やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

杉本ひとみ 展 -陶 楽園の実-<br>Sugimoto Hitomi Exhibition

杉本ひとみ 展 -陶 楽園の実-
Sugimoto Hitomi Exhibition

2010年12月3日(金)〜12月25日(土)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  12月3日(金)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

「楽園の実」2009 床上作品1点約w100cm 番画廊(大阪) photo K.Minamino 



展示会概要
色鮮やかな緑やオレンジ、黄緑の、100cmの長さのバナナが、ベロリと皮が捲くれたり、ねじれたり、大きく裂けたかたちで横たわっています。ビタミンカラーに彩られたバナナの大胆な造形は、南国の花ように艶やかです。
よく見ると、バナナの先は人の小さなおしりと足になっています。赤ちゃんのような、ぽってりとした小さなおしりと揃えられた足は、バナナの精のものでしょうか。バナナの甘い香りが立ち上るような、濃厚で豊饒な生命の力強さを感じさせ、見る者を南国の夢の世界へ誘うような作品です。
杉本ひとみ

杉本ひとみ

杉本ひとみ

作家の杉本ひとみは大阪芸大大学院を修了した24歳。自然に憧れ、自然をモチーフにした作品を陶で制作しています。植物の描く曲線が人体の曲線にもあると考え、これまで花弁とおしりを組み合わせたお皿や、くだものと人体部分を組み合わせたかたちなどを制作してきました。
いちごと鼻、ぶどうと乳房、さくらんぼとおしり、りんごと耳、パイナップルと目など、抽象化された造形はそれぞれにドキッとするような迫力がありますが、杉本の夢の中に歩いて現れたという、バナナにおしりと足のあるかたちは、くだもののバナナと人肌の質感の重なりまで連想させます。そこから今展の作品へと展開されてきました。
杉本は直接手で触れて成形できる土素材が好きで、6年間陶芸の技術と格闘してきました。絵の具を塗ったような平坦な釉薬の使い方や、捲くれ上がったバナナの内側に転写された杉本の「笑顔模様」もポップで明るいイメージを強調しています。
師走の寒さが感じられる中、そこだけ南国ムードのガレリアセラミカで、明るく楽しい杉本の作品をご覧下さい。今展が杉本の東京での初めての発表となります。
杉本ひとみ 杉本ひとみ

杉本ひとみ

2010年ガレリアセラミカ会場風景

インタビュー





2010年9月13日 インタビュー:大橋恵美(INAX文化推進部)
大橋 杉本さんの作品は、明るくて元気で、タイトルどおり南国の果実の豊饒さを感じさせます。人体とくだものが組み合わさったかたちはどこから考えたのですか。
杉本 まず、大阪の下町に住んでいる私は、動物とか植物とか自然物に魅力を感じるんです。
山に行くと、本当の自分に帰るみたいで気持ちが良い。こんなに落ち着くのはなぜだろうと考えた時に、普段の生活は直線に囲まれているけど、自然は違うからかなと思ったんです。
それで自然の持つフォルムをテーマに作品をつくり始めました。
大橋 「ようせいの食事」(2007年)が最初に植物と人体が合わさったものですか。
杉本 そうです。自分の好きなかたちである自然の曲線が、自分の体にもあると気がついたことから始まりました。
すごくきれいなおしりの写真を見て、これだと。その写真は誰かの作品というわけではなく、なんでもないおしりの写真だったと思います。
あとは自分のイメージだけでつくっています。きれいなものを目指していたら、おしりが出来た。そこにたまたま別につくっていた花びらのお皿を、組み合わせてみたのが最初です。複数のものを組み合わせた時に新たな関係性が生まれるのも面白かった。
その後卒展で「欲張りなおしり」(2008年)をつくりました。この頃、飲食店でバイトをしていて、ごはんが山盛りでどんどん捨てられるのを見て心が痛くなった。
この作品では果物に人体の一部分を組み合わせることで、食べ物にも人と同じ命があるということを表現しています。バナナにおしり、ぶどうにおっぱい、いちごに鼻、パイナップルに目、りんごに耳、さくらんぼにおしりを、くだもののかたちのイメージを人体のそれに当て嵌めて、くだものを擬人化したようにしました。
おしりの台の上にそのくだものたちを置き、おしりがくだものの命である色を吸い取っていくというイメージです。くだものの色はカラフルで特徴的だから、色をくだものにとっての命としたんです。
その次の作品も同じ系統で「笑うおしり」(2008年)をつくったのですが、これはコンセプトが強すぎて失敗しました。おしりの上に廃棄物を載せたイメージで、たくさん使い捨てにされているモノと人間を表したかったのですが、残念ながらこの作品は、おしりと上に載っているモノが乖離してしまった。コンセプトを消化し切れていなかったと思います。
大橋 杉本さんの色彩はカラフルでポップなイメージですが、陶芸の彩色としてはどのように考えていますか。
杉本 わたしは実は色彩自体に苦手意識があって、これ以前の作品は無色や単色だったので、それを色彩からの逃げだと感じていました。それでちゃんと向き合おうと、4回生の自由制作から色を使い始めたんです。
色を使うことで作品もとても楽しい感じになったと思います。私は作品を通して観る人に明るい気持ちになってもらいたいという思いで制作しています。
私の世界に入ってきてもらった時に思わずクスッと笑ってしまったり、まずは楽しんでもらいたい。そのためにポップさやカラフルさは大切な要素として意識しています。
でもそうした色彩と質感とのバランスが難しくて、まだペンキを塗ったような平面的なものしかできない。やきものには色だけでは表せない、質感や深みやいろんな幅があるものだし、もっと可能性があるはずなんです。
最近展示した作品(2010年8月)は、釉薬は同じものなのですが、塗り方を変えてゴムベラや手でドローイングのように描き、載せた釉薬、剥がれた釉薬、はみ出た釉薬とテクスチャーを変えてみたので、自分の理想に少し近づいてきたように思っています。
大橋 確かにペンキ塗りのようではなくなりましたけど、ちょっと大人しくなってしまって、猛々しいほどのエネルギッシュさがなくなってしまいました。
大橋 「楽園の実」(2009年)は、おしりとバナナがより一体化したかたちですね。ゆったりとした大きさも楽しいです。
杉本 私は本当は小さくて細かいものが好きで、つくるとどんどん小さく、細かくなっていくので、その大きさを一度大きくしてみたらどんな風に変わるだろうかとやってみたんです。
大橋 伸び伸びして、かたちが破綻していても、勢い余ってこうなっちゃったという楽しさが感じられました。
杉本 かたちは「欲張りなおしり」の時に色々つくりましたが、私にとってバナナは特別なんですね。
卒展で何をつくろうか考えていて眠ってしまった時に、前からバナナが歩いてくる夢をみたんです。(笑)おしりと足のついた、このままのかたちで歩いてきたんです。これだと。
大橋 (笑)バナナの甘い香りのイメージも、人体の柔らかいイメージと合っている気がします。
杉本 女性の方は皆さんそういう見方をされるんですが、男性の方は考え方が全然違うようで、もっとストレートに結びつけてしまうようなんです。その見方の違いは面白い。
でも性的なイメージってものすごく強いものなので、私はそれを表現したい訳ではないので、そちらに引っ張られるのが嫌で、それは違いますと言い続けていたんですけど、考えてみると、そういう風に受け取れる面もあるから、バナナとおしりの組み合わせが面白いと感じるのかもしれません。
大橋 生命の豊饒さが連想されるからでしょうね。おしりのデザインにも色々ありますよね。
杉本 キューピーとか、ハート型、露出してお笑いをとったりするコミカルなものだったり、セクシーでエロティックなイメージだったり。いろんなイメージを感じるので、その時々に出せていけたらなと思います。
大橋 陶芸はどうして好きなんですか。
杉本 私は常に身の回りにあるものを拾っては工作をして遊んでいるような子どもでした。
欲しいものがあれば自分で作っちゃおうという感じで、身の回りのもの全部を自分でつくることが夢だったんです。 家具や照明器具、食器のデザインをしたかったので、大学へはロクロを勉強しようと思って入学しました。でも粘土を触っているうちに、押せば凹むし叩けば伸びるし、足すことも削ることも素直に受け入れてくれるこの素材に自由さを感じて、粘土にはできないものはないと思うようになっていったんです。
陶器=食器という概念は自然となくなって、自分のつくりたいものをつくるようになりました。
大橋 これからはどんな作品になりそうですか。
杉本 他の素材にも興味はあるのですが、陶芸は奥が深くてやっても、やってもやり切れない。そして直接素材に触れられるのが何よりも魅力です。未だ出来上がったときの質感が自分でも受け入れられていないので、何とか解決して納得のいくものをつくれるようにするのが今後の課題です。
作家略歴
1986 大阪生まれ
2008 大阪芸術大学 工芸学科 陶芸コース 卒業
2010 大阪芸術大学 大学院 芸術研究科 修士課程 修了
大阪芸術大学 非常勤副手
個展
2010 OSHIRI展(番画廊/大阪)
Re OSHIRI展(ギャラリーエフェメール/大阪)
グループ展、ほか
2006 7mi展 (ギャラリー風雅/大阪)
2007 第19回 日中交流作品展 (大阪芸術大学/大阪)
artkish! 2007(喜志商店街/大阪)
2008 大阪芸術大学卒業制作展 研究室賞 受賞
卒業制作選抜展 (サントリーミュージアム/大阪)
トッテのある形展 (多治見市文化工房ギャラリー ヴォイス/岐阜)
大学院1回生展 (大阪芸術大学/大阪)
2009 アジア現代陶芸 新世代の交感展 2009 (愛知陶磁 資料館/愛知)
第25回 日韓交流作品展 (弘益大学校 現代美術館/韓国ソウル)
2010 イケヤン☆展 (アートサロン山木/大阪)
アジア現代陶芸 新世代の交感展 2010 (弘益大学 現代美術館/韓国ソウル)
イケヤン☆展 (陶林春窯/岐阜)
イケヤン☆展 (工房IKUKO/岡山)

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