やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

國方善博 展 -黒い陶 Moon Trip- <br>Kunikata Yoshihiro Exhibition

國方善博 展 -黒い陶 Moon Trip-
Kunikata Yoshihiro Exhibition

2010年9月7日(火)〜10月5日(火)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  9月7日(火)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

「moon trip」 22.5×28.5×26.5cm photo by ESCAPE Yasuda



展示会概要
國方善博の作品は、複数の足を持った生物を思わせる、端整ながらどこかユーモラスなオブジェです。蓮の葉によく似た円形の陶の下に、植物の根か、クラゲの触手のような10〜20本の足がそわそわと伸びています。サイズは20cmから30cmほどで、足はうねり、時に交差し、つま先立ちで踊りだしそうな軽快な表情を見せています。床との設置面はごくわずかで、重力など関係なく今にも空中へ浮き上がり、足をこちらへ伸ばしてきそうです。黒一色の中に緑青を浮かび上がらせた釉薬の肌合いは金属的な質感を漂わせ、有機的なフォルムに近未来の宇宙生物ロボットの趣を与えています。タイトルはそれぞれ、「moon trip」「dance」「wary(警戒する)」「fidget(うずうずする)」など。壁からにゅっとぶら下がったり、天井に足を絡みつかせて張り付いたり、意思を持って自在に動くかに見せる展示方法もユニークです。
國方善博

2010 INAX ガレリア セラミカ会場

國方善博

國方善博は作陶をはじめて16年になります。芸大在学中は作品発表よりも土と釉薬の研究に集中してきました。その後、展覧会ごとに実験的な様々な作風を見せてきましたが、2009年頃に、作品を自立させたいという思いが自然に結実し、現在の作品が生まれてきました。足は立たせるためというよりも、円盤をふわっと浮き上がらせるためのイメージだといいます。
部屋いっぱいに増殖して散歩する黒い生物たちに、どうぞ会いに来て下さい。

國方善博 國方善博

國方善博 國方善博

インタビュー
2010年5月18日 インタビュー:大橋恵美 (INAX文化推進部)
大橋 國方さんは既に16年ほど陶の制作をされていますが、今展の作品は最近生まれてきました。近未来の植物ロボットのような、金属的な質感とコミカルな動きがユーモラスなのですが、どのようにしてこの作品は生まれてきたのでしょうか。
國方 最初から話しますね。
僕は香川県の出身で、父親が高校の先生をしながら制作をしている漆作家だったんですね。最初は僕も漆芸科に入ろうとしたんですが、京都市立芸術大学で最初の1年間に工芸科のいろんなことをやってみたら面白かったので陶芸を始めたんです。
大橋 家に漆独特の匂いが立ち込めている環境は、他の子供とは違う感覚があったのではないですか。
國方 独特の黒色というのは僕の中でありますね。漆でしかない黒色、温かみのある、色味を感じる艶やかさ。
大橋 陶芸では釉薬の黒や黒陶の黒といろいろありますが、こだわりましたか。
國方 最初黒は使いませんでしたね。未だその時は漆への反発というか、せっかく陶芸を選んでやり始めたのだから、土の味や釉薬や焼締めをやろうと思っていました。
1995年初個展の作品は粘土の板を張り合わせてつくっています。彫刻を意識していて、この頃は釉薬でなく大理石の粉を土に練り込んでつくっていました。
大橋 自立しないかたちで、板の台座に金属で挿してありますね。
國方 この当時からそうなんですが、僕は底というのがあまり好きではなくて、点で立ったりとか、かたち全部が見えるというのが意識にあった。本当は宙に浮いていてくれればよいと。
大橋 1997年の作品もまだ立つのが苦しそうですね。
國方 実はこの後4,5年は土には一切触りませんでした。制作するための設備をつくろうとアルバイトをしていたんです。でも百貨店の展示や遺跡の復元の仕事をして、手はずっと動かしていました。つくることならなんでも楽しかったですし、土だけでなく木を使ったりと、制作という気持ちに変わりなかったです。
2002年にいよいよ再開しました。ロケットみたいなかたちですが、主に人体をモチーフにした作品をつくりました。釉薬も白色にしました。思い起こせば、学生の時にも良く似たラフスケッチが残っているので、自分はこういうかたちが好きなのかなと思います。自分では意識していなかったのですが、ある方にブランクーシ好きかと言われて。確かに好きな作家の一人です。
大橋 次の2004年の個展も展示点数が多いですね。台座が凝っていますね。作品に対してここは見せ場ではないはずですよね。2003年から作品の色が黒になりましたね。色々試して、こだわりがなくなったのがようやく2005年からということでしょうか。
國方 そうですね、この頃から丸くなったというか、最初は見に来た人から個展会場の雰囲気が怖いと言われて。悪い意味でピリピリしたようです。
大橋 これまではつくろう、つくろうというのが見えましたが、土のムーブメントにまかせて、生かせるようになってきたのではないでしょうか。
國方 そう、押さえつけようというのがなくなりましたね。
大橋 國方さんにとって焼成はどういうことですか。
國方 1000度以上の温度で焼くわけですから、そしてやきものになるのですから、僕にとって必要なものです。焼成で出る釉薬の色は楽しみです。思いがけない効果が出るので、焼いて思い通りにならないことを期待しているくらいです。
大橋 2006年の個展でようやく台座がなくなりました。
國方 いろんな人に同じことを言われました(笑)。立たないから台座をつける、木が好きだし、無意識に頼って逃げていたのだと思います。今の僕にはできないし、逆に怖いです。
この作品も具体的なモチーフはなくて、自然を観察して、スケッチやデッサンはせずに記憶に頼って粘土の板から一気につくります。その時にあの時見た花やあれやとイメージしながら、ようやくかたちと土の表情が一体になったかなと思った仕事です。
でも同時に、この頃こういう仕事がしんどくなっても来たんです。
大橋 こういう仕事をされる方はとても多いですよね。
國方 自分でも個展会場で客観的に見たら、もう中日から最終日にかけて会場にいたくなかったです。自分の中でなにか足りないものがあった。
翌年は個展できる状態ではなかったです。とにかくもう一回粘土で遊ぼうと思ったんです。それで円盤をつくっているうちに、これは遊べるなと思ったんですね。
大橋 今展の作品につながる「roll(2009)」で円盤の下に足が生まれました。
睡蓮の葉の下にいっぱい水が滴って流れているような有機的な動植物のようなかたちが新鮮でした。
國方 僕自身は立たせることが重要なんですね。
大橋 立たせることで悩んできた経験が生きていると思います。足も表情豊かな仕草をしているように見えます。
國方 僕はできるだけものを見る時に白い空間の方を見るんです。書道はしないのですが、書は墨のみならず、白地の空間の美しさだと思っているんです。そういう意味で、山の絵を描く時は山の線は空を描いているという意識なんです。これも実際足をつけているけれども、僕の中では足ではなくて、白い空間と黒いラインの両方でできている空間なんです。
大橋 それでは上の円盤部分と足の関係性は何になるのでしょうか。
國方 ひとつは、僕は浮かせたいというのがあります。足は立たせるというよりも、円盤をフワッと浮遊させるためのイメージなのではないかと思います。クラゲも好きなので、それもあるかと思います。
タイトルがそれぞれついていて、「dance」というのもあるんですよ。
大橋 展示の方法も壁に張り付いていたり、天井へ上っていったり、コミカルな印象ですね。
國方 お月さんがお散歩しているような感じなんです。 僕は写真が好きで、家の周囲は自然が豊かなので、ブラブラ散歩に行って、撮影するんです。そういうものが作品に入っているのかな。
僕は陶芸をやっていますが、ロバート・メイプルソープも好きなんです。あそこまで写真のみならず、トータルでパーフェクトで静かなのはすごいと思います。すごく憧れます。ちょっと怖いところもあり、ああいう作品も、つくってみたいなというのはあります。
それからこの作品が生まれた背景には釉薬との出会いがあると思います。時間を感じる作品が好きで、古びたもの、今まで大事に大事に使われて残って来たものなんかに惹かれます。この釉薬は焼いた後に緑青が出てくる不思議な釉薬なんです。
金属も好きで、金属でも新しいものはきれいですけど、この釉薬は変色するので何年かたったら、どんな風に変わるのかという楽しみもあるんですね。
今まで随分作風が変わってきましたが、変えても國方だとわかると思うし、変わることに抵抗はないので、色々挑戦していきたいと思います。
作家略歴
1969 香川県生まれ
1992 京都市立芸術大学美術学部工芸科陶磁器専攻卒業
1994 京都市立芸術大学大学院美術研究科陶磁器専攻修了
個展
              
1995 ギャラリーマロニエ(京都)
1996 ギャラリーマロニエ(京都)
2002 ギャラリーマロニエ(京都)
2004 ギャラリー白(大阪)
2005 ギャラリー白(大阪)
2006 ギャラリー白/ギャラリー白3(大阪)
2007 ギャラリー白(大阪)
2009 京阪百貨店守口店 京阪美術画廊U(大阪)
ギャラリー白(大阪)
グループ展
              
1991 彩ーnature(京都市立芸術大学ギャラリー:京都)
1994 4人のうつわ(アートスペース八源:京都)
1997 掌中のかたち展 (ギャラリー器館:京都)
2000 過ぎ行く夏のなごり…展(アートスペース八源:京都)
2004 「1978~」高松工芸高校美術科卒業生の今(高松市美術館:香川)
比良から新しい風が…(比良美術館:滋賀)
2005 Ceramic Site 2005(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)
うつわ展-食を楽しむ「酒器」 (京阪百貨店守口店アートサロン:大阪)
2006 酒器展(ギャラリー北野坂:兵庫)
Ceramic Site 2006(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)
ETOーTEN[~'09](京阪百貨店守口店アートサロン:大阪)
うつわ展-おうちで食べよう晩ごはん(京阪百貨店守口店アートサロン:大阪)
2007 Ceramic Site 2007(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)
うつわ展-お茶を楽しむ(京阪百貨店守口店アートサロン:大阪)
國方善博・濱名ひとみ陶展 (京都クラフトセンター:京都)
陶ノウツワ展 (ART SPACE キノシタ:鳥取)
2008 独り者の為のMinimal Vessels展(ギャラリー器館:京都)
Ceramic Site 2008 (ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)
現代陶芸作家による Ceramic site 2008(京阪百貨店守口店美術画廊:大阪)
架空通信・百花繚乱展 2008(兵庫県立美術館ギャラリー:兵庫)
2009 Ceramic Site 2009(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)
うつわ展ー使って飾れるお皿たち(京阪百貨店守口店美術画廊:大阪)
架空通信・百花繚乱展 2009(兵庫県立美術館ギャラリー:兵庫)
長三賞現代陶芸展 (愛知)
2010 京都工芸ビエンナーレ(京都文化博物館・京都)
Ceramic Site 2010(ギャラリー白/ギャラリー白3:大阪)
京展(京都市美術館:京都)

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