やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

玉置 りさ 展 -陶 The Mother-

玉置 りさ 展 -陶 The Mother-

2009年6月5日(金)〜7月2日(木)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 2009年6月5日(金) 18:30〜19:00

プレスリリースpdf_icon_s.gif ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。

Photo:  「THE MOTHER U」h75×w150×d200cm  2008



展示会概要
高さ75cmの陶の円柱数十本が、密着して幅150cmほどに広がり、木々の幹が密生した化石のような印象で置かれています。山から化石になった土魂を掘り出して、そのまま画廊に置いたようなダイナミックさで、自然の魅力を表現して、迫力のある作品です。
近づいて見ると陶の円柱は、紙をクルクルッと丸めたような乾いた柔らかさで、土色の中にも白やグレー、クリームやピンク色が混在し、繊細な表情をしています。
制作方法は、新聞紙を幾重にも被せて支持体をつくり、その周りに固めの泥しょうを染み付かせた布を巻き、それが完全に乾かないうちに窯に入れて焼成してつくります。表情豊かな土色の色彩は、鉄分からも生じますが、ほとんどが窯の還元焼成による偶然性によるものです。
玉置りさ
玉置りさ玉置りさ
玉置 りさ(Tamaki Risa)さんは、2006年に美大大学院を修了した若手作家です。
作品に見られるスケールの大きさは、実家が世界遺産の熊野古道にあり、巨木に囲まれて育ったことに発しています。幼い頃、描く絵は木の根っこばかりだったというエピソードからも伺われます。
2006年頃より現在の作品をつくり始め、硬い土、サラサラとこぼれる土、フワフワと柔らかい土と、土や陶のディテールもますます豊饒になってきました。熊野の記憶、地球の神秘に惹かれている彼女の作品は、これが作家自身のオリジナル・フォルムなのか、或いは力技で自然を再現する行為そのものが作品なのか、未分化ゆえに大きなエネルギーを感じさせ魅力的です。今展では「The Mother」の新作1点が展示されます。太古のイメージを持つ勇壮な作品をご覧下さい。
玉置りさ
玉置りさ

Photo:ガレリアセラミカ会場 2009

インタビュー
2009年4月7日 インタビュー:大橋恵美 (INAX文化推進部)
大橋 今回の展示は「THE MOTHER」の流れになると思いますが、このシリーズも昨年2008年と3年前の2006年では変わってきていますね。木の根みたいなものから軍艦みたいなかたち。
玉置 その間にもう1点制作しているんですが、2008年の時には起き上がるようなかたちへと変わってきています。
大橋 一番最初からも随分変わってきていますが、どんな想いがあったのですか。
玉置 一番最初に見て頂いた作品は2002年の卒展の作品「残存」です。
大橋 真っ白なギャラリーに真っ白な箱に入った作品で眩しかった。
玉置 その辺りで、だんだん作品がか弱くなっている気がして。神経すり減らしてつくっている感じがして、一回原点に戻りたい、土からつくり直したいと思いました。
大橋 「残存」は白土でしたか。
玉置 磁土です。
大橋 それは難しかったですね。
玉置 はい、実験の繰り返しで神経すり減らして。それにイッチンで搾り出すことも、結構精神的に疲れてきちゃった。すごく好きだったんですけど。
大橋 土だと面白がってやれて、あまり気も使わない。
玉置 そうです、それは展示することよりも自分のためにつくっている感じだった。 「残存」は床に置くのも難しくなってきて、もっと自立できるものをつくりたいと思った。
大橋 「守」のアンモナイトみたいなかたちでは何をイメージされていたんですか。
玉置 立体をつくる時には、陶器では内側と外側が必ずあるので、両方みせたいと思ったんです。内側にも面白さがあって、布を焼いた時の質感や、中の燃えたカスが残っているのも好き。でも立体には口と尻ができてしまうので、窯で焼く時には、できるだけそうならないようシャモットに埋めて焼いていたんです。 でも、そうしたら今度自立できないですよね。自立できないので、壁に展示することになった。でも、多摩美に来て自分自身でも制作を覆したいところがあった。もう一回、手びねりをしながら、新聞紙を巻きながら考えてみたんです。
大橋 つくり方はどんな風ですか。
玉置 新聞紙にさらに新聞紙を被せて支持体をつくって、その周りに固めの泥しょうを染み付かせた布を巻いていく。乾燥も何ヶ月かけても乾かないので、ドロドロのまま窯に入れてしまうんです。じゃないと乾いてパリパリになって動かせなくなってしまうので。重くて持てないので、そのまま引きずり入れます。
大橋 色調が焼き上がりはグラデーションが出ていたり、単調ではないですね。
玉置 鉄分の調整は若干しているんですけど、窯の還元のかかり具合です。
大橋 「華嫁」は和紙や新聞や色紙のクシュクシュとした質感が残っている気がしますが、どういうことを表したかったんですか。
玉置 大きな作品は芯の紙を抜かないと焼き切れないので、ほとんど抜いてしまうんですが、この作品は小さいので詰めっぱなしで焼いたんですけど、それでも焼き切れなくて残ったんです。
大橋 この大きさだと人が抱えられるし、可能性が広がる気がしますが。最初に自分の中にあるイメージは、大きなものなんですか。
玉置 はい、出来ることなら、もっともっと大きくしたいです。
大橋 どうして大きくしたいのでしょうか。
玉置 父が言うには、小さい時から絵を描かせると根っこばっかり描いていたそうです。実家が熊野の世界遺産の中にあるんです。日曜日になると山に連れて行ってもらった。泳ぎに行く川は清流で。その中にどっぷり浸かって育った。私は一人っ子だったので、一人遊びも上手で、山の中を探検していましたね。
大橋 原体験が巨木だったり清流だったり、ドキドキ、ワクワクするもののスケール感が違ったんですね。
玉置 もっと巨木を見たくて、山奥へ連れて行ってもらったり。そういうのが楽しかった。
大橋 それでは小さいものをつくるのは、違和感がありますか。
玉置 でも骨とか珊瑚とか、すごくカッコイイと思います。そういうものは際限がないですよね。真似ても、真似ても。 「忘我」は珊瑚を目指したかったんです。結局ひとつひとつ穴を掘って、それを目立たせないように化粧をして。化粧も塗るのではなくて、出来るだけ自然な感じになるように、スポンジで降り積もらせていった。そうしたものに勝てることはないと思いつつ、近づきたいという願望があるんです。
大橋 常々玉置さんはどこに行きたいのかなと思っていたんです。
玉置 それを言うなら、地球の神秘みたいなものを全部つくってみたい。適わないのはわかっているんですけど。
大橋 だから「THE MOTHER」というタイトルなんですね。
玉置 「THE MOTHER」は自分が見ていて、どこを見ても飽きないんです。素材の割れ方とか。
大橋 割れや色は、ある程度計算してできるのですか。
玉置 ほとんど計算できないです。意図しても確実に裏切られる。何回窯が壊れるかと思いました。棚板が落ちたり、わぁーと叫びながら引きずり出したことが何回もあります。
大橋 いまやっている行為は、命題が次々とやってくる修行みたいではないですか。
玉置 そうですね、積み重ねですね。「残存」の苦しかった作業をまた全身でやっているようなものです。焼いてやっと救われる。
大橋 熊野から京都へは陶芸家になるために行ったんですか。
玉置 そうですね、積み重ねですね。「残存」の苦しかった作業をまた全身でやっているようなものです。焼いてやっと救われる。
大橋 熊野から京都へは陶芸家になるために行ったんですか。
玉置 そうですね、積み重ねですね。「残存」の苦しかった作業をまた全身でやっているようなものです。焼いてやっと救われる。
大橋 熊野から京都へは陶芸家になるために行ったんですか。
玉置 そうです。実家がタイル施工店をやっていて、小さい時からやきものの破片で一人遊びをして、物干し台に一個一個ボンドでくっつけて遊んでいました。
大橋 もしかしたら、これからは森全体を捕らえていくような感じもあるのかもしれませんね。今は土を焼いたりしているけど。
玉置 そうですね。私も大学に入った時は、器をつくるんだという感覚だったんですけど、陶芸の世界って器だけではないんだと開いちゃってからは、目指すところがわからない。自分の好きなようにやるしかない。たぶん、畑をつくったりするのと同じ感覚。家の庭にも実験的に作品をコロンと置いておいたらどうなるんだろうとやってみたんです。穴から緑が芽吹き、苔が生えてきたりして面白いなと思いました。
京都精華で技法を教わって、そこから面白いと思ってつくったものが、自分の生まれた所に繋がっていた。土の亀裂であったり、田んぼの干上がった所とか。その後、多摩美に行って、頭で考え、文章を書かなくてはならなくなってから気がついた。私は焼いたものを自分で見てみたいというのがずっとあります。
大橋 玉置さんの作品は、微細なマチエールが膨大に集まっているものだと思います。かたちとかでなく、あなたの中にそうしたものが膨大に詰まっているので、だから再現なくやらなくてはならない。
玉置 大学の時にスキューバダイビングをして海の中に広がる珊瑚を見た時に、スゴイなと思ったのが一番感動したことで、それが窯を開けた瞬間と一番似ている。それでやめられないのだと思います。熊野から離れてからこういうものをつくるようになりましたから。結局は憧れているというのがあるのかもしれません。骨とか遺跡に憧れる、人間もいつか土に還る。これからも作品は変わるかもしれない。
大橋 変わり続けるのを見届けたいと思います。
作家略歴
1981 三重県に生まれる
2004 京都精華大学芸術学部造形学科陶芸専攻 卒業
2006 多摩美術大学大学院美術研究科(博士課程前期)工芸専攻陶コース修了
現在 神奈川県相模原市にて制作活動を行う
個展・グループ展
2002 グループ展gallery  sowaka
2003 グループ展gallery Maronie
朝日陶芸展
グループ展 寿山荘 中井産業株式会社
2004 卒業制作展 京都市美術館
個展 アートスペース虹
少年陶芸探偵団展 市之倉 さかずき 美術館・岐阜県
企画展  比良美術館・滋賀県
現代美術小品展  gallery SUZUKI
2005 京都府美術工芸新鋭選抜展 京都文化博物館
現代美術小品展 gallery SUZUKI
2006 日韓現代陶芸−新世代の交感展 愛知県陶磁資料館
個展 ギャラリー東京ユマニテ
少年陶芸探偵団展 市之倉 さかずき 美術館・岐阜県
2007 神奈川県展
International Competition  The 4th world Ceramic Biennale 2007 KOREA
現在 朝日陶芸展
冠箱展@KAYA   鎌倉市 玉置 りさ・野口美香二人展
2004〜'08 その他グループ展 多数出品

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