やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

大森健司 展 −陶 白い稜線の軌跡−<br>Omori Kenji Exhibition

大森健司 展 −陶 白い稜線の軌跡−
Omori Kenji Exhibition

2011年5月10日(火)〜6月3日(金)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  5月10日(火)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

「白い影像」 H860×W570×D470mm 2010年



展示会概要
大森健司の作品は、ジャバラを開いたようなかたちが、空間に立ち上がる白い陶のオブジェです。
底部が小さく上部が広がる漏斗のようなかたち、逆に上部が鶴首のように細く底部にゆくにつれ裳裾をひくように広がるかたちなど様々ですが、いずれも80cmの高さで構築物のような迫力があります。
今にも倒れかかってきそうな不安定感と、踏みとどまり屹立している存在感は見る者の目を奪います。
乾いた白い肌は石膏の立体模型を連想させる端正さですが、2度の釉薬掛けと焼成を繰り返すことで、どこか土の匂いの漂う独特の雰囲気をまとい、タイトルの「白い影像」が示すように、凹凸による陰影が美しく映えています。
大森健司

2010年ガレリアセラミカ会場風景

大森健司

大森健司 大森健司

制作方法はすべて手びねりで、明確な稜線は下から土を積み上げながら、途中指で引っ張り出すことで、つくり上げています。弧を描きながら立ち上っていくかたちが躍動感にあふれた作品です。
大森健司は岐阜県多治見市で制作を続ける29才です。
大学では環境計画を専攻し、将来は建築事務所に就職する予定でしたが、陶芸サークルでロクロに出会ったことにより、やきもので作品を制作する方向へ転じました。大学卒業後は岐阜県多治見市陶磁器意匠研究所に入所し、2007年より現在の作品を制作するようになりました。
回転するかたちの躍動感、構築物のような迫力ある存在感、何かを投影し、投影しない土の香りのする白い肌。今展では「白い影像」シリーズから新作含め5点が展示されます。東京での初個展開催です。
大森健司

インタビュー
2011年3月8日 インタビュー:大橋恵美(INAXギャラリー)
大橋 大森さんは最初から陶芸を目指していたわけではないですね。
大森 最初は東京造形大学の環境計画専攻で、都市環境や建築を学んでいました。友達に誘われて大学の陶芸サークルに入って土に触ったのが最初です。
大学3年生くらいまではデザイン関係に進路を決めていて、プロダクトや建築専攻の学生は、そうした事務所でアルバイトをしながらそのまま就職するという流れがあったので、自分も事務所へ電話までかけていたんです。でも結局行きませんでした。
夏休みに友達と日本の窯場めぐりをしているうちに、自分の道はこっちではないかと思って、多治見市の陶磁器意匠研究所を受けたんです。
大橋 陶芸のどういうところが良かったんですか。
大森 最初はロクロです。陶芸部で先輩がすごく上手にロクロをひいていて、土が薄くなっていって、器になる様子に惹かれたんです。旅行中も各地で職人さんがロクロをひいている姿を見て、これをやりたいと思いました。
造形大には陶芸コースはないんですが、芸大卒の漆芸の先生がいて、4年生の時紹介されて新宿の陶芸教室に1年間通いました。
大橋 「白い影像」(2010)は逆円錐形で、まるで稜線が螺旋を描くように立ち上っていく作品ですが、これはロクロのイメージから生まれたのでしょうか。
大森 そうですね。多治見に行く前は、職人的な仕事にあこがれていた部分があっったんですが、実際に行ってみたら、先生や先輩や同級生がその人らしい作品をつくっているのをみて、自分らしい作品ってどうしたらできてくるのか悩みました。
陶磁器意匠研究所の卒業制作展に向けて、何をつくろうかとなったときに、自分の好きな作家や音楽、風景や土のどんな部分に魅力を感じているのか、よく考えました。それと自分が今までつくったものの中にあった、自分の好きなエッセンスみたいなものを活かして、今までとは違う方法でやってみたら、この作品が出来ました。
大橋 自分の作品の中にあった好きなエッセンスみたいなものとは。
大森 陶芸を始めた頃に感じた、穴窯で焼き締められた土の質感とか、粉引きのやわらかい白とか、土を破いたときにできるちぎれ目のざっくりとした表情とか、土の土らしい質感です。それとロクロでできるなめらかなアウトラインもです。
大橋 かたちでは、ロクロを回しているときに芯がぶれた瞬間のような、大きく回転する躍動感を感じます。
大森 電動ロクロで土が立ち上がっていく姿が好き、というのが初めにあるので、ロクロで立ち上がってくるときにできる広がりや緊張感、ライン、そういうのを手びねりで自分でコントロールしてつくっていきたいというのがあります。
大橋 風紋や砂だまりのようにも見え、自然がつくる形象みたいですが、何かイメージはありますか。
大森 具体的なイメージは特にないのですが、抽象的な形態が好きなんです。建築をやっていたことが関係しているのかもしれません。好きな建築や風景を見たときの心地よさを自分の作品で出せたらいいなと思います。
大橋 この作品は意図的に稜線をつくりだして繰り返しているわけですが、ロクロの時には無意識な部分もあったと思うんですが。
大森 最初は手びねりでなくロクロでつくろうかとも思ったんですけど、それでは、つくらされてしまう感があったんです。
大橋 やきもので言えば窯焚きもそうではないですか。
大森 そうです、それも悩みです。かたちを重視すると、高温で焚いて曲がったり、ひびが入ったりする温度とは果たして必要なのかと思います。自分の欲しいかたちができるのならもっと低温でもいいのではないか。でもまた、あまりにもかたち、かたちと行き過ぎてしまうのもどうなのか。葛藤しています。
大橋 新作「静かな軌跡」(2010)は上部が三角に尖って閉じていますね。
大森 これまでの作品はアウトライン的だと思ったので、三次元感を出したかったんです。
大橋 なにか意味があるような、攻撃的にも象徴的なかたちにも見えます。大森さんの中では、閉じることと開いていることはどう違いますか。
大森 僕の中ではロクロと器のイメージから作品が始まっていて、今まではほぼ口があったんです。閉じるというのは用途というか、器らしさを完全になくして、もっと表現という部分が強くなるのではないかと思います。
大橋 これまでの作品には色々なものを内包していくような豊かさ、大きさ、広がりを感じていたのですが。閉じてしまうんですか。
大森 そういう大らかさ的なものには、弱さも共にあるのかなと思いました。 去年「やきもの現在Y」(2010多治見ギャラリーヴォイス)に出品したのですが、他の出品者の作品の中で自分の作品に物足りなさをすごく感じたんです。 力強さやシャープさを出したいと思ってつくっていたのに、稜線がやさしいという僕にとっては、意外な感想を聞いて驚きました。自分で意識していたこととは真逆の感想だったので、表現したいことを作品として表すことの難しさを感じました。自分の作品が表現といえるのか、自問しました。
大橋 それぞれ違う持ち味、世界観があるので、単に作品の強さみたいなことではないでしょうか。大きさについては納得されていますか。
大森 小さくても表現できることはわかっているんですが、窯ギリギリまで大きくしたいという欲があって。それと大きいものがそこにあることで小さいものの時とは、まわりの空間がまた違ったものになるし、かたちのバランス的にも僕にはこの大きさが必要です。今のところこのくらいの量感が好きなんです。
大橋 不安定ゆえの魅力にもいろいろありますが、のしかかってくる怖さがあって迫力に繋がっていると思います。好きな作家はいますか。
大森 現代美術の杉本博司さんとかやきものだとハンス・コパーとか。建築を見に行くのも好きです。
大橋 色はずっと白ですか。
大森 ぼくは白ですね。具体的なイメージの湧かない色にしたいんです。 実家が埼玉県深谷市という北関東の田舎にあって、そこは土地が広々と開けているんです。 広大な土地にポツンとガスタンクや鉄塔や陸橋があって、そういうシュールな雰囲気が好きなんです。
大橋 これからも良い方向へ変わっていくのを楽しみにしています。
作家略歴
   
1982年 埼玉県生まれ
2005年 東京造形大学 環境計画専攻卒業
2007年 多治見市陶磁器意匠研究所修了
公募展
2006年 第6回益子陶芸展 入選
第5回出石磁器トリエンナーレ 入選
伊丹国際クラフト展 入選
2010年 現在形の陶芸 萩造形大賞展 入選
グループ展
2007年 第1回孵化展(ノリタケの森ギャラリー/名古屋)
フタのある形(ギャラリーヴォイス/多治見)
ヒトハナ展(ギャラリーヴォイス/多治見)
2008年 20人の一年後展(陶林春窯/多治見)
第2回孵化展(ノリタケの森ギャラリー/名古屋)
二人展(ギャラリーNIWA/刈谷)
トッテのある形(ギャラリーヴォイス/多治見)
2009年 第3回孵化展(ノリタケの森ギャラリー/名古屋)
さらとりどり展(ギャラリーヴォイス/多治見)
陶芸作家2009展(セラミックパークMINO/多治見)
2010年 陶芸の現在partY(ギャラリーヴォイス/多治見)
第4回孵化展(ノリタケの森ギャラリー/名古屋)
陶芸作家2010展(セラミックパークMINO/名古屋)
フタのある形partU(ギャラリーヴォイス/多治見)
ミニアチュール展(ギャラリー芽楽/名古屋)
現在多治見市にて制作

ページの先頭へ

LIXIL Link to Good Living

Copyright © LIXIL Corporation. All rights reserved.