やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

金 理有 展 -ceramics as new exoticism-

金 理有 展 -ceramics as new exoticism-

2010年6月4日(金)〜7月6日(火)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  6月4日(金)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

Photo: 2008年 H35×W22×D22(cm)



展示会概要
金理有

 

金理有 金理有

 

金理有の作品は、カッと大きく見開いた「一つ目」が印象的な、黒いメタリックの壷形の陶のオブジェです。大きさは高さ30〜80cm。黒色や燻銀色の中に、油膜を張ったような七彩がきらめく滑らかな土肌は、一見して金属を連想させます。表面を端正な幾何学模様の溝で埋め尽くされた作品では、未知の高い文明がもたらした宇宙船のような、ダイナミックなイメージを感じさせます。その独特の造形性と、素材の完成度の高さから、力強い存在感のある作品です。
金理有は大阪芸術大学大学院で陶芸を学んだ30才の作家ですが、すでに数多くのグループ展、個展などで高い評価を得ています。
その制作ソースには、同時代のヒップホップ、ブラックカルチャー、妖怪、SFアニメや映画の影響があります。また陶芸を始めてから、縄文土器や青銅器にも惹かれ、未来的なニュアンスと古代的なニュアンスがミックスされたものを考えて制作をしています。強烈な「一つ目」は、陶芸では土の「肌」や壷の「口」、「肩」と、擬人化した名称を使うことから連想した具象的なモチーフに、独自のイメージを加えたものから生まれました。
最近では壷形だけでなく、150cmほどの丸みを帯びたテント形の作品や舟形などの作品も制作され、次々と具現化されていくその世界の豊かさ、広さ、楽しさを感じさせます。
今展ではインスタレーションを含んだ2点を展示致します。 金理有の新作をぜひご覧ください。
金理有

金理有

2010年 ガレリアセラミカ会場風景

インタビュー
2010年4月11日 インタビュー:大橋恵美 (INAX文化推進部)
大橋 セラミカで開催する同世代の作家の中でも、金さんの土の表情は他に見られない感覚があります。どうしてこのような作品をつくるに至ったのでしょうか。
造形的な要素として、陶芸を始める前にストリートカルチャーとか、SFのアニメや映画の影響を受けていたんですけど、陶芸を始めてから、縄文土器や青銅器を見て惹かれるようになりまして、未来的ニュアンスと古代的なニュアンスをうまいこと消化してミックスできないかなというのがあります。
SFが好きなので、かたちもかっちりしたもので金属的な質感が好きなんです。それで最初は金工へ行けばよかったかと迷いもあったんですけど、釉薬はもともと金属分で発色させるので、それを過剰に混ぜてやると金属的な質感になることに気づいたんです。でも金工の人は金属ではこの色は出せないと言うので、やっぱりやきものでしか出せない表現なのかな。
大橋 なぜ土、陶芸だったのでしょうか。最近は美術の表現手段として陶を選ぶ方が少なくないのですが。
自分自身の造形性。たぶんそれが近いと思います。
始め芸大だったら楽しんで大学生活を送れるかなと思っていこうとした時に、絵画科に入ろうとしたんです。でも1年目はちゃんとデッサンなど勉強していなかったので落ちて。2年目の受験の少し前に、父親の仕事について台湾に行ったんです、遊びがてら。台北で泊まったホテルのすぐ下に画廊があって、たまたまやきものの展覧会をやっていた。造形性のあるものが並んでいたのですごくびっくりした。人体や顔のモチーフが多くて、あとは抽象的な土のモチーフとか。こういうのをやったら面白いんじゃないかと。それで陶芸も受けたんです。
でも、最初は素材が思い通りにならないとか、焼き上がりの色が全然予想していたのとは違うとか、すごく不満があった。3回生くらいから、なぜ土でつくるのか先輩に聞かれたり、先生方の考えを伺ったりして、いろいろ考えているうちに、手に技術もついてきますし、予測して結果も出せるようにもなって、そのへんからやきものにはまっていきました。
大橋 SF的モチーフを使う人も少なくないのですが、結構キッチュだったりします。金さんの作品には土だからか釉薬だからか、祭器のような厳かな感じがありますね。
それは素材感の強さがあるのだと思います。
大橋 目玉の印象が強烈ですね。
人体の近似性という話に繋がると思うんですけど、実際に人体のパーツをつけたら、よりおどろおどろしくなるかなという思いがあったからです。あと、目や耳、口のモチーフをつけた、奥の暗闇の部分が自我の比喩のように感じているということもあります。
それは、他人は金理有という人間を、内面もありますが外見や服装などの雰囲気で認識していると思うんですが、僕は自我は幅広く分散した、目には見えない量感のような、たっぷりとした存在感に感じるんです。やきものは内側を空洞にすることが多いので、その内側の暗闇の部分が、もしかしたらそういったものを表現し得るんじゃないかな。
大橋 お洒落な妖怪みたいで、未来の一つ目親父はこうなのかなと思いました。
どこにも展覧会が決まらなかった頃に、レントンゲンヴェルケの池内さんが唯一すごく面白がって反応を示してくれたんです。80年代のサイバーパンク小説の中に出てくる地蔵がいて、僕の作品を「これ、まさに俺がイメージしていたやつ」って言ってくれてすごくテンション上がったんです。
まわりの装飾は青銅器の「饕餮文(とうてつもん)」という文様がすごく好きで。あとはストリートカルチャーの中のグラフィティアートとかタトゥーとか、電子基板の配線のようなイメージです。そういうものが色々入ってこういう感じになっているんだと思います。 でもなぜか左目なんですよ。僕自身、人に指摘されるまで気がつかなかった。でもつくる時っていつもわからない。できてから、あれから影響を受けているのかなと思うことが多いです。コンセプトからつくるというのはないです。タイトルもほとんど展覧会の度に変わります。
大橋 一見すると器や壷みたいなかたちなのですが顔が見えるような。人体との近似性という言葉がありましたが。
僕にしたら昔の青銅器とか明治時代の万博美術とか、取っ手のところがものすごく装飾されていて、それがロボット的に見えたり、胴体に見えるんです。
不思議なことに壷のパーツは、口とか肩とか、なぜか人体の名称がついていて近似性が感じられる。最初にそのことを聞いた時は驚きました。
大橋 壷形であることは意識していますか。
意識はしていないんですが、どうしてもそのかたちに近づいてしまう。スケッチしても、実際にパーツの位置を決める途中で変わってしまう。つくり出すと上に行くしかないので、それで壷になるのかな。そこは変えていきたいと思いますが、シンメトリックやシャープな造形が好きというのはずっと変わらないです。
大橋 メタリックな釉薬ですが、ラスター彩はINAXギャラリー1でハンガリーのジョルナイ工房の作品で紹介したことがあるのですが、日本ではなかなか受け入れられないですね。
あまりピカピカしたものって好まれない部分ってありますね。
3回生の時に初めてこれに近い作品をつくったんです。瓦の燻銀みたいな色を還元で出した。ひび割れた釉薬を金属磨きのグラインダーで磨いて光らせたり、うろこみたいな感じにしたり、剥がれ落ちた焼き締めの生地に銀彩を塗ったりして、こうしたメタリックな感じが出てきました。
大橋 技術が高まって自分の世界がつくれ、再発見はありますか。
あります、失敗した中から新しい表現を見つけます。
陶芸は100%自分の表現ではなくて、技術によって変わる。最後に物理的なすごく大きな力を借りて、ものをつくるっていうのはすごい感動です。焼いている最中の窯を開けた時に、熱されて、赤く黄色く火の塊になっているのを見て、美しいなと思います。
大橋 金さんには黒色だけでなくて、鮮やかな色彩の世界もあるんですね。
これは2008年の作品ですが、今目玉に使っている技法です。
折れてしまった作品があって、それを接着剤でつける時に、本当なら乾燥段階がいるんですけど、いきなりガスバーナーで炙ったんですね。そうしたらまわりが虹色に変わった。そこからテストを繰り返して出来たんです。金工の人に聞いたら、銅も火で炙った時にそういう色が出るが、金属だと酸化して退色するらしい。釉薬の場合は色が落ちない。たぶんガスの炎で部分的に還元が掛かっているから。
大橋 カラフルで印象派のような色彩ですね。
でも、本焼き後に火で炙るので温度差で割れることが多いんです。あまり大きなものになると割れるので、未だなかなか完成が難しくて引き出しにしまってあります。
大橋 金さんの中にはまだまだ引き出しにしまっているものがたくさんありそうですね。 これからも楽しみにしています。
作家略歴
1980 日本人の父、韓国人の母のもと大阪府に生まれる
2004 大阪芸術大学 芸術学部工芸学科陶芸コース卒業
2006 大阪芸術大学大学院 芸術制作研究科修士課程修了
同大学院芸術研究科研究員
2007 同大学院非常勤助手
個展
2004 STINKY FLAVOR(ギャラリー白3・大阪)
2005 金理有TOUGEKI展(カフェ&ギャラリーGARASHA・京都)
2006 宇宙で迷子LOST IN THE UNIVERSE.(ギャラリー白3・大阪)
2007 韓流に游ぶ 金理有 陶展(游間納屋・兵庫)
CERAMIX&GRAPHIX(ESPRESSO BAR BANCO・大阪)
2008 「R.I.P」(neutron・京都)
2009 臨界点(neutron tokyo・東京)
色即世代(gallery TAO・東京)
グループ展
                   
2002 DOWN TOWN(club DOWN・大阪)
2003 Pulling from the earth(インテックス大阪・大阪)
2004 いけばなコラボレーション(OAPタワー・大阪)
秩序と反秩序(比良美術館・滋賀)
第5回益子陶芸展(益子陶芸美術館・栃木)
2005 第3回66展−近代建築とアート(細野ビルヂング・大阪)、2006、2008、2009にも同展
国際陶磁器展美濃’05(セラミックパークMINO・岐阜)
CONTACT4(滋賀県立近代美術館・滋賀)
亀岡あかりアートプロジェクト(すみや亀峰菴・京都)
2006 第18回織部の心作陶展(セラトピア土岐・岐阜)
アートと技の競演−くらしの工芸展(近鉄百貨店アート館・大阪)
第46回日本クラフト展(東京駅丸の内口丸ビルホール・東京)
朝日陶芸展(大阪ほか)
SPICY LIFE!!(ギャラリー百音・大阪)
2007 とよた美術展‘07(豊田市美術館・愛知)
箱展(ギャラリー北野坂・兵庫)
陶のかたち展(ギャラリー北野坂・兵庫)
フタのあるカタチ展(ギャラリーVOICE・岐阜)
まいどinなんば(なんばPARKS・大阪)
アートな贈り物展(ギャラリー集・京都)
2008 なうふ坂アートフェア(ギャラリーなうふ・岐阜)
トッテのある形展(ギャラリーVOICE・岐阜)
2009 Ceramic Proposition/陶芸の提案(ギャラリー白・大阪)
若武者12人の茶碗(さかづき美術館 ギャラリー宙・岐阜)
へうげて、暮らすか(HOTEL CLASKA・東京)
アジア現代陶芸ー新世代の交感(愛知県陶磁資料館・愛知)
ART OSAKA(堂島ホテル・大阪)
神戸ビエンナーレ2009・現代陶芸展準大賞受賞(神戸メリケンパーク・兵庫)
ISETOYAN(伊勢丹新宿店・東京)
へうげものin Nagoya(松坂屋名古屋本店・愛知)
2010 MEGYUWAZO(ルーサイトギャラリー・東京)
JOMONISM ART展(エコファームカフェ632・東京)
陶ism(益子陶芸倶楽部・栃木)
上田流和風堂特別公開展(上田流和風堂・広島)
Ceramic Proposition/陶芸の提案(ギャラリー白・大阪)
その他
2004、2005 関西国際空港にて4ケ月間作品展示(関空ラウンジ・大阪)

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