やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

田中 礼 展 −陶彩の宴−<br>Tanaka Aya Exhibition

田中 礼 展 −陶彩の宴−
Tanaka Aya Exhibition

2011年2月4日(金)〜3月1日(火)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  2月4日(金)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

「邂逅」 2010 H65×W40×D30 cm



展示会概要
田中礼の作品は、同心円状に重なった縄目がかたちを形成していく、土俗的な雰囲気の色彩の鮮やかな陶のオブジェです。
「邂逅」は高さ65cmで二つの塔が向き合ったかたち、「徒」と名づけられた作品では高さ52cmで四足の四角い構築物のようなかたち、「楽」シリーズは各々幅50cmほどの太鼓や琵琶など楽器のようなかたちを、象形文字から連想を得てつくっています。
何よりも特徴的なのはその色彩で、指で少しずつ摘みだした土の襞の内側に、ブルーやグリーンの釉薬で、滲むように彩られた層を連ね、寒色系を中心に、金で縁取られた襞が円をくりかえして波紋のように広がったり、パプリカの内側のように縦につらなったり、互いにぶつかりまた違うかたちをつくっています。うねるかたちに、さざめく色の波は柔らかく、まるで編み物で編まれたような密度です。七宝焼きやタイの寺院を思わせるきらびやかさと、古色のような深みのある重々しさがひとつになって、古代の宝物殿から発見された不思議な遺物の趣を漂わせています。
田中 礼

田中 礼 田中 礼

田中 礼 田中 礼

田中礼は、建築やインテリアを学ぼうと入った大学で出会った陶芸に引き込まれ、クラフトデザインに進みました。卒業後は瀬戸の窯業高校専攻科、新世紀工芸館で改めて技術を身につけ、現在は瀬戸で制作を続けています。
出身地の鳥取県で、農業を営む祖母の畑で土の匂いに包まれていたこと、家業の縫製工場で大量の布と糸のある風景を見ていたことが制作の原風景にはあるようです。また舞楽などのパフォーマンスに興味があり、その独特の動きも作品のかたちに影響を与えています。
制作を始めて10年になり、東京では初めての個展開催となります。今展では新作を含めた7〜8点が出品される予定です。どうぞ会場でご覧ください。
田中 礼

田中 礼

2011年 ガレリアセラミカ 会場風景

インタビュー
2010年12月7日 インタビュー:大橋恵美(INAX文化推進部)
大橋 田中さんの作品はフォトジェニックでしたが、実際に拝見するとまだちょっと荒々しかった。マーブル模様ではないけれど、この釉薬が編み物の編み目のように重なり合って見えるのが特徴的だと思います。どのようにつくられていますか。
田中 手びねりでかたちをつくった後、指で摘み出しながら襞をつけます。素焼きの後に、摘み出した部分に沿って下絵の具で色絵を描いて、釉薬をつけて焼き、さらに上絵の具をつけて焼く。縁は金彩です。
青系統の色が多いのですが、釉薬の色は直感的に好きな色を使っています。最近舞楽を見る機会があって、すごく印象に残ったので本やインターネットで舞楽の装束を調べたのですが、赤系、青系など色々ありましたが、私は断然青系が好きでした。寒色系にこの色が入っているから引き立つというのも意識して今回はかなり黒を入れています。
大橋 ちょうど良く滲んで上絵の具と下絵の具が乖離せず、複雑なものができる。縁が金彩なのも七宝みたいで、深み、地層みたいな重みが出ます。こうした作品をつくり始めたのは2007年頃からのようですが、2009年頃から密度が上がってきました。
田中 試行錯誤のうちに偶然、釉薬が混ざらないように崖をつくるために摘んでみたところ、面白いなと思ったんです。
大橋 作品のかたちでは、「邂逅」は女性と男性が向き合ってダンスを踊っているように見えました。「楽」シリーズは楽器のように感じます。
田中 作品は、日常のいろんなことも含めて自分の中に入ってきたものの中から自然に出てきているように思います。舞楽を見て感動したり、アイロンをかけていてその尖ったかたちやボリュームを面白いと思ったり、そういうことを同時に想いながらつくったのがこの作品です。
舞楽の独特の動きと、衣装の雅さ、唐や高麗の異国情緒のあるお面、すべてのバランスがすごいなと思って、奈良の大仏開眼会で踊られた、その時代へタイムスリップしたように感動したんです。
作品のタイトルは、漢字の前身である甲骨文字からヒントを得て選んでいます。もともとの意味が字のかたちに残っているところが理に適っていて面白いと思います。
作品のタイトルの「楽」という文字は、「飾りがついた手鈴の形で神をたのしませる楽器」という意味があることを知ってつけました。
「楽−V」は最初、仏像の光背から発想してつくり始めましたが、進んで行くうちに、雷神の太鼓のように何個か連なって構成する楽器のイメージと合って、「楽−U」は「端を手に持って鳴らす」とか、何気なく自分が抱えたときにとても楽器っぽいと思ったところと合っていたからです。
「楽−T」は琵琶のような弦楽器だったり、縦にするとお面から来ているなと後から思ったりしました。
大橋 タイトルに力を入れているようですが、作品ができてから、「徒」と言う字に似ているなと思うのですか、先に「徒」と言う字を見てこのかたちになっていくのでしょうか。
田中 同時進行なので、意味とかたちが、どちらもぬきさしならない関係です。
「徒」に足があるのは、先に「歩く」と言う意味を含んだ字を考え、「踊る」と「歩く」というかたちのイメージから、つくり始めました。
大橋 田中さんはダンスや舞踊がお好きですか。お話されているときのジェスチャーが華やかで踊りのようです。
田中 そうしたものの全体の雰囲気や、衣装に興味があります。熱心に見に行くというわけではなくて、テレビでたまたまということも多いです。それは、その位の意識しない程度のきっかけでありながら心にひっかかるものに、何かあると感じるからです。
その為、ハレの日というよりすごく地味な日常を保っていたいところがあります。ただ、やったことはないのですが踊りたいというのは自分の衝動の中にあります。踊りへの憧れがこういうかたちになるのかなと思います。
大橋 いつから陶芸をはじめたのですか。
田中 大阪産業大学の環境デザイン学科で、最初は建築やインテリアなどの空間構成をやりたかったんです。でも基礎体験で陶芸をやった時に「つくる」と「できる」の間が近いことに魅力を感じました。それで4年生の時に陶芸コースを選択しました。
基本的に何をつくってもいいという感じだったので、自由につくった結果がオブジェでした。それまで陶芸のイメージが器をつくる事だった私にとって、オブジェの制作は目の前の扉がパッと開いたようでした。楽しくて夢中でつくりました。それと同時に頭に思い描いたイメージを具現化するのに、私にはやっぱり土が向いているなと感じていました。
先生の勧めもあり、卒業した後も陶芸を続けようと思って、瀬戸の窯業高校の専攻科に行きました。陶芸をやる以上、ろくろを引いたり、釉薬を勉強したり、もっと技術や知識を身に付けないといけないと思ったんです。その後、瀬戸市新世紀工芸館へ。
10年たって、自分だけにつくれるものに集中しないといいものはできないと考えるようになってきました。器もつくっていた時期もありましたが、いろいろ模索する中で、本当にやりたい事は何かと自問自答した結果やはりオブジェだと思い、集中して制作するようになりました。
大橋 田中さんは鳥取ご出身ですが、制作の原風景のようなものはありますか。
田中 実家は本当に山奥で、草とか土とか木とか、自然のもので遊ぶことにまみれているような、祖母が畑仕事をするのについていって、その辺で草や土で遊びながら土の匂いとか感じていました。自然のものが無意識に出てくるのはその記憶のためかもしれません。
「uncover」のシリーズになって、人に編み物みたいと言われました。
編み物をすることはほとんどないので、何でそういうことになるんだろうと自分で考えてみて、実家の家業が縫製業だったことに一因があるかもしれないと思いました。
カッターシャツとか制服のシャツをミシンで縫っていて、私はそれを見て育ちました。
仕事場には人がたくさんいて、大量の布と糸があった。工業用のミシンでパーツごとに連続して縫っていくので、一見それが何なのかはよく分からなかったけれど、それらが組み合わさって、やがて一枚のシャツになっていく工程は見飽きることはなく、子供心にすごいと思っていました。
大橋 きらびやかで、人もたくさんいて、大きな音がして。子供にはお祭りのようかもしれませんね。
田中 私は、お祭りやお正月などのお祝い事のきらびやかさに、わくわくしていました。
なんでこんな気持ちになるんだろうと考えて、やはり色の力が大きいと思いました。色調が明るいし、色の組み合わせも見ていて楽しくなり、無条件に気持ちを高揚させるパワーがあると感じます。
私が作品に色をつけたのも、そういう、何か楽しくしたいというのがあったからだと思います。
作家略歴
1977 鳥取県生まれ
2000 大阪産業大学工学部環境デザイン学科卒業
2002 愛知県立瀬戸窯業高等学校陶芸専攻科修了
2005 瀬戸市新世紀工芸館陶芸コース修了
主な展示
2001 第39回朝日陶芸展入選
2007 グループ展 修了生の現在展(瀬戸市新世紀工芸館)
2008 グループ展 トッテのある形(ギャラリーVOICE/岐阜)
土岐市織部の心作陶展入選
2009 グループ展 陶磁とガラス展(瀬戸市新世紀工芸館)
2010 個展(ギャラリー早蕨/名古屋)
グループ展 フタのある形(ギャラリーVOICE/岐阜)

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