やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

北村信樹 展 -陶 痕跡の景-

北村信樹 展 -陶 痕跡の景-

2010年7月9日(金)〜8月3日(火)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  7月9日(金)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

Photo: 痕跡 2009 3000×4200×1500mm



展示会概要
北村信樹の作品は、陶による遺跡や石積を思わせる大きなインスタレーションです。
サイズはいずれも2〜5mほどあり、風化した岩石や建築物を再現したような迫力があります。
風雨や時間の経過によって磨耗し、退色した石やテラコッタが、遺跡や遺構のようにダイナミックに構成されています。積み上げられ、重ねられ、時には落下して破損し、その破片は側に転がったまま、あるいは欠落したかたちで再構成されます。熱帯雨林の高い温度に黒染んだ岩肌、熱い太陽に射られて乾燥し、ボロボロと崩壊していくテラコッタ色の土肌が、ひとつの作品の中に繊細に表情豊かに表されています。
見る者は一瞬のうちにアジアの、エジプトの、メキシコの、アメリカの、遺跡や遺構の前に立ち返ったような既視感に幻惑されます。いにしえの風に吹かれたような壮大なイメージの作品です。
北村信樹

2010年ガレリアセラミカ会場風景

北村信樹

北村信樹

作家の北村信樹は、陶で作品を制作するようになって15年になります。美大在学中に交換留学生として滞在したオーストラリアで、エアーズロックに出会います。もともと自然に興味があって訪れた場所でしたが、朝に夕に光を浴びて目まぐるしく表情を変えるその岩山の色彩の圧倒的な美しさ、太古から続く記憶がよみがえるような存在の巨大さに畏怖の念を憶え、自らもいつかそうした作品をつくりたいと制作を重ねてきました。
これまで関西を中心に発表を重ね、数々の公募展で入賞しています。今回が東京での初個展となります。存在の痕跡、記憶、滅びの美しさをたたえた作品をぜひご覧下さい。
北村信樹

北村信樹

インタビュー
2010年5月16日 インタビュー:大橋恵美 (INAX文化推進部)
大橋 北村さんの作品は公募展では拝見していましたが、ご本人に出会うのが遅かったです。作陶を始めて15年ほどになりますが、ずっと京都大阪を中心に発表されてきて今回初めて東京での個展となります。もっと早くとは思いませんでしたか。
北村 東京でやりたいという気持ちは当然あったのですが、正直言うと僕自身はまだ早いと思っています。僕のペースとしては40歳くらいでできたらいいなと。
発表はしたいです。だけどそこで自分のペースが狂ってしまうと振り回されてしまうので。僕としては40歳くらいでできたら、そこからもっともっと展覧会はやっていきたいなと。
大橋 先は長いですよね。土をムクで使った遺跡のような作品は最初からですか、大きな作品ですね。
北村 最初からです。一番のきっかけは大学院の2年の時に半年ほどオーストラリアに行ったことですね。
大橋 陶芸の交換留学生としてオーストラリアというのは珍しいのではないですか。
北村 ヨーロッパやアメリカ、他の国もありましたが、僕は自然が好きで自然を見るためだけに行かせてもらったようなものです。単位のために作品もつくっていましたが、半分くらいは旅行をしていました。
その中で、やっぱりエアーズロックは震えがくるくらいすごかったですね。夕方からが特にきれいなのですが、日が暮れてからもっと大きくなってきて、その瞬間に早く作品がつくりたくなってしまって帰ろうと思いました。戻るまで車で2日間かかったんですけど。それでつくったのが1997年の「痕跡−いつの日か−」です。
大橋 痕跡というタイトルで、周辺に壁のようなものが残っていて、燃やした跡のような内側には何もない。野焼きですか。
北村 野焼きです。土も牧場の土を使いました。
大橋 このあとに発表した作品も野焼きのような表情です。壊れかかったのがすごい迫力ですね。
北村 今はもうやりませんが、オーストラリア以来、一時期野焼きにはまっていました。
大橋 そして徐々に作品もパーツや、地層や断層みたいなものに変わりましたね。
北村 ただ、本当の自然を求めていこうとしているわけではありません。大学のときは自然そのものに対する感覚、例えばエアーズロックを見たときの感動を作品に感じたいという気持ちが強くて、大きいものに憧れていったのですが一時期行き詰まった。自然と闘ったらダメだとも言われて、勝てないのは重々分かっているんですけれども色々考えて悩んだときもありました。今は、自然と勝つ・勝たないではなく、もう一度そのときの感覚を感じることは不可能ではないと思っています。そこからまた気持ちよくつくれるようになってきました。
大橋 2005年の作品になってくると、人工的な建築物の破片のように直線やエッジがたってきますね。
北村 自然によって影響を受けた、人間のつくったもの。そういうのも気持ちがいいんです。人間の痕跡であり、自然の痕跡。その二つの痕跡だと僕は思っています。
大橋 建築や遺跡はよく見に行かれますか。
北村 ボロブドゥールやプナンバナン、インドネシアには何回も行っています。この前地震で遺跡がつぶれていて、地震の前はすごくきれいで大きかったのが崩れて、そっちのほうが絶対的にカッコいいと僕は思ったのですけれど、コンクリートで修復していました。エジプトもいつかは行かねばと思っています。グランドキャニオンも行きたいですね。
大橋 でも廃墟というタイトルにはしない。前向きですね。2006年の作品はレンガのようにピンク色がかっている。なぜ急に色彩が入ったのでしょう
北村 もともとの土の色ではなく化粧と釉薬です。赤い土の、レンガ色が好きなんです。この時の色はあまり好きではなくて。本当はもっと大きくて暖かい、エアーズロックの色が欲しいんですが、あの色は出せない。それを求めた時期があって、まだ残っている。
大橋 2008年くらいには岩壁が倒れたような作品が出てきます。ばたんと倒れたときの大きな音や土煙みたいなものも聞こえてきそうです。
北村 これは実際に元々ひとつのものとしてつくっています。片側をつくり終えたら上に粉を吹いて、固くなってから柔らかい土を乗せていきます。そうするともう片側面ができあがるわけです。固くなってから粘土を貼り付けてそこから捻ってきたり、相対するものになっていく。破片の部分も後で剥がしているんです。剥がす行為というのも僕にとってはすごく気持ちがよくて、最初にできあがった時は全くの直方体でできてくるので、ある意味自分でも想像できないことがたくさんあります。全部パーツで焼いて、壁として立てるときはボルトで固定します。
大橋 アトリエは垂直に立つ端正な北山杉に覆われた環境で、北村さんの仕事とは真逆な部分も感じられます。環境には左右されないほうですか。
北村 ここでやっていることによって感じる部分というのはたくさんあります。川の岩に穴を開けて割っては割り口を見たり、そこに石膏を流してみたり、そういうことはここにいなくちゃできない。
大橋 ずっと京都にいらして、京都は人間の生活スケール感の都市だと思うのですが、雄大な自然に惹かれるようになっていったのは理由があるでしょうか。
北村 僕自身が体も大きく、大きいものに憧れるところもあると思います。でも昔は本当に体も小さく気も弱かった。大学でこういう世界に入ったとき、自分の弱い部分というのを人に見られたくないという気持ちはすごく強かったし、人間としての大きさも含めて大きいものへの憧れが多分人よりも強いんです。元々強い人はそういうところにわざわざ憧れないと思う。今でも芯としてはそういう弱い部分が残っていて、それを見られたくないというのは絶対にある。
大橋 アーティストには弱さというのも一種の強みで、だからつくれるというのもあります。
北村 僕は人には弱さを出してないですね。感覚的に昔の弱さというのはなくなったと思っているときの方が多いですけどふっと出てくる。大きな作品を展示したときに、すごく迫力があって、これは自分がつくったんだと思ったときに、胸のあたりが熱くなってきます。そして次のことを考えます。展覧会が始まって、だいたい一週間から十日くらいで次に移行できるとベストです。
大橋 ずっと痕跡という作品で、もう15年ほどつくられていますけど、次々と飽きずにつくっていけるテーマなのでしょうか。
北村 そうですね。このテーマはしばらく、今は変る気がしないですけれども、いつか変わっていくかもしれないです。まだわからないですけれども例えば僕が70、80才になったときにならないと、自分の作品がどういう流れでつくられていたかというのはわからないですね。
大橋 それが楽しみでもありますね。
作家略歴
1972 京都生まれ
1996 京都精華大学美術学部陶芸専攻卒業
1997 オーストラリア国立大学キャンベラ美術大学留学
1998 京都精華大学大学院美術研究科修了
京都に築窯、京都精華大学非常勤講師
個展・グループ展
1996 (ギャラリーマロニエ・京都),2009
1997 (オーストラリア国立大学ギャラリー・キャンベラ)、(キャンベラ市牧場)
二人展(ギャラリー射手座・京都)
2000 個展(ギャラリーすずき・京都)
2001 Session(大阪府立現代美術センター),2001,2002 ,2004
比良から新しい風を(比良美術館・滋賀),2001
2003 無限の源展(守山市民センター),2006
2004 京都国際交流展(京都市美術館)
2005 京都府美術工芸新鋭選抜展―2005新しい波―(京都府文化博物館)
無限の源展(尼信博物館・兵庫),2006
個展(アートスペース感・京都)
2008 個展(石田大成社ギャラリー)
公募展
1993 朝日陶芸展、1999、2000,2001.2002
2000 日本現代陶彫展
2007 神戸ビエンナーレ
パブリシックコレクション
京都第二回生病院、静岡県御前崎市役所

ページの先頭へ

LIXIL Link to Good Living

Copyright © LIXIL Corporation. All rights reserved.