やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

福岡さゆり 展 −時のかさなり 陶の断片−<br>Fukuoka Sayuri Exhibition

福岡さゆり 展 −時のかさなり 陶の断片−
Fukuoka Sayuri Exhibition

2011年9月6日(火)〜10月1日(土)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  9月6日(火)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

Photo:「雨を待つ」 2010 W45×D40×H15cm



展示会概要
福岡さゆりの作品は流木のような乾いた木肌を模した陶のオブジェです。手びねりで造形し、1230度で焼成されています。かたちは切り株や木の皮の断片のようで、それぞれ40cm四方の大きさです。今展が東京初個展となり、新作も含めた6点を展示する予定です。
福岡さゆりは京都造形大学で陶芸を学びました。京都の大文字山へよく散歩に行っていたところ、ある日雨上がりに樹木や地面の土から、強烈な匂いが立ち上るのを体験します。それはまるで生命が現出したような生々しさで迫ってきました。もとより自然が好きでモチーフにも選んでいましたが、それ以来生命の誕生をテーマに「ハナレテウマレテ」と題した、球体が連なり泡状に増殖していくかたちを制作します。
なぜ自然を模するのか、なぜ土で制作をするのか、なぜ作品を発表するのかと自己を見つめるうちに、自らの内にある創作への強い意思を核のように感じたと言います。化石にノジュールと呼ばれるものがあります。化石標本にはなりにくい生物の化石を含む岩石塊で、小さなかたちの中にも当時の植生を想像させる情報が大量に含まれているそうです。福岡さゆりは、自らの創造の核をそこにもじったタイトルをつけた「小さなノジュール」というシリーズをつくりました。
グルグルと渦巻いて有機的に立ち上がるかたちは、太古の樹木の切り株のようです。雨に浸食されてじっとりと黒く腐っている部分、太陽に漂白されて化石のように白く固く乾いている部分、幹の色素を残したような黄緑色の部分、内側が朽ち落ちて空洞となり、カラカラと音がするように乾き、今にも折れそうな肌の表情。根元のような太い幹を残した断片のかたちからは、かつて枝を張っていた大きな樹木の力強さが伝わってくるようです。誕生し、朽ちて土に戻り、また転生される生命の永続を連想させるかたち。
どうぞ会場でご覧ください。
福岡さゆり

雨を待つ 2011 W35×D30×H48

福岡さゆり
福岡さゆり

2011年 ガレリアセラミカ会場風景

インタビュー
2011年7月5日 インタビュー:大橋恵美(INAXギャラリー)
大橋 「雨を待つ」(2010)シリーズは、枯れ木のような表情が土らしくもあり惹かれました。どんなことを考えてつくられたのですか。
福岡 もともと朽ちたもの、私は一瞬汚いと思われがちなものが目について、トタンの錆や廃墟もすごく好きで、朽ちた木で中身が腐ってなくなってまわりの皮だけが残ったものなどが好きなんです。よく散歩に行くんですが、そういう時間や歳月を感じられるものにいつも目がいく自分に気がついて、こうしたものをつくろうと思いました。
散歩に行ってよく流木や貝、落ち葉を拾ってきます。よく見ると本当に面白い造形だし、とてもきれいです。時間の経過や記憶のようなもの、朽ちて違うものに変わり、それもやがて巡る。それはすごいと思います。
大橋 土を素材に選んだのは。
福岡 絵を描くのが好きで美大の洋画科に進もうと思ってデッサンをしていた時に、美術部の先生に陶芸が向いているんじゃないかと言われて、それから自分でも気になりだして。それで大学にコミュニケーション入学をして、そこで初めて土に触りました。その時の印象は、ただ、ただ、気持ちよかったです。
土に決めたのは、つくっている時も完成してからも、かたちに触れられるというのが大きかったです。私は手を動かしているとすごく安心するんです。
最初はどうかたちに表現したらよいのか、なかなか見つけられませんでした。
学生の頃は「ハナレテウマレテ」というタイトルでつくっていたのですが、それは命が生まれて、離れて、また生まれて、溢れて、止まないというのが目まぐるしく行われている感覚が自分の中にあって、それを表現できたらと思っていました。
卒業してから逆に消えてなくなるもの、朽ちていくものに目が向くようになって、結局全部つながっているんだと思い至ってから、現在の作品になりました。
大橋 福岡さんの朽ちたかたちは、「雨を待つ」も「小さなノジュール」も枯れ木の断片や、轍や切り株など、自然を模していますね。
福岡 そうですね、「小さなノジュール」(2010)は貝のかたちからイメージしてつくったのですが、今から思えば、貝と木の両方を平行してつくっていたので、要素が重なっているかもしれません。
近所の大文字山に散歩に行った時に、私は雨も大好きなのですが、雨が止んだ山中で、突然ものすごい湿度と匂いが自分の中に入ってきた。それは何か見えないけれど蠢いているものが確かに存在する感じで、土、木の匂いを感じた瞬間にそのことを強烈に感じたんです。
大橋 確かに雨上がりの草土の有機的な匂いは、生命力が立ち上っているかのようです。その後、今つくっているのは、胞子やキノコのような新しいかたちですね。
福岡 制作をする時には最初にドローイングをするのですが、土に向かった時にはそれはもう見ないで、ストロークの感覚だけを思い出して、感覚だけでかたちをつくっています。でも或る時、自分の中でかたちをもう少し消化してからつくりたいなと思ったんです。それで「胞子」は、最初にかたちを決めてからつくり出したのですが、でもやはり自分の感覚だけでつくっていた時のほうが自分には合っていたと思い直しています。
大橋 考え過ぎて意図的になってしまったのでしょうか。
今は自分の中からどんどんアイデイアが湧き出してくるままに制作をされている感じです。発表することにはどんな意味がありますか。
福岡 そういう湧き出してきたものを、人に見せることで客観視できる感じです。なかなか距離を離してつくることは難しいので、全然知らない人に見てもらうことで、自分に染み付いているものを露わにして、確認している感じです。
展覧会を自分の近い目標に定めて、制作活動をするということです。そんなに焦ってつくることが、本当の創作活動なのかとも思うのですが、やはり期限を決めて頑張りたいんです。
大橋 影響を受けた方はいますか。
福岡 絵画では熊谷守一さんの作品が好きで学生の時からよく見ていました。いのちを真っ直ぐに見つめる。とても素敵です。
大学の須浜智子先生の課題で、型で「愛でるかたち」をつくるというのがあったんです。私はその頃、撫でる、手を掛けることが「愛でる」ということだと思っていたので、石膏型だとあまり直接土に触れられないので、意味がわからない感じだったんです。それで土をずっと撫でていたら、カサカサになってひび割れてしまった。それで触ったり、撫でることが「愛でる」ことではないんだと気づきました。
それから母と子のようにへその緒でつながったかたちを型でつくりました。猫が丸まったかたちを原型に型からつくり、つくった4体を紐で繋ぐイメージでした。
また堀香子先生の授業で、写真で何でも良いから気になった所を何十枚も撮ってくるという課題がありました。私が撮影したのはすべて植物で、壁面を伝う蔦や植物がたくさん集まって生えている光景が自分は好きなんだなとつくづく思いました。
実家が天橋立にあり、2階の窓からは海が見えます。湾なので穏やかな海です。ずっと側にあり過ぎてわからなかったのですが、大学に入って初めて家を離れた時に出てきた自分のモチーフが自然の木や葉ばかりだったことで、私の中には知らない間に染み付いて離れないものがあるのだと思いました。
音を選んでそこからイメージしてかたちをつくるという授業でも、私の音は雨の音でした。それで雨が染み込んでいくかたちというのを考えてつくりました。
「小さなノジュール」というタイトルにしたのは、「植物化石」の本でその意味をゴミみたいな見向きされない小さな化石の破片で、でもその中にも様々なものが存在しているという言葉に出会ったからです。自分の中にもそういうものがあって、それを掘り出したい、そんな風に制作したいと思います。
自分の中にあるものが何なのか、知りたい。それを作品にして目で見て、人にも見せる。それはとても恐ろしいことですが、どうしても知りたいし見せたい。
大橋 福岡さんの作品は森羅万象を映して、やがてスケールアップすることになるのでしょうか。
福岡 これまで大樹の小さな破片みたいなものをつくってきましたが、ひとつに小さなということが自分の中では大切なようです。それは何か植物や木の皮膚を通すことで、私自身の中にある小さな核のようなものを象徴しているからかもしれません。
テクスチャーも装飾的に上に重ねていたところから、削ったり、引っ掻いたり、切ったりしてまるで刺青を入れるかのようなテクニックに変わりつつあります。装飾するのでなく、本体と一体化するようになってきたのも、制作、造形への姿勢を反映しているのかもしれません。
大橋 まずはたくさんつくってください。楽しみにしています。
作家略歴
1986年 京都府生まれ
2009年 京都造形芸術大学 陶芸コース卒業
2011年 現在、京都造形芸術大学 通信陶芸アシスタント
個展
2009年 ハナレテウマレテ gallery SUZUKI
2010年 無限の重なりの中で gallery maronie
グループ展
              
2008年 ひふみ 同時代ギャラリー
京都四芸大合同陶芸展 立誠小学校     
2009年 現代小品展(2009〜2010) gallery SUZUKI     
2010年 不器用展 gallery RAKU     
2011年 おまもり展 gallery maronie     

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