やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

田上真也 展  −陶 青いふちの球形−

田上真也 展  −陶 青いふちの球形−

2008年12月5日(金)〜12月25日(木)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  2008年12月5日(金) 18:30〜19:00

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Photo: 「殻」’08‐孵 w50×d50×h15 cm(全体) 2008年陶土



展示会概要
田上真也(TANOUE Shinya)さんの作品は、卵の殻のような球形をニつ重ね合わせたかたちの陶のオブジェです。
1点の作品のサイズは30〜40cm。赤土に白化粧をした上から、細い針金による掻き落とし技法で、底辺から縁へ昇るように一面に放射状の線が入っています。その繊細で硬質な表情は、一瞬光沢のある白磁器に無数のひび割れが入っているかのようです。
球形の二つ重ねて見え隠れする縁の間には、目も覚めるような鮮やかな青が着彩されています。モノトーンの中にチラリとのぞく美しい青は劇的で、新鮮な効果を上げています。新作では、この青がさらにクローズアップされ、メビウスの帯のように内側から外側へと続き、かたち、色彩ともに深さと広がりをみせています。
田上真也
田上真也
田上真也 田上真也
田上真也さんは社会人を経て美術大学で陶芸を始めました。陶芸と言えば「うつわ」と考え、ロクロをひくことが目的でしたが、若い学生と一緒に学ぶ体験から独自の新しい造形を生み出します。
「うつわ」は古くから、掌の小宇宙のように形容され、外側と内側の関係が数多くの寓意を用いて表現されてきました。田上真也さんは、卵の殻をニつに割った時にできる空間をモチーフに、ニつが合わさったかたちを様々に展開してきました。殻=卵=生命の誕生=海という連想から、このトルコ石のように鮮やかな青は選んでいます。
これまでは公募展を中心に発表をしてきましたが、このたび東京にて初個展を開催することになりました。新作を含めて10点ほどが展示されます。 田上真也さんの力のこもった作品をご覧下さい。
田上真也 田上真也
田上真也

Photo:ガレリアセラミカ会場 2008

インタビュー
2008年9月16日 インタビュー:入澤ユカ(INAXギャラリー顧問)
入澤 田上さんの経歴を改めて読んでみると、同志社大学の神学部なんですよね。
田上 そこからですか。(笑)
入澤 (笑)経歴を知った方は知りたくなってしまうと思うんですけど、どうして同志社の神学部から、嵯峨芸術大学に入学することになったんですか。
田上 哲学、神学が好きだったこともあるんですが、進学する時に、神学が一番抽象的だという意味で選びました。もともと聖書の中の物語はすごく好きでした。
入澤 神学に出会ったのはいつ頃ですか。
田上 家はキリスト教ではなかったんですが、母が色んな宗教の人を家に上げたりして、リビングでよう語らっていた。仏教にもキリスト教にも限らず。
入澤 高校卒業の時、どうしたらいいか迷って神学になった。(笑)
田上 大学卒業後2年会社員で働いてから、嵯峨芸大の社会人入試を受けたんです。
入澤 迷いの田上さんにとっては、またしても会社員の2年間は苦しかった。
田上 ものをつくりたい思いはもともと根っこにはあった。でも自分は結構怠けて生きてきて、大学4年間では勉強したという感じが掴めなかった。周りと一緒に卒業して就職活動をしただけで納得いかなかった。で思い切って、もう一度ちゃんと勉強しなアカンと。同志社時代の4年間にサークル活動で陶芸をやっていて、先輩の見よう見真似で土を触っていた。
入澤 いよいよ嵯峨芸大の短大に入れた時は、ものすごく嬉しくてという感じでしたか。
田上 勉強する意欲はその時期が一番だったと思うんですけど、最初僕はロクロの技術に憧れて器をつくりたいという思いがあったから、選択肢に職業訓練校もあったんです。四大にはもう行くつもりはなかったので、短大では唯一この学校だった。両方を何回か見に行って先生ともお話しをさせてもらってここに決めた。でも、入ったらびっくりしましたね。僕は器をつくりたいと思って入ったのに、若い子達はなんの躊躇もなく造形的な作品へ入っていく。なんでそれが出来るのかと。1回だけ僕もこんなんが芸術ちゃうか、こんなんが芸大でつくるもんちゃうかなという時期はありましたけど。(笑) 卒制以外はずっと一人でロクロをまわしていました。
入澤 2003年には公募展に出していますね。
田上 在学中から公募活動は視野に入れていました。器でコンペに出品していました。
入澤 その間にはこの青は出ていなかったんですか。
田上 最初は赤土に掛けた薄い粘土の化粧を針で引っかく、掻き落とし技法のみでつくった作品でした。
入澤 おそれが自分の肌合いに合ったというのは、何かきっかけがあったんですか。
田上 課題で伝統的な器の染付けがあったんですが、筆で描くのが僕にはどうも馴染めなかったんです。
入澤 筆で描くというのは、物体と肉体の間にもうひとつがあることですものね。
田上 染付けの課題と掻き落としの課題では、掻き落としの方が性に合った。 自分の性分にはどんなものが合うのか、自分のもつ性能とは。いろんな事をやったんですが、進級展の時に今の作品の片鱗が現れたものが出来て、それが先生方の評価も高かった。
入澤 しつこく飽きずにやっている力を感じると言うか。それでも少しずつ変わって、青が出て来たりした。
田上 青は2007年からですね。ロクロということと、できるかたちに限界を感じたんです。 最初は口に少しだけ使い始めて、今ではこの部分をクローズアップしています。
入澤 かたちも器が2個合わさるようになってきましたよね。
田上 器には内側と外側があるけど、本当に2つだけの構成なのか、器と呼ばれるものが、用をなすものだけなのかという思いが生まれ始めて。
入澤 かたちがダブル、トリプルになってくると、植物だったり、貝殻だったり、洞窟だったりとスケールの違うものまで想像させることが可能ですよね。でもどうして青だったんですか。
田上 自分の器を構成する中で、密封されたものが割れる瞬間から始まる内と外の関係に、僕には殻というイメージがあって、殻=卵から生まれる、命が生まれる源というイメージが海の青だったんです。自分の作品の中で表現するなら強い青、落ち着いた青でなくて、うるさい位の青が一番良いと思ったんです。
入澤 呉須的な青じゃないですね。空や海が深くなると蒼や藍の無限の諧調がありますよね。
田上 そうです。
入澤 その青の部分がだんだん増えて来ていますね。
田上 かたちも含めていろいろ探っているんです。
入澤 鉢型の外側がねじれて青が見えるというかたちもやっています。
田上 はい、どこにその間が出来ているのか、またちょっと考え方が違う作品なんです。
入澤 田上さんは器で、波が鉢になっていくとか、水溜りや沼だったりに見えるようなものを考えているのではないかと思ったんですけど。 最初の頃の展示方法には中心点があって、これまでにもよくある調和のかたちみたいだったのが、最近ではどうなるかわからない感じになってきた。
田上 自分の作品が意味と力を持つ大きさというのを考えていて、去年大きな作品をつくってみたのですが、時間が過ぎてみると、結局20cmの作品でも放つ空気があるのだなとわかりました。公募展を中心に活動をしてくると、少しでも目立たなければというのがあるんですね。
入澤 近作で羽や波のようなかたちが出て来ていますね。立てなければ葉っぱのかたちに似た皿のようにも見えます。
田上 今気になっているのは、縁のムニャムニャしたところです。コントロール出来ていないんです。
入澤 作家はコントロール出来ていないと思っても、観客にはそこが魅力かも知れません。
田上 つくり手として、土と言う素材が柔らかくて加工できてしまうという所に寄り掛かっている感があって、そこが素直にすごく気持ちいいなと思えたり、もっとコントロールできないかと考えたりします。
入澤 田上さんは公募展で審査員の心を捕らえてきました。賞の傾向ってありますよね。一度その辺を脱ぎ捨てて、湧き上がるものをやってみては。
田上 ちょうど前回の国際陶磁器展は二次審査で落ちたんですが、それ以来そろそろ公募展を少しやめようかと思っていたんです。個展できちんと見せる活動をやろうかと。実際に僕は個展をろくにやって来ていないんです。2005年まではアルバイトばかりで全然つくっていなかった。正直公募展用の作品だけポツポツとつくっていた。
入澤 今展の空間構成はどうなりますか。
田上 丁寧に見せたい。展示台に乗せて1個1個よく見えるように。今すごい葛藤をしています。自宅の窯と大学の窯の両方で、同時進行で焼いています。
入澤 念願の東京初個展ですね。
田上 陶芸は待つのが楽しいんです。長い時間が過ぎてじわりじわりといろんなものが来る。今回の個展も何年後にどんな繋がりをするかと想像するのもすごく楽しいです。
入澤 陶芸は、一瞬で伝える視覚の力を持っている。あるいは、炎で思いがけない贈り物みたいなものをもたらす。だから幸せなんだと思います。楽しみにしています。
作家略歴
1976 京都府生まれ
1999 同志社大学神学部卒業
2001 京都嵯峨芸術大学短期大学部美術学科陶芸コース入学
2003 京都嵯峨芸術大学短期大学部美術学科陶芸コース卒業
2006〜 京都嵯峨芸術大学陶芸研究室教務助手として勤務        現在、京都市伏見区にて制作
個展
2006 大丸京都店美術工芸品売場:京都
2008 大丸京都店6階アートサロン:京都、ギャラリーこうけつ:岐阜
公募展、グループ展
2002 第1回たち吉主催クラフトコンペ「京都陶芸の新しい芽」:京都
2003 京都嵯峨芸術大学卒業制作展(京都市美術館:京都)、京展(京都市美術館:京都)、第41回朝日陶芸展(名古屋他巡回)
2004 陶三人展(同時代ギャラリー:京都)、長皿展(クラフトギャラリー玄:京都)、第3回たち吉主催クラフトコンペ「京都陶芸の新しい芽」:京都、とうばこ展(クラフトギャラリー玄:京都)
2005 金の卵展(心斎橋ギャラリー永井:大阪)、第7回国際陶磁器展美濃(セラミックパークMINO:岐阜)、陶展(クラフトギャラリー集:京都)
2006 京都府美術工芸新鋭選抜展(京都文化博物館:京都)、第24回朝日現代クラフト展(阪急百貨展うめだ本店:大阪他巡回)、第6回益子陶芸展(益子陶芸美術館:栃木)、陶磁デザインの器展(瀬戸市新世紀工芸館:愛知)
2008 第19回日本陶芸展(大丸ミュージアム東京・大阪巡回)、京都嵯峨芸術大学工芸分野教員作品展‐素材との対話(京都嵯峨芸術大学附属博物館:京都)、第45回記念朝日陶芸展(名古屋他巡回)、第28回長三賞現代陶芸展(セントレアギャラリー、愛知県美術館ギャラリー他巡回)、第1回神戸ビエンナーレ現代陶芸コンペティション(神戸メリケンパーク:兵庫)
2008 京都嵯峨芸術大学工芸分野教員作品展-Crafted Form-京都嵯峨芸術大学附属博物館、兵庫陶芸美術館テーマ展「やきものの技法・材質」(兵庫陶芸美術館:兵庫)、さのわ展(桃林堂ギャラリー:東京),KANSAI 3 CERAMICS(ギャラリー数寄:愛知)、京都嵯峨芸術大学陶芸卒業生作品展-花のかたち-(ギャラリーマロニエ:京都)
受賞
2002 第1回たち吉主催クラフトコンペ「京都陶芸の新しい芽」  奨励賞受賞
2003 京都嵯峨芸術大学卒業制作展(京都市美術館:京都)    教育後援会奨励賞受賞
2005 第7回国際陶磁器展美濃(セラミックパークMINO:岐阜)  審査員特別賞受賞
2007 第19回日本陶芸展(大丸ミュージアム東京・大阪巡回)  毎日新聞社賞受賞
第45回記念朝日陶芸展(名古屋他巡回) 奨励賞受賞
作品収蔵
2006 京都文化博物館、兵庫陶芸美術館

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