やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

福本 歩 展  -フクモ陶器 晩餐会-

福本 歩 展 -フクモ陶器 晩餐会-

2009年12月4日(金)〜12月21日(月)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 2009年12月4日(金)18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

Photo:「擬物館」 2006 個展展示風景



展示会概要
「寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。そこのあなた!
寒い中、ペットボトルでお茶を飲むなら、これをお使いなさい!
フクモ印の「急須キャップ」は、小さいけれど白磁でつくった本物の急須。ペットボトルのキャップに付けるだけで、まるで急須で入れたかのような気分が楽しめますよ。」

そんな呼び込みの声が聞こえそうな、福本歩(Fukumoto Ayumi)さんの陶による作品は見たことも、聞いたこともない道具ばかりが何十種類と並んでいます。
展示方法もお店仕立てで、一見すると古道具屋か、骨董品店と見紛うばかりです。
曰くありげでちょっぴり猥雑な品々にワクワクして品定めてみれば、なにやら由緒正しきやきものの肌合い。箱も桐箱、紫色の袱紗に包まれて、鑑定団に持って行きたくなるような品々。しかしそれら全部がみな、用途のわからない不思議なものばかり。

「線香時計」は、腕時計の時計があるべき所に、青磁や金箔の小さくも立派な器が。そこに線香を立て、アナログに時間を計るばかりか、お墓参りの時にもこのままご焼香できて超便利という作品です。
「風景そろばん」は骨董品の本物のそろばんの玉を、福本さんの陶器に置き換え、チャーミングなアラビアンナイトの物語や吉祥文様の白菜が並んでいます。
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福本さんが、毎年製作している商品カタログ「ハンドブック」によると、「フクモ陶器はいつも、ウソのモノで人をだましたり、世間をあっと言わせたりしたいと思って」こうした作品を制作しているのだそうです。また、「既に道具として役に立たなくなった古道具を、さらに役に立たないように改良して、人に売りつけてやろう」と日夜考えています。  そうして生まれた作品は、ユーモアにブラックユーモアの毒気も効いて笑いがこぼれます。陶器にまつわる歴史や窯元や骨董品の曰くまでをも逆手にとったセンスは絶妙で、こり固まった頭や体がフワフワと溶けていくような気持ちよさです。

福本歩さんは美大で陶芸を学びましたが、幼稚園の頃から、仏壇で人形遊びをするなど、ブラックユーモアやナンセンスが大好きだったそうです。2年前の2006年頃よりこうした作品を制作し始め、今年10月の東京ミッドタウン・アートアワードで入賞するなど、その笑いのセンスは人々を虜にせずにはいられません。

今展では、12月のクリスマスシーズンにちなんで、「晩餐会」をテーマにした新作が発表されます。 ぜひ会場に足を運んで、フクモ陶器店からプレゼントを選んでみてください。 あなたの株が上がること、請け合いです。
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2009 / INAX ガレリア セラミカ会場

インタビュー
2009年5月8日 インタビュー:大橋恵美 (INAX文化推進部)
大橋 2007年に愛知芸術センターで初めて作品を拝見しました。あのコーナーだけ既存のショーケースに入っていたので、最初、誰かの骨董品なのかなと思いました。でも近づいてみたらすごく面白くて感動しました。最初に多摩美で陶芸コースを専攻された時から、こういうものをつくりたいと思っていたんですか。
福本 いいえ、最初はあまり考えて入ったわけではないので、いわゆるオブジェ的なものをつくっていたんです。これがその頃の作品なんですけど。
大橋 この作品ファイル、飛び出す絵本みたいで面白いですね。
福本 作品は全部陶でつくっています。この時は箱が大好きだったので、その中に有機的なものを コンパクトに詰めて機能しているみたいなものでした。
大橋 ちょっと臓器みたいですね。
福本 臓器ではないんですが、有機的なもの。
大橋 タイトルはなんですか。
福本 「箱」、ですね。中に水を入れてプカプカ浮かせた。
大橋 そっけなさがまた。(笑) やっぱり最初からこういうオブジェだったんですね。
福本 多摩美に入ると、取り敢えずオブジェなんですね。普通に疑問も持たずこういうことをやっていた。
大橋 2002年に「蟹工船」というタイトルでつくっている。相当面白い。
福本 (笑)早過ぎましたね。ガラスを使う授業でつくったんです。その後コンセプチュアルな方にいってみたりして。
大橋 福本さんの作品は今、大まかに分けて3つのシリーズになっているんですね。無用シリーズ、ニュー骨董シリーズ、フューチャー骨董。どこからつくり始めたのですか。
福本 「ご飯つきカレー皿」というコンセプチュアルなものをやったのが最初です。 その後、それは止めてしまって無用なものを。使えそうで使えないものを。
大橋 ひとつつくって、もっとこういうものをと進むんですか。
福本 適当につくるというよりも、最初にコンセプトをしっかり決めた方が自分には向いているし、いい物ができるなと思ったんで。陶器について考えて、使えそうで使えないものをつくるぞって考えて、ドローイングして決めてからつくります。その後しばらくそれを続ける。
大橋 「フクモ陶器ハンドブック」を読むと、だましてやるとか、いやがらせをしてやるとか書いてあるじゃないですか。
福本 それは私のもともと持っていた素質なんでしょうね。
大橋 でも笑う人が多いですよね。笑うというのは一番良いリアクションだと思います。これは何と、わからないところにいきなり惹き付けられるんだと思います。もともとだましてやろう、驚かしてやろうというのが楽しいんだと思うんですけど。
福本 そうですね、子供の時からそれは。呪いの手紙を書いて友達に送ったり。もらった人は泣いていましたよ、子供ですからね。幼稚園くらいから。両親がサラリーマンと公務員でした。母親が教員だったので、要らない紙とかいっぱいあったので、つくると、母が端から捨てるみたいな。
大橋 夥しく出来て来るからとっておけないから捨てようと。
福本 小さい頃体が弱くてよく学校を休んでいたんですね。で、現実の世界が嫌だったんでしょうね、参加できないし。それで家で仏壇とか見て妄想したり。仏壇にひいおばあちゃんがいるんだよとか言われると、住んでいるのかと思って、小さい人形をつくって入れてみたり。親は学校休んでこんな事ばかりしてと、心配していたみたいですよ。親からつくったものを捨てられたから、今もその延長でつくっているのかも。
大橋 お店屋さん形式になったのはいつからですか。
福本 「フクモ陶器大バーゲン(BANKART NYK、2007年)」からですね。愛知の前で忙しくて会場にいられないなと思って、料金箱をつけて、野菜の無人販売みたいな感じにしようと思った。そうしたら売れていて。ごまかしたり全然なくて、むしろお釣がないからと多く入れていたり。
大橋 何が売れていますか。
福本 人気なのは「急須キャップ、湯呑キャプ」
大橋 すぐに使えて、持ち歩けて話題にもなる。コミュニケーションツールになりますよね。急須とか湯呑とか皆和風な感じなのは。
福本 陶器についてすごく素人目線なので、陶器にまつわる、何焼きとかそういう所が面白いなと思って。そういうことを含めたことをやりたいなとずっと思っていて。いわゆる曰くがありそうだ、歴史がありそうだ、そういう雰囲気を持ったものを。曰くは全然ないんですけどね、別に。
大橋 (笑)曰くがありそうでも、B級品みたいなところがすごく良いですよね。「白菜そろばん」はどうして大きな白菜を爪みたいな小さな玉にしたんですか。
福本 桃もよく使うんですが、いわゆる目出度いものに使われてきた吉祥の雰囲気があるので、使っているんだと思います。
大橋 多摩美の後に筑波大へ行きましたよね。どんなことを狙って行ったんですか。
福本 このままやっていてもなぁというのもあったし、別にやきものをやめてしまってもいいというのもあって行ったんですけど、たまたまやきものが出来る環境があった。それだから、どうしても続けたいということでなくズルズルと来てしまった。
大橋 でも、だんだん展覧会のオファーがくるようになって、出品すると思いがけないリアクションがありますよね。面白いでしょう。
福本 作品は、プレゼントで買っていく人も多いですね。こんな馬鹿らしいものを買っちゃった自分を見せたいと。お客さんはおじさんが多いですね。おじさんは役に立たないものが好き。それとやきものだから見てくれる人がいる。
大橋 骨董品屋さんのイメージもありますが、それはご自分が好きなんですか。
福本 自分が好きなこともありますし、さっき言ったように、ものだけでなくて、ものの周辺の曰くがあるような感じがいい。それで骨董市で買ってきたものを利用して作品をつくったりもしているんです。そもそも何に使っていたかわからないものに、プラスをするので、もう何が何やら(笑)。
大橋 福本さんの作品は骨董屋さんに入ったみたいで、ワクワクします。何が出てくるかわからない所を探検するみたいな。それに言葉がすごく面白い。造語というか。商品名はいつ考えるんですか。
福本 タイトルというか、名前は最初に決まるのが一番多いです。最後までピンと来ないとあまり結局良くないです。
大橋 いろんなタイプのものをつくられていますが、自分ではどの方向性のものが一番好きですか。
福本 ずいぶん前ですがINAXの「道具の謎とき」展のブックレットがすごく好きで、かなり影響を受けました。あの中のものにはびっくりしました。
大橋 福本さんには常滑の「やきもの新感覚シリーズ」でも展覧会をしていただきますが、常滑ではどのような展示になるのですか。
福本 タイル博物館の方は博物館的に1点1点展示して、解説の掛け軸を掛けたりして、お寺に併設している宝物館みたいな感じで。陶楽工房の会場には実用性のあるものを。
大橋 福本さんの作品は、やきものを見て笑うことって滅多にないので、笑えるのが最大の魅力ですね。お店屋さん仕立ても、コミュニケーションがあって面白い。
作家略歴
1979 横浜市生まれ
2003 多摩美術大学工芸学科陶専攻卒業
2005 筑波大学大学院修士課程デザイン専攻総合造形領域修了
展覧会歴
2001 「ライスレスカレー」間島領一「食欲連鎖」会期中にパフォーマンス(川崎市立岡本太郎美術館/神奈川)
2002 「菜の花里見発見展」(千葉県)
2003 「多摩美術大学工芸学科卒業制作展(青山スパイラルガーデン/東京)
「CROSSING PATH」(つくばセンター・ペデストリアンデッキ/茨城)
2004 「新生ーFuture Creative Ceramics」(海岸通ギャラリーCASO/大阪)
「豚をはさむ機械の嘘」(exhibit LIVE/東京)
個展「福本歩展」(ギャラリー山口/東京)
2005 筑波大学芸術研究科修了展(つくば美術館/茨城)
国際アート交流展 in 東京&ソウル(プロムナードギャラリー/東京・弘益大学校美術大学展示室/韓国)
2006 中村錦平プロデュ-ス〈クレイコネクションbyフリータ-〉展(青山スパイラルガーデン/青山)
個展「擬物館」(SITE/東京)
2007 「For Rent! For Talent!3」(三菱地所アルティアム/福岡)
2008 「フクモ陶器大バーゲン」(BANKART NYK アーティストインスタジオ/神奈川)
「アーツ・チャレンジ2008」(愛知芸術文化センター/愛知)
「黄金町バザール」(黄金スタジオ/神奈川)
「群馬青年ビエンナーレ2008」(群馬県立近代美術館/群馬)
「UEKI・日常のさりげない緑」(旧クリスタルふくはら/沖縄)
「フクモ陶器:出張展示即売会」(来来/東京)
2009 個展「フクモ陶器店へようこそ」(INAXライブミュージアム/愛知県)
「東京ミッドタウン・アートコンペ入賞者展」(東京ミッドタウン/東京)

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