やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

谷田真美 展 −陶 小躍りズ−<br>Tanida Mami Exhibition

谷田真美 展 −陶 小躍りズ−
Tanida Mami Exhibition

2011年10月5日(水)〜11月1日(火)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  10月5日(水)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

Photo:「小躍りズ」 2011 サイズ可変(部分)



展示会概要
壺、陶板、陶片、土塊がバラバラと横一列に並んでいます。その長さ7m。それぞれ赤土に青味を帯びた釉薬が掛かっていたり、緋色が現れていたり、掻きだし技法で素朴な模様が描かれていたり、陶の味わいが豊かです。そこに、染め付けの藍色で、何百人という僧侶や旅支度の町人が小さく延々と描かれています。笠を被り、或いは剃髪のまま、杖をつき、在る時は一人で、駆け足で、町場へ、荒地へ、山へ、壺の肩へ。
ユーモラスな絵付けと、風景に見立てられた陶器作品の組み合わせがユニークな、7mを駆け抜けるようなリズミカルな陶のインスタレーションです。
谷田真美は現在金沢美術工芸大学大学院に在学中で、大学の陶芸コースで陶芸を始めて5年目になります。京都精華大学に在学中、修学院離宮の近くだったアパートから日常的に見ていた、僧侶の行列の非日常的な美しさ、幼少時に遊んだ神社の伽藍や湿った匂いの思い出などから、聖と俗、生と死、物に宿る記憶などをモチーフに、こうした作品を制作するようになりました。
陶器を素材に選んだのは、その長い命、土の生命力に感嘆したからだと話します。そこにコミカルでスピード感のある僧侶や旅姿を描き、いきいきとした作品をつくり出しました。
「小躍りズ」というタイトルも「小躍りするほど嬉しい、楽しい」という言葉からつけられました。その説明には「物と者 走る 踊る 跳ぶ 生きる」と書いています。見ているだけで心弾むような作品です。
今展ではガレリアセラミカの会場サイズに合わせて、6mにリニューアルした新バージョンでご覧頂きます。どうぞ会場でご覧ください。
谷田真美 谷田真美

谷田真美

2011年 ガレリアセラミカ会場風景

インタビュー
2011年8月10日 インタビュー:大橋恵美(INAXギャラリー)
大橋 「小躍りズ」(2011)のユーモラスな絵付けは「弥次さん喜多さん」みたいで楽しいですね。
谷田 私は高校生の時にお母さんが陶芸教室に行くのについて行って、土に触れてすごく楽しかったので、陶芸やるぞと思い込んだのですが、小さい頃から絵を描くことが好きで、この絵付けも小さい頃からやっていたことと変わっていないんです。
その頃は五味太郎が好きでしたが、今は北斎が好きで、そのタッチを見てというのはあります。
私にとっては小さい単位で描くことが重要です。下書きはしないので、思いつくままに描いて、同じ単位で同じものを描き続ける、その行為に没頭して無我の境地になっていくんですね。写経のようでもあります。
大橋 洛中洛外図なども昔の人の表情までわかりますよね。町人もひょうきんな顔をしていたり。
谷田 ああいうとぼけた感じが好きですね。想像が膨らむ。楽しそうに暮らしていますよね。
大橋 在学中に住んでいた京都ではそうした作品を観る機会が増えましたか。
谷田 私は修学院離宮の近くに住んでいたのですが、実際にお坊さんが修学院から降りてきて列になって歩いているのを見たり、結構そういうところからアィディアは拾っています。
洗濯物を干している時に窓から異空間みたいなものが見えるわけです。はっとして鳥肌が立ちました。お坊さんはスクーターに乗っていることが多いですよね。あれを見ると1日ラッキーと思うんです(笑)。今日はいいことがあると。お坊さんだって俗世から隔たれないこともあると思うし、面白いなと思います。お坊さんが好きです、様式美もカッコいいですよね。
私は仏教系の幼稚園で、園内にお寺があってお坊さんがいたんです。1週間に1回はお経を聞く会があった。そういうことが関係しているのかなと思います。
大橋 やきものの表情が土っぽいのは。
谷田 わりと土ものが好きで、土から掘り起こしてかたちをつくるという感覚なんです。土器みたいな昔のものを掘り起こしているような感じで。釉薬もガサガサした土っぽいものが好きです。学部1年の時に教えてもらったことで「土が持っている表情を感覚的に探していく」ということがベースになっています。
大橋 「小躍りズ」はタイトルも面白いですね。
谷田 人って楽しい時に小躍りする、それはすごいことだと思ったんです。人の歓喜に何か強烈な生命力を見出せるような気がして付けました。私はそんなにウキウキすることがないんですけど。
大橋 卒業制作だったので、卒業するのが嬉しいのかなと思いました。7mのインスタレーションで、卓あり、壺あり、陶板ありの組み合わせでつくられた見立てのようで面白かった。
谷田 絵巻物がベースにあって、それは絵巻物をつくるのではなくて、絵巻物という形式を借りて長いものをつくろうと思ったんですが、窯の制限があって長くはつくれなかったので、組み合わせました。
大橋 絵付けは「小躍りズ」の前の「絵巻」(2010)から始めたのですか。
谷田 「絵巻」(2010)の電池のかたちを鋳込んだ白磁をつくって見たとたん、急にすごく絵付けをしたくなったんです。何にかき立てられたのかわからないんですが。
それまではオブジェをつくっていて、ものに宿る魂みたいなことを考えていました。作品をつくる時は、自分がその時考えていることからつくり出します。
「豆球と夜」(2009)は、夜、豆球の明りを見ながら、ぐるぐる考えてしまう、思考が廻っていく感じが面白いと思ったことが始まりです。
大橋 「豆球と夜」というタイトルもレトロな雰囲気がありますね。谷田さんの作品ファイルには作品に対峙して言葉が書いてあります。好きな詩人はいますか。
谷田 谷川俊太郎が好きです。詩やエッセイが好きでものの見方とか考え方とか影響を受けていると思います。
私は外で遊ぶことが多くて、子供の頃はよく神社で遊んでいました。神社の建物はボロボロで、人がつくったものだけど、人がつくったものだけでない神聖な感じがあって怖い。普段内側は閉ざされていて見られないけれど、隙間から覗いて、すごく怖いけれどすごく見たいから、中には何もないんですけど、覗いてわぁっと皆で逃げる。そういう暗さや湿った匂い、聖なるもの、伽藍なんかをよく憶えています。
大橋 「ライフハウス」(2009)に対峙する言葉「空間の余白に生活を感じました」というのは。
谷田 人の匂いのするもの、生活用品は使い込むとその人の癖などでかたちが変化していくので、ものに暮らしが宿っていくという感じが素敵だなと。
大橋 「コンパス」(2009)は「あなたにとって陶芸とは何か」。
谷田 これは課題だったんです。自分にとって陶芸は何なのかつくりなさいと。コンパスは方向を指し示すものですよね。制作をしている時こそが、自分の生きている実感や生きている方向がわかる、探している感じがする。答えを見つけるというより、探していく過程、つくっている時には完成させるという意識はなくて、終わりはその作品においての終わりでしかないという想いです。
大橋 「測る」(2009)は「見えないものを測る 数字にはならない 視覚で測る」。
谷田 この頃は電気に凝っていて、人の家の電気ブレーカーなんかをずっと眺めていました。ブレーカーは人工的なものなのに、使われて人のものになって自然な感じになっていくのが不思議なんです。ものは人が試行錯誤して成り立ってきたと思う。そのことに感動するし、そういうことを忘れたくないと思います。
「デジタル タジタジ」(2010)はコンセントを型どりして骨のように見せています。電気って何だろう。人工的にこういうものが生活に入ってくるのが不思議なんです。
大橋 次はどんな感じになりますか。
谷田 絵巻物がつくりたかったわけではないので、では何を魅力に思ってつくったのかなと考えた時、土がもっている生命力であったり、壮大な感じを抽出したくなったんです。陶器はすごく長い時間残っていくことがシビアに感じられて、これは元に戻らないと思うと怖くて、土が持っている時間が怖いと思います。
割れるということに対して抵抗感がなくなってきて、敢えて割れるようにつくったり、つくりこまないでつくると言う感じです。
かたちも、どういうかたちをつくりたいというのはなくて、今は流れる感じをイメージしながら体を動かしていくとそのかたちができてきます。これからはもっと大きな作品がつくりたいです。
作家略歴
1987年 長野県生まれ
2007年 京都精華大学 芸術学部 素材表現学科 陶芸 入学
2011年 京都精華大学 芸術学部 素材表現学科 陶芸 卒業
2011年 金沢美術工芸大学 工芸科 陶磁 修士課程 入学 在籍中

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