やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

新宮さやか 展 −陶 黒い蝕花−

新宮さやか 展 −陶 黒い蝕花−

2010年2月5日(金)〜3月2日(火)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 2月5日(金) 18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

Photo:「枯れた時間の蝕」 左H22×w52×D52cm  右H35×W41×D38 cm  2009



展示会概要
新宮さやかの作品は花や実のかたちをした黒い陶のオブジェです。
その特徴は、本来色とりどりである植物がモノクロ写真のように黒色に置き換えられていること、花芯などの部分が独特の針状のもので埋め尽くされ、別の生きもののような生命力を感じさせることです。
針状の部分は、風に波立つようにうねるかたちがダイナミックで、大きなムーブメントを感じさせます。フォルムはハスの葉や実、ダリヤやカメリアなどを思わせますが、いずれも30cmほどの大きさがあり、熱帯ジャングルの巨大植物のような迫力です。一方で黒く乾いて枯れた色合には死を連想させる暗いイメージがあり、生と死の両面を合わせもった不思議な作品です。
新宮さやか

2010 INAX ガレリア セラミカ会場

新宮さやか 新宮さやか

 

新宮さやか 新宮さやか

 

新宮さやかは美術大学で陶芸を学び12年になります。
黒色の理由には、やきものの儚いイメージを払拭する強い存在感をつくりたかったと話します。また飽くことなく何千本とつくられる針状の部分は、装飾から始まり、今では柔らかな触感を象徴するものとして、土をモチーフとして制作をする醍醐味を感じています。
今展はこれまでに公募展などで受賞を重ねながら、東京では個展を開催してこなかった新宮の発表の機会となります。黒一色でありながら艶やかな存在感を放つ、新宮の作品をぜひ会場でご覧下さい。
新宮さやか

新宮さやか

インタビュー
2010年12月14日 インタビュー:大橋恵美 (INAX文化推進部)
大橋 新宮さんの展覧会をやりたいと思ってから、足掛け5年かかりました。今おいくつですか。
新宮 30歳です。大学を卒業して8年経っています。卒業して陶芸の森へ行くまでに2年間空白がありました。
大橋 美大に進んだきっかけは?
新宮 とにかく何かものがつくりたくて芸術大学に行きました。本当はデザインをやりたかったんです。自分のことをよくわかっていなかった。陶芸に入って最初は迷ってやっていたのですけど、3回生の自由制作から楽しくなって。
大橋 2年間の空白の理由は、何でしょう。
新宮 楽しさが見出せなくなった。でも何かをつくりたいというのが強くあって、思い切って陶芸の森に行ったら、とても自由で、そこからすごく楽しくなり出しました。
大橋 陶芸の森で作品制作をしてからは、すぐ公募展にも出品しましたね。「枯れた時間の蝕」の作品はこの頃つくり始めたんですか。
新宮 陶芸の森ではスペースに恵まれていましたし、何も考えずに好きなものをどんどんつくっていました。「枯れた時間の蝕」は一人で京都に出てきてからの作品です。地元の大阪で窯を借りられず、とりあえず借りられるところを探して京都に来ました。
大橋 この作品が生まれた経緯をお聞かせください。
新宮 まず、細い部分は一本一本手びねりで針のようにして何千本何万本とつくります。最初は文様として始めたんです。
大橋 文様とフォルムの関係はどうなりますか。
新宮 柔らかく静かなかたちで感触的なものをつくれたらと思いました。すごく暗いって言われたのですが、私はそれがつくりたかったんです。
大橋 白の作品なのに暗いって不思議ですね。2006年の個展は、白い鳥が翼を広げて羽ばたくような感じがあります。
新宮 ちょっと清らかすぎました。時間の積み重ねを感じるようにしたかったんです。
大橋 この一本一本がまさに時間の積み重ねですね。先につくっておくのですか。
新宮 一本つくってはつけていきます。周りの皆からは“そば”と呼ばれています。
大橋 乾いているときの状態が乾麺みたいなんでしょうか(笑)。乾燥速度との競争ですね。最初につける場所は決めているのですか。
新宮 ある程度決めています。土台とこの“そば”の部分が別と考えてしまうのが自分の中でずっと問題で、なかなか二つが一緒に合うようなものができないんです。
大橋 そこで、装飾として貼り付けるようになった。
新宮 うねりというか、吸い込まれていくかたちだけをあらわしたようなイメージです。
大橋 2007年、いきなり作品が真っ黒になる。なぜ黒にしたくなったんですか。
新宮 もっと強いものをつくりたくなった。白だとやきものの儚さとかが余計に出てしまうので、黒がすごく自分の中でしっくりしたんです。
大橋 黒陶か何かに変えたんでしょうか。
新宮 黒陶ではないです。土に大正黒を混ぜて、釉薬をちょっとだけ使っています。大正黒の比率を変えながら黒の中の墨のグラデーションをつくっています。
大橋 黒の作品も、中心の密度の迫力とそれ以外のバランスですごく悩んでいる。解決されていない感じが伝わってきます。
新宮 完全に迷っている状態ですね。
大橋 そのあと2008年になって、かなりまとまってきて悩みが解決されてきた。植物の種や花びらのかたちに集約されて、華やかに複雑に、サイズも大きくなって見応えがあります。拝見した時に杉浦康益さんの方に行きつつあるのかなと思いました。“そば”をつくるのは飽きたりしないですか。
新宮 一個つくるともうイヤだ思うんですけど、次をやりだすと忘れます。
大橋 どんな想いを作品に込めているのでしょう。
新宮 枯れて、朽ちてしまったある時間の中に、リアルに存在する「触感」のようなものです。
大橋 焼成したときには最初のイメージとは変わるんですか。
新宮 変わりますね。焼いていくごとに水分が飛んでいってイメージが変わってしまうので、つくりたての生々しさを出したいとは思っています。 焼くことによって、どんどん枯れていきます。
大橋 でもやきものである限りは焼いて表情が変わるというのが最終目的地ですよね。
新宮 そうです。だから焼くことによって良くなるように持って行かなければとは思っているんですけど、なかなか辿りつけない。もっと回数をつくって焼かないと。
大橋 やればやるほど現実と理想が近づいていきますよ。それはやりがいがあるし素晴らしいことと思います。
大橋 新宮さんは好きな作家さんとかはありますか。
新宮 杉浦康益さんは陶芸の森ですごくお世話になったこともあって、人も作品も好きです。
大橋 作品にはすぐに出ませんでしたね。最近の方が杉浦さんの影響を感じます。
新宮 最初の頃は自分の中で何が好きなんだろうと模索中でしたから。女性の作品は感触的で好きです。落ち着いたものが好きですね。
大橋 新宮さんの中の暗いものって何でしょう。
新宮 気持ち悪いとか言われますが、私にとっては褒め言葉。爽やかできれいな、すがすがしいものはあまりイメージじゃないんです。
大橋 水の中の動物というか、湿った土の中の動物みたいなところもあると思います。そういうものは見ますか。
新宮 子供のときにミミズとかは見ていました。箱にひとしきり集めたり。蛇も好きです。
大橋 多分そういういろんなものがこれからも出て来るのだと思います。それを突き詰めていったらいい。お会いしてから随分時間が経っていますけど、ずっと続けてくエネルギー源というのは。
新宮 やめていた2年間のつらさというのがあります。つくれないのでなく、つくらない。もうどうやっていいのかわからなくて、真面目に考えすぎていた。陶芸の楽しさがまだわからなかったんですね。自分の中にもっといろんなことを試したいという選択肢もたくさんあったのでしょうけど、結局なにもつくっていなかったんです。
大橋 それはつらいですね。考えるより先に手が動いていればかたちがあとからついてくる。特にこのいろんなメディアがある時代に、やきものをやっている人はその辺の手触り感を求めていることが多いですから。戻れてよかったですね。
新宮 その喜びでずっとやっているような感じです。応援してくれた両親にも本当に感謝しています。
大橋 これから30代になってますます楽しくなると思います。
新宮 頑張ります。ずっと続けていきたいです。
作家略歴
1979 大阪府生まれ
2001 大阪芸術大学芸術学部工芸学科陶芸コース卒業
2002 滋賀県立陶芸の森 創作研修間
個展
2005 ギャラリーマロニエ4(京都)
2006 ギャラリーマロニエ4(京都)
2007 立体ギャラリー射手座(京都)
グループ展
2003 朝日陶芸展
2006 CONTACT act5
日韓若手陶芸作家交流展ギャラリーカク(韓国・ソウル))
朝日陶芸展
2007 thing matter time 信濃橋画廊(大阪)
2008 京都工芸ビエンナーレ 京都文化博物館(京都)
わかもん展  ギャラリー陶彩(東京)
公募展
2004 第42回朝日陶芸展 入選
2006 第44回朝日陶芸展 入選
2008 京都工芸ビエンナーレ入選
現在京都にて作陶

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