やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

窪 愛美 展 −壁の鳥 群れる土−<br>Kubo Manami Exhibition

窪 愛美 展 −壁の鳥 群れる土−
Kubo Manami Exhibition

2011年6月7日(火)〜7月2日(土)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  6月7日(火)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

遥遥 2009年  W1800×H900×D230(mm)



展示会概要
窪愛美の作品は、たくさんの鳥の半身が、壁から突き抜けてくるような情景のインスタレーションです。
カラスやアホウドリにも似た太い胴の鳥たちは、嘴を開けるもの、閉じるもの、身を捻っているもの、羽根を開くものと一羽一羽すべて表情が違い、愛らしくもありますが、それらが一群となって別次元から身体を食い込ませるようにして向かってくる様子は、気持ちの芯が揺れるリアリティがあり、思わず立ち止まってしまうほどの迫力に満ちています。
鳥の双眸は土にうがたれたままの穴で、ぽっかりと丸く暗く、中の空洞の底知れなさを感じさせます。全身をグレーの釉薬で統一された肌合いは、ざらりとしてところどころ土の質感を残しており、焼成の段階で羽根や嘴がわずかに動くことで、より動物的で自然なかたちへと変貌した姿です。制作は型成形で行い、部分的に切ったり付け足しながら一羽一羽に個性が与えられています。一羽ずつを愛でながら、群れになったときの迫力を表現しようとするのは、嫌悪感や恐怖心をモチーフにして、例えば動物の死に対して一瞬目を背けながらも、目を離してはいけないと考える何かが自分の中にあるからだといいます。
窪愛美

窪愛美 窪愛美

窪愛美 窪愛美

窪愛美は2010年に大阪芸術大学を卒業し、現在は同大学の助手を勤めながら制作をしています。学生時代の課題では食欲をテーマにゴキブリで覆われた器をつくり、群れに対して人が持つ畏怖を初めて意識しました。やきものを素材に、穏やかな日常空間に一種違和感を与えようとする試みは、鳥の群れを生み出し、今展では、会場全体を使い、百羽以上の迫りくる鳥たちで壁を埋め尽くします。
若さあふれる24歳の初個展を、ぜひ会場でご覧ください。
窪愛美

窪愛美

窪愛美

2011年 ガレリアセラミカ会場風景

インタビュー
2011年3月25日 インタビュー:大橋恵美(INAXギャラリー)
大橋 大阪芸大の学部卒展で見た「遥遥」(2010)は、鳥の半身が何十羽も壁にインスタレーションされて壁から羽毛を持つものが捻り出てくるようなリアリティがあり、ヒッチコックのような感じで迫力を感じました。どういうイメージでつくられたのですか。
まずインスタレーションをしたいというのがありました。 私のつくる鳥や動物が生活空間の中に与える違和感、一羽一匹の置物ではなく群れであることで生まれる異質感が気になっていて、コンクリートの壁紙を板に貼って展示したり、シチュエーションで場をつくろうと考えました。ヒッチコックのイメージというのは、できてきてからそういう映画のワンシーンのような情景が思い浮かぶなと感じました。
大橋 最初から全体を決めてつくりますか。
つくっている間にいろいろと思い浮かんでくるほうです。
鳥は型でつくるのですが、その原型をつくるときにいろいろなことを想像しながら手びねりでラインを考えます。型取りしたものを切り落としたり、捻ったり、物足りなさを感じたら羽根をつけたり、つくっている間に一羽一羽かたちを変えていきます。スケッチはしないのですが、動物が好きなので鳥も日頃から自然と観察しています。
大橋 群れであることの違和感とは。
卒業制作以前に「クラフトな器」という課題でリアルなゴキブリが内にも外にもたくさん這い回っている器をつくったんです。
その頃ちょっと入院していて、食事のそっけなさから器がもっと楽しかったら食欲が出るのにと感じて、では逆に気持ち悪くしたら食欲がなくなるのではないかという考えが生まれたんです。その時、単体ではなく群れの方が畏怖の気持ちが強くなると感じました。
今回の展示では一部屋全部を覆い尽くすように展示して、100羽以上の鳥の群れが迫ってくるような感じにしようと思っています。カラスをモチーフに、嘴を少し太くリアルにしています。今回は嘴を主体に考えたのですが、その場合羽根をどこまでやるのか悩んで、外してしまっています。何羽もくっついて固まっている鳥の塊もつくりたいと思っています。
大橋 100羽以上を鳥の胴と嘴だけで表現するのは難しそうですね。「遥遥」には鳥の翼も登場して、変化に富んでそれが自然さやリアリティを出していたように思います。塊にしてもパターン化すると装飾的で、素材が陶でもあるので壁面レリーフのようになりませんか。
そのイメージはありませんでした。まだ時間があるので再度考えてみます。色についても、私は絵付けが下手なこともあり、釉薬の渋い色が好きで、表面も凹凸の変化があるほうが好きなのですが、大学の先生にいろいろアドバイスをもらって、カラス本来の黒や白でもよいかもしれないと考えています。
大橋 窪さんはどうしてやきもので作品をつくろうと思ったのですか。
父が版画をしているのを側でずっと見たり、粘土で人物等をつくったりしていたので絵を描くより立体が最初から好きでした。でも陶芸を始めた頃は本当に何も考えていなくて、大阪芸大で陶芸のオブジェを見て、こんなものがつくれるという驚きがありました。それから、先生の展覧会や、いろいろな作家さんの展示を見たりして、陶器で表現する楽しさや、難しさを知りました。そして、段々と自分が空間を使った展示が好きだとわかってきました。三沢厚彦さんは動物ということもあり、展示が楽しく人が入りやすそうなところが好きです。やきものも入りやすいものですが、割れてしまうので触りにくいところが悩ましいと思っています。建築物のすごく計算されたところも好きで、全体の空間を楽しみたいし、工場地帯や廃墟、時間や人の存在していた空間の記憶にも惹かれます。
大橋 やきものはひとつひとつ手でパーツをつくっていって大きなものは最後に組み合わせてつくったりしますので、空間というより掌からはじまるわけですが、それに関してはいかがですか。
手間もかかって効率が悪い技法だと思うのですが、ひとつずつに思い入れて変えていけるのは楽しいです。窯炊きでは「いってらっしゃい!」と送り出して、出てくると「出来たね」と可愛く思ったり、ひとつひとつが一個の人格のようなイメージを持っています。
出来た時の表情は素焼きの時は予想通りなのですが、最後に釉薬をかけて焼くと変ってきます。でも焼くことによって変わる質感より、土が動いて嘴の部分が開いたり、羽根が動いて自然に自分が想像していたよりいいかたちになる偶然性に惹かれています。
大橋 ひとつひとつを可愛いと思いながら、群れで怖くしたいというのは。
動物は大好きで、鳥も一羽一羽を見ると可愛さがあるのですが、数が多くなって群れとになると怖い。渡り鳥などの整然とした隊列というより、蟻の群れやイナゴの大群だとか、猛々しくて気持ち悪いけど目を離せなくなるところが自分の中にはあって、その気持ち悪さを表現したいと思いました。魚の大群も私にとってかなり怖いものですが、鳥はもっと日常的で親しみがあるからこその怖さがあります。
大橋 怖いものに惹かれるのは三木先生の影響もあるのでしょうか。
先生からはシュヴァンクマイエルなどもよく見せていただいたので、そういうところから影響は受けていると思います。自分の中にも呼応するものがあって、怖い物を見て驚いたり嫌だなと思うのですが、なぜそういうことになったのかを考えてしまう。
例えば車に轢かれた動物を見て、人は瞬間的に嫌悪感を覚えるけれど、なぜか見てしまう、動物の死体や死に対して拒否反応はあるけれど、そこへまた戻ってくるような気持ちもあるのではないかと思います。人にはそうしたことは実は近い存在だけど、遠くにやりたいという気持ちがある。
大橋 死が遠いからか、動物として生物的に気になるのか、窪さんはどっちでしょうか。
生物的なところだと思います。死が遠いと思いたくはありませんが、まだ身近な人の死には遭遇していないので、遠いのかもしれないです。
剥製のような、死んだあとにもかたちを留めるということもありますよね。 陶で鹿の剥製をまねて鹿のかたちをつくったことがあります。今鳥の作品は目を刳り貫いていますが、その時に初めて目を繰り抜くということをしました。
最初、動物は目が命だと考えていたのでガラス玉を入れようと思っていたのですが、刳り貫いたままでいたところ、段々表情が広がって見えてきたんです。それでこの不思議な感じのままでいいのではないかと。中が見えないものに人は惹かれたり恐怖を覚えたりすることもあるので、引込まれるような怖さが出るのではないかと思いました。
大橋 やきものではよく中を空洞にしますよね。いくら覗き込んでも何も見えない穴を開けることで窪さんの世界は広がったのかもしれません。
そうした見えないものから、こちらに向かって来る感じというのも怖いものですが、そういう感覚はありますか。
その感じは欲しいと思っています。異質なものが侵入してくる映像などが怖かったという印象から始めたのですが、壁にインスタレーションをするというのには、ずっとその場にいて欲しいという気持ちもあるんです。
これからは、養鶏場や家畜のブタや牛など、食品としての動物でも何かやってみたいと考えています。他の素材でもいつかやってみたい気持ちもありますが、土でまだまだやりきっていないので、まずは最後までやりきりたいです。
作家略歴
1987年 大阪生まれ
2010年 大阪芸術大学 工芸学科 陶芸コース 卒業
大阪芸術大学 非常勤副手
グループ展、他
2008年 artkish!2008(喜志商店街/大阪)
2009年 第25回 日中交流作品展(大阪芸術大学/大阪)
2010年 大阪芸術大学卒業制作展 研究室賞 受賞
陶のかたち展(GALLERY北野坂/兵庫)
奈良県庁アート(奈良県庁/奈良)
アジア現代陶芸 新世代の交感展2010(弘益大学 現代美術館/韓国ソウル)
= ≠(equal not equal)展(ほたるまちキャンパス/大阪)
2011年 ちっちゃいもの展(GALLERY北野坂/兵庫)

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