました。それまで頭で考え込んでいたのが、自然に解決したというか、突破したんですね。
オブジェは使い勝手に神経を注ぐ必要もなく、自分にとって余計だと感じていたことを考えずにつくりたいものを表現できるものでした
大橋 「月下の花」(2009 )はモノトーンでしたが、その後色彩もますますカラフルになり、かたちも大きくなりました。
今野さんの作品の特徴である練り込み技法でできた孔雀の羽状の模様を1枚づづ貼り付けていく方法は、ファッションからイメージされたのでしょうか。
今野 あまり意識せずにここまできましたが、そういうものから入っている気はしますね。織りや染めではなくデザインを学んだだけですが、自分の体が反応するのはやはりテキスタイルや模様です。
無地の磁器のシンプルな美しさも大好きで、憧れていますが、それが自分にとっての作品かというと、私はすごく雑なところもあるので、そこまで張り詰めて神経を使うのは違うかなと思うんです。
私の作品はひとつひとつが細胞のイメージなんです。ものは小さなものの集合で出来ている、ひとつにしか見えないものでも、その中には眼に見えない細かいものがたくさんあるというイメージでつくっているので、そういう思いがかたちになっているんだと思います。私の「想像上のいきもの」です。
作品が大きくなったきっかけは、「Creatures」(2009)で、この長三賞現代陶芸展の時はまだつくりたい作品がひとつのイメージにまとまらなくて、数を沢山つくってしまった感じでした。 この後段々と自分のつくりたいイメージが明確になってきたのです。菊池ビエンナーレ展(2011.4)の時にはそれが少し見え、国際陶磁器展美濃(2011.9)の時にイメージがはっきりしました。
でも未だ手のひらサイズの作品の方が表現しやすく、大きく成ると手間取ったりしているのが現状ですが、段々そのギャップも狭まって来た感が有ります。
大橋 さきほど「想像上のいきもの」ということがありましたが、今野さんがつくりたいものは何でしょうか。
今野 上手く言葉に出来ないんですが、自分がその時に感じたこと、気になるもの、その時の自分の心の中にあるものを観てつくっています。
2009年頃は体の中が気になっていて、内臓とかグロテスクなところまでは行かないけど、イメージとしてはそれに近い「グロチック」なものでした。その頃父が病気で突然亡くなって、病院に行ったりしているうちに露骨に作品とがオーバーラップしてきたんです。その頃につくったのが美濃展で入賞した「Creature(core)」(2011)です。
花のイメージもよく言われるのですが、花が好きなのかと言われるとそうでもなくて、自分でも何でこれをつくっているのか分からないところはあるんです。
最近は「音」が気になっています。例えば、「Creature(core)」だったら、私には「さわーっ」という音が聞こえてくる感じがするんです(笑)。風や葉ずれの音のような爽やかなものではなく、大きな動きではない細かく振動するような音が聞こえてきそうなイメージなんです。そのイメージを実現化するためには、技術が伴ってもう少し大きな作品がつくれれば、その音のイメージに近付く気がします。これからもやりたいことがたくさんあるので、少しずつかたちにして、私の中の世界をごらん頂けたら嬉しいと思います。
作家略歴
1967年 秋田県由利本荘市に生まれる
1989年 文化女子大学 ファッションデザイン学科卒業
1992年 結婚後、香港へ渡港
1994年 テレンス・リー、ジョンソン・ツァンに陶芸を学ぶ
1996年 ジョンソン・ツァンの通訳兼技術アシスタント
1999年 愛知県常滑市に工房を構える
2001年 チェコにて開催されたマグシンポジウムに参加
2009年 韓国京幾道世界陶磁ビエンナーレ ワークショップ参加
受賞
2007年 第41回 女流陶芸展 京都市長賞
2009年 第29回 長三賞現代陶芸展 奨励賞
2010年 第04回 菊池ビエンナーレ 奨励賞
2011年 第09回 国際陶磁器展美濃 銅賞
神戸ビエンナーレ2011 現代陶芸コンペ 入選
第30回 長三賞常滑陶芸展 大賞

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